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115. スケルトン現る

 俺は、その ”ヘリコプター部隊” を目を細めて確認すると。


 ここは彼らに(まか)せて豊洲(とよす)に戻ることにした。


 編隊(へんたい)を組んで此方(こちら)に近づいて来ているヘリは、メインローターの上にコック(ぼう)を思わせるロングボウレーダーを搭載(とうさい)した。


 AH-64D「アパッチ・ロングボウ」であった。


 方角(ほうがく)からして木更津(きさらづ)駐屯地(ちゅうとんち)から東京(わん)横断(おうだん)して()け付けて来たのだろう。


 (たし)か、1機67億円と言われる価格と整備(せいび)パーツの調達不備(ちょうたつふび)などから、わずか13機で購入(こうにゅう)中止になったのだとか。


 あぁ、今はそんな事はどーでもいいのだ。


 30mm機関砲(きかんほう)(そな)えた ”最強攻撃(こうげき)ヘリ” の到着(とうちゃく)に、ここはお任せしようかなと。


 まあ、そんなところだ。





 俺は、巨大樹(きょだいじゅ)()らして戻って来たシロとヤカンを連れて豊洲へ転移(てんい)した。


 おぉ、信号機が点滅(てんめつ)している。 ようやく電気が復旧(ふっきゅう)したようだ。


 ただ日常生活(にちじょうせいかつ)には、まだ程遠(ほどとお)いだろうが 一つ一つだよな。 


 吾郎(ごろう)さんがいれてくれたコーヒーを頂きながら、まずは一息(ひといき)いれた。


 そして、皇居外苑(こうきょがいえん)状況(じょうきょう)報告(ほうこく)していった。


 例のヘリ部隊はこちらからも、皇居に向かっていくのが見えていたそうだ。


 そして、話題(わだい)は消えたゾンビの事に(うつ)って行った。


 みんなと話をしていく中でも、池袋駅(いけぶくろえき)近辺(きんぺん)が有力だろうとの意見が多かった。


 ただ、偵察(ていさつ)するにしても範囲(はんい)が広く、闇雲(やみくも)に探しても無駄足(むだあし)になる可能性(かのうせい)が高い。


 それにより、初動(しょどう)(おく)れが出るのを()けるべきでは? との意見も出ている。


 そうだな。 ここはじっくり(かま)えて、報告が入ればすぐに対応できるように、待機(たいき)しておくのが得策(とくさく)かもしれないな。


そこで、俺達は少し身体を動かしながら待機することにした。





 俺はシロやヤカン、それにパンチ ジョンと共に広場に出て、ボールや、フリスビーで遊んでやっていた。


 すると、みんなも広場に寄ってきて、代わりばんこにシロ達と遊んでくれていた。


 しかし、シロは(すご)いな! どこに投げても、どんな角度でもキャッチしてくる。


 久しぶりのボール遊びに夢中になっている様であった。 そして、ヤカンもクルクル回転しながらキャッチするのが、また独特(どくとく)なんだよなぁ。


 終始(しゅうし)、大きな尻尾(しっぽ)をブンブン振っていて、とても楽しそうであった。 


 まさか、こんなに(よろこ)んでくれるとは思わなかったなぁ。


 ……今度、ボールやフリスビーなどの遊具(ゆうぐ)も、いろいろ買い込んでおこう。


 そして昼も過ぎ。 俺達は半壊(はんかい)している建物の一室に入り、唯一(ゆいつ)のテレビをみんなで(かこ)んで見ていた。


 すると、もうすぐ2時という所で、皇居外苑にて行われていた ”キラーアント” との戦いは 自衛隊(じえいたい)完全勝利(かんぜんしょうり)で終了したようだ。





 ここまで時間が()かったのは、巣穴(すあな)に逃げ込んだソルジャーアントを、おびき出すのに苦労(くろう)していたからだな。


 各穴に催涙(さいるい)ガスを入れては()っていく。 根気(こんき)のいる戦いだったみたいだ。


 ケガ人は結構(けっこう)出ていたようだが、死者が出なかったのは凄い事だし。良かったと思っている。


 なめて掛かっていたら、何人か死んでいたかもしれない。


 そうして、自衛隊の有志(ゆうし)(うつ)し出したテレビを見ていると、キロがスススッと部屋へ入って来た。


 「ゲン様。出ました。 ゾンビではなく、スケルトンのようです」


 (くわ)しく話しを聞いていくと。 場所は池袋(いけぶくろ)である。


 だが、巨大樹がある駅前ではなく。 そこから少し(はな)れた、東池袋(ひがしいけぶくろ)4丁目の方らしい。


 そこに、沸き立(わきた)つように2000体もの ”スケルトン軍団” が突然(とつぜん)姿を(あらわ)したそうだ。


 ……ん、どういう事だ。 首を(かし)げている俺の横から、


 「ああ、あそこなら……。地図は持っているかい」 と、剛志(つよし)さんが話しかけて来た。





 俺は近くにあるテーブルの上をサッと片付(かたづ)け、東京マップのページをめくり池袋近辺(いけぶくろきんぺん)詳細図(しょうさいず)を出した。


 そして剛志さんは、その地図を指差(ゆびさ)しながら、説明を始めた。


 その話によると、東池袋のこの(あたり)には都心(としん)には(めずら)しいが、雑司ケ谷霊園(ぞうしがやれいえん)という大きな霊園があるのだそうな。


 そして道を(はさ)んだお(となり)には、文京区(ぶんきょうく)になるが 「護国寺(ごこくじ)」 と言うお寺が在るそうで。


 この寺の裏側(うらがわ)が、また大きな霊園になっているという。


 さらに、そのお隣の小高い丘(こだかいおか)には豊島岡(としまがおか)墓地が在り。


 天皇と皇后(てんのうとこうごう)(のぞ)く、皇族専用(こうぞくせんよう)墓地(ぼち)として整備(せいび)されているという事である。


 ……つまり、スケルトンを作成する土台(どだい)があった訳だ。





 さて、そのスケルトンだが、意外(いがい)統率(とうそつ)がとれているらしく。


 少しずつ横に広がりながら、ゆっくりと ”サンシャインシティ” や ”池袋駅” に向かって進んでいる様子(ようす)だ。


 ……これは、ちょっとマズいな。


 外側(そとがわ)からスケルトンで追い込(おいこ)んで、その先にはゾンビの集団が待ち受けているということだろう。


 しかも、午後の人が集まる時間だもんなー。


 アンデッドなら夜に出て来いよ! まったく。


 取りあえずは各位(かくい)連絡(れんらく)だ。 今回は敵の数が多いから応援要請(おうえんようせい)もだな。


 ただスケルトンもゾンビも ”ダンジョン・中層(ちゅうそう)” のモンスターなんだよな。


 1体のスケルトンに普通(ふつう)の人間が3人でかかっても、おそらく勝てない。


 すると、必然的(ひつぜんてき)に俺達がスケルトンの相手をして、ゾンビは自衛隊や機動隊(きどうたい)の皆さんに頑張(がんば)ってもらうほかないよなぁ。







11.09 月曜日 

11.24 満月




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挿絵(By みてみん)
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