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猫の下僕の生態

猫とスライム

作者: 昼行灯

大きなスライムがいる。


いやスライムもどきがいる。


直径4,50センチある楕円形でやや平べったい青いスライムだ。表面はゲームでよく見かけるようなツルッともしてなければヌルっともしていない。タオル生地のふわふわで冬でもあったかである。透明感もなくゼリー状でもないこのスライムには綿が詰まっており、座るとちょっとしたクッションにもなる利便性のあるスライムだ。


このスライムも元々はクッションではなかった。

楕円形ではあったがこんなにも乗り心地が良さそうな平べったさはなく、球体に近い原型だった。座るよりも抱いた方がタオル生地を楽しめたものだ。


それがなぜてっぺんに窪みのあるスライムに進化してしまったのだろうか。


日々の努力の賜である。猫の。


タオル生地が気に入ったのか、毎日スライムのてっぺんに乗っては丸くなり、圧をかけてきた。

曇りの日も雨の日も晴れの日は暑くなるのか短時間だったが、絶え間なく形成に勤しんでいた。これほどまでに猫が仕事をしているのだから下僕としても手伝いをしないわけにはいかない。空きを見て足枕にしてみたが、それは微々たるものだ。

球体を楕円形まで成長させたのは紛れもなく猫である。

だからこそてっぺんには窪みまであるのだ。下僕の足枕では踵落としを何度振り下ろしても猫サイズの的確な窪みは作れない。


かくして球体であったぬいぐるみは猫の努力によりスライムへと変貌し、さらにさらに猫ベッドへと進化を極めた。


ここからの進化はおそらく望めないだろう。進化は大体二回までと相場が決まっている。何よりも自らの手で作成したベッドを猫は手放そうとはしない。今や下僕が手や足を出そうとすると邪魔だと言われる始末だ。

しかし絶え間ない努力で自らベッドを作り上げた猫の功績を無下にするわけにはいかない。こうなってしまったら下僕にできることはただ一つ。

日当たりの良い場所にスライムを移動させることだけだった。



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