アップグレード
車の事故で、俺は両手両足を切断した。
自分ひとりでは何もできない状態になり、俺は放心状態で生きる意義を失っていた。
不思議なことに、手足の先はもうないのに、痒くてたまらないときがある。
幻肢痛というらしい。
ちょうどテレビでパラリンピックをやっている時期だった。
サイボーグのように格好よく義手義足を使いこなして、スキーで雪道を滑走するさまや、走る様子を見て、俺は心を奪われた。
そこで、医師と理学療法士に、最先端の義手と義足のオーダーをお願いした。
早速、一流の職人がやってきて、サイズと型をとってくれた。
想像以上に満足できる出来ばえだった。切断面もぴったりだ。俺は、必死でリハリビを開始した。
朝昼晩血のにじむような努力の末、ようやく俺は以前に近い手足の使いこなしができるようになった。
無理だと思っていたが、これで仕事にも戻れるだろうか。
院内ですれ違った子供たちは、「かっこいい」と憧れの目で俺を称え、
見舞いにきた友人たちも「前よりクール」と褒めてくれた。
更に、俺は特別に頼み込んで、義手義足にオプションをつけてもらった。
相手も職人、話せばわかってくれた。もちろん、料金は弾ませてもらった。
右アームには連弾式の銃、左アームには小型火炎放射器とボウガン。
右足には連弾ナイフ、左足には手榴弾。体中に武器が仕込まれている。
おれが最強の殺し屋として仕事に復帰できる日も近い。