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25. 神メール

 今朝も元気に散歩へ出かけ、木剣振って朝食を済ませた。


 順調にいけば今晩(こんばん)か明日の晩にはサーメクスへ渡ることができるだろう。


 しかしながら、俺は今『時間軸』について悩んでいた。


 以前の話になるが、どこぞの帝国から召喚(しょうかん)された勇者の工藤さんは、俺が転生(てんせい)した時点よりも(はる)か昔 (数百年前) に転移(てんい)した事になっているからだ。


 つまり、俺たちが 地球→サーメクス 間を転移した場合、時間のズレというのがどのように現れるか分からないのである。


 最初は簡単に考えていた異世界転移だったが、地球とサーメクスでは次元(じげん)が違っているかもしれない。浦島太郎のようになって、誰も知らない世界に帰るのは辛いものがある。かわいい盛りのハルに会いたいのだ。


 まあ、今回は女神さまからの依頼(いらい)ということだから、何かしら手は打ってあると思いたいが……。


 人間の身である俺からすれば、とても心配なのである。


 んっ、そうか!


 わからなければ、聞きに行けば良いじゃないか。


 「シロおいでー!」


 俺は玄関で(くつ)()きながらシロを呼んだ。


 そして、シロと一緒に例の(ほこら)へ転移する。


 女神像が安置されている祠に向かって片膝(かたひざ)を突き、胸の前で手を組んだ。


 目を閉じて、静かに祈りを捧げていると、


 {新しいメールが届きました。インベントリーを開いて内容を確認(かくにん)してください} 


 例のガイダンスのような声が脳内(のうない)に響いてきた。


 おおっ、なんぞや?


 俺はその場で立ちあがると、インベントリーのメニューを開いてみた。


 すると、メニューの一番には【神メール】という新しい項目(こうもく)が増えている。


 点滅(てんめつ)してるのは新着(しんちゃく)メールがあるからだろうか?


 Eメールのような感じだな。


 とりあえずはポチッとな。神様メールを開いてみた。 


 スレッド表示の一番上に ”件名(けんめい)帰還(きかん)について” とある。


 下の本文に目を移し読んでみると、


 [ユカリーナです。心労をおかけしましたね。サーメクスへ戻られる際はこちらに渡った時点 (同じ日付け同じ時間) に戻れるよう設定しましたので何も問題は起こらないはずです。また何かあったらメールしますね]


 [p.s お()びとしてプレゼントを入れておきました。先史文明(せんしぶんめい)が残したものを再現したものです。どうぞお役立てください] 






 そっか、杞憂(きゆう)だったのか。


 でも、同じ日付け同じ時間って……どゆこと?


 俺たちが向こうを出た時点で時間を止めているのか?


 それとも、こちらから戻る時に時空を曲げて日時を合わせているのか?


 「………………???」


 ダメだ、深く考えちゃいけないやつだ!


 ありのままを受け入れる。それでいいじゃないか。


 んっ、プレゼント。何かもらえるの?


 え~と、この宝箱のアイコンかな。


 ――ポチっとな♪ 


 すると宝箱が消えて、インベントリーの項目が1件増えた。


 その項目には ”シルバーイヤリング” ×10 と出ている。


 さっそく取り出して、――鑑定! 


 ”シルバーイヤリング:多用途言語翻訳たようとげんごほんやく:アーティファクト”


 おおっ、アーティファクト!


 『再現した』とメールには書いてあるけど? コピーしたってこと……。


 ま、いっか。


 言語翻訳とは、これまたタイムリーだね。


 ……いや違うな。


 『しっかり見届けてますよ』てことだろうな。


 心配症(しんぱいしょう)なのかな? 


 いやいや、モニターするのは当然のことかな……。


 安心してください、わかってますよ。 (とにかく明るい安○)






 家に戻った俺は、買い物の計画を立てている。


 と言っても、ほとんどの物は昨日までに終わらせており、あと大したものは残ってない。


 本を何冊かと筆記具(ひっきぐ)ぐらいだな。


 この辺にある大きな書店か……。


 天神にある紀○國屋書店にでも行ってみるか。


 シロにはお留守番(るすばん)を頼み、俺は天神地下街の駐車場(ちゅうしゃじょう)転移(てんい)した。


 地下街に通じる扉のところで光学迷彩(こうがくめいさい)解除(かいじょ)した。


 それで書店にやってきたのだが、目的の本は3種類。


 蒸留酒(じょうりゅうしゅ)の作り方・和紙の作り方・植物図鑑(しょくぶつずかん)だ。


 店員さんに場所を(たず)ねながらも、1時間程で本は買い(そろ)えることができた。


 俺は買った本を紙袋に入ったまま背中のデイバッグに押し込むと、タイミングを見計って光学迷彩をはる。


 さて、どこに転移(てんい)しようかと迷ったが、神社から程近いホームセンターへ飛んだ。


 マウスパッドを買ったり、慶子(けいこ)とPUグローブを買いにきたりと、最近ちょくちょく利用しているのだ。


 店のカゴに、ノート・レポート用紙・ボールペン・ソーラー電卓(でんたく)などを入れていく。


 自転車コーナーではマウンテンバイクが欲しくなったが、こちらで乗るにしても目立(めだ)つので止めておいた。おまわりさんに職質されるのは色々とまずいからね。


 そういえば、以前読んだラノベだけど、オートバイを異世界に持ち込んだというのがあったなぁ……。


 だけど俺にはシロがいるからね。スピードだって何倍も速いんだぞ~。


 それに、ガソリンやメンテナンスにしても大変そうだしね。


 ちょっとしたお土産(みやげ)に良いかなと100円ライターを50個大人買い。


 ボードゲームやトランプ類は慶子たちの担当だな。


 そういえば、クルーガー王国にオセロはまだ無かったよな~。


 麻雀(マージャン)なんかも流行(はや)らせてみたいと、(ひそ)かに(たくら)んでいたりする。


 だって、インベントリーを持っている俺はイカサマし放題なんだよねぇ。フフフッ♪


 子供におもちゃを買っていくのは、お父さんなら仕方がないよね。


 ウォーターガンなんてどうだろう。メアリーが絶対よろこぶよな。家には温泉施設もあるし、みんなで水遊びするのも楽しそうだ。

 

 これで必要なものは大体(そろ)ったかな。






 アイスまんじゅうを食べながらホームセンターから出てくると、道の向こう側には【ほか弁屋】の看板が見えている。


 あっ、ほか弁屋かぁ~。


 お昼に食べようかと、唐揚(からあ)げ弁当を2つ買っていくことにした。


 ………………


 弁当の袋をぶら下げて神社に向かって歩き出す。


 今日は天気もいいし、このまま今夜にでも渡れそうだけど、みんなの準備(じゅんび)はどうなんだろう?


 参道の石階段を上り、鳥居(とりい)(くぐ)って境内(けいだい)へ入っていく。


 すると何処にいたのか、シロが駆け寄ってきて俺を出迎(でむか)えてくれた。


 尻尾を振っているシロの頭を()でながら、


 「今日のお昼はほか弁屋の唐揚げ弁当だぞー」


 俺が弁当の袋を(かか)げながら家の中へと入っていくと、それにつられるように、シロはちんちんしながら二足歩行でついてくる。


 ――まったく器用なやっちゃ。


 それからは居間で唐揚げ弁当を食べ、インベントリー内のものを確認したり、パソコンで調べものをしたりして夕方まで過ごしていた。


 今日の月の出は午後7時30分。


 みんなの話を聞いてみないと何とも言えないが、今日サーメクスへ渡る可能性もあるとみて、ネットで調べてみたのだ。






 向こう (サーメクス) からはいつでもこちら (地球) に来れるんだよなぁ。


 こちらから渡る場合は満月の晩でないとダメなのか……。


 ということはだ、


 体内のMPがどうこうという問題ではなく、取り巻いてる大気中の魔素(まそ)自体が足りないということになるのかな。


 それに満月はどう作用するのだろうか。


 月が満ちると魔素も満ちる?


 月の光が魔素の活性化(かっせいか)(うなが)すのかもしれない。


 それって狼男(おおかみおとこ)の伝説にも関係あったりするのかね~。


 そういえば居たなぁ、(うち)にも狼男が。


 ――狼には変化(へんげ)しないけど。(笑)


 それから、今日の女神さまの話 (メール) だ。


 あのメールの文からすると、こちら (地球) に来ている間は向う (サーメクス) の時間は止まっていることになる。


 サラッと書いてあったけど、これって大変なことだよね。


 長く生きる俺やシロにとっては、さほど大きな問題にはならないが、他の人間は気をつけてあげないとな。


 何を? って、自分だけ年をとるのは嫌だよね。


 まあ、旅行感覚(かんかく)で、1~2ヵ月程度なら問題にはならないけど。


 サーメクスと地球を行き来できると知ったら、マリアベルはどうしたいだろう……。


 元の家族のことは、あまり話そうとしないマリアベルだけど、生きて会えるのならやっぱり帰りたいよなぁ。


 死は突然のことだったと思うけど、家族とは話したかっただろうし。


 前に聞いた話だと、実家(じっか)は東京にあるようだ。


 本人の気持ち次第(しだい)になるが、できたら連れて行ってあげたいな。


 ………………


 いろいろと考えている間に、玄関の方がガヤガヤと(さわ)がしくなっていた。


 買い物へ出ていた二人が帰ってきたようだ。







7月28日 (火曜日)  

次の満月は7月29日

ダンジョン覚醒まで40日・100日



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挿絵(By みてみん)
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