運動会の想いで
ちびっこたちが学校のトラックを駆けているのを見て、ふと思い出す幼き日の自分。
その子はもう卒業アルバムの中にしか見れないけれど、今もわたしの頭に残っている。
大玉転がし、玉入れ、綱引き‥。
どれも懐かしいものばかり。
でもその中でもひときわ光を放っている思い出がある。
応援団だ。
小学生だったときのわたしには好きな子がいた。
あの子はあまり活発な方ではなくって、結局あまりものの応援団に所属することになった。
どんな応援をするかで盛り上がる教室。
その中で、その子は意見を出した。
男子と女子の制服を入れ替えてみるのはどう?
今となってはもうあり得ないし、誰もやろうと思わない提案。
でもその当時の僕らにはとても名案に思えた。
確実に話題になるし、余興としては十分。
盛り上がってみんなのやる気に繋がるのなら、応援団として最高のパフォーマンスとなるだろう。
そう思った。
初めて脚を通すプリーツスカート。
10月半ばの、ときたま寒い季節に女子はこれで毎日過ごしているのかと思った。
「いいじゃん! かわいいよ?」
声をかけてくるあの子。
声の方を見ると、自分の服を身にまとっている好きな子がそこにいたのだった。
いまでも時たまめくる卒業アルバム。
その中の僕は、今日もまた好きなあの子の制服を身にまとっている。