114. 消えたゾンビ
俺達、特攻○郎は……。
ではなく、 Aチームは上野恩賜公園から足を伸ばし、そのまま駒込富士神社へと突入した。
フウガに連絡を入れると、オーガ オーク共、未だ境内に留まっているとのこと。
数の方はオーガは3体。 オークは森に潜んでいるものを入れても120体前後だろうとのことである。
……なるほど。 まだ外に出てないのなら、このまま囲んで周りから殲滅だな。
行くぞ! って、こちらも1時間程で片付きましたわー。
まあね、この戦力だからね……。
そして巨大樹、こちらもシロに魔力を吸い出してもらい、枯らしました~。
ついでに、ダンジョンマップを発動してダンジョン内の様子を見ていったが。
未だに、入口であるダンジョン前広場と階段は形成されていない様である。
まあ、その内 音を上げるだろう。
残党がいないか、偵察に出ていたシロやヤカン パンチ等を迎えいれ、俺達は豊洲へ引き返すことにした。
みんなに浄化を掛けてあげ、Aチームには休んでもらう。
俺はシロと共に渋谷の巨大樹へと転移した。
ここでも魔力を吸い上げ、巨大樹を枯らすと、そそくさとVチームを回収して豊洲へ戻っていった。
空は夕焼け、時計を見るともうすぐ午後5時になる。
……今日はここまでだな。
良し! みんなに荷物を持って集合してもらう。
一緒に ダンジョン・イナリ がある京都基地にトラベル! で転移した。
これだけ多くの人間を長距離転移させた後だというのに、シロの体は未だに光ったままである。
いったいどれ程の魔力を吸収したのやら……。
さすがフェンリルという事なのだろう。
そのあと、フウガ達に迎えられた俺達は、祇園に出て楽しく食事をとり。
ゆっくり温泉に浸かって今日の疲れを癒すのだった。
「……俺。これから普通の生活を送っていける自信がねー」 と、湯舟で呟いていた吾郎さんが、少し印象に残った。
翌朝 散歩の後、俺は高校生組を福岡に一旦返すことにした。
もちろん、反論もあがりはしたが 何とか説得することができた。
楓は休校中、サキは諸手続きがまだ終わってないので、一緒に行動だ。
具体的にいえば、弁護士を立て、特別養子縁組制度を利用。
家庭裁判所に審判を申し立てを行っている最中なんだとか。
許可が下りるまで、ある程度の期間が必要になるらしい。
なのだが、要はサキがのびのび学校に行ったり、生活ができる環境を整えるのが目的だから、期間は問題ではない。
そして、出発前にフウガと簡単なミーティングを行い、最新の情報を取得していく。
皇居外苑のソルジャーアントは、あれから数回交戦しており。
その数を大きく減らしているものの、クイーンアントはいまだ健在だ。
そろそろ一斉攻撃をしてくるのではないかと予想される。
それと、新橋駅に潜伏中のゾンビ共の動きがおかしいので、注意するようにとのことだ。
そうして、俺達は豊洲へと戻ってきた。
おかしな動きをしているゾンビを確認するため、みんなには一時待機してもらう。
俺とシロ ヤカンで新橋駅の構内を偵察することにした。
今、西口広場の巨大樹前に来ているのだが。
……確かにおかしい。
昨日は 沸き立つような負のオーラが漂っていたのだが、今日はそれが感じられないのだ。
不思議に思いながらも、俺達は駅の構内に足を踏み入れたのだが、 ……何もない。
駅のホームや路線、飲食店街など一通り見て回ったが、痕跡すら見つけられなかった。
まさか!
俺は駅を飛び出し、巨大樹の周りを回っていく。
すると、裏側のビルとの境にウロ(樹洞)を発見したのだ。
……やはり有ったかー。
ゾンビを駅に集めた理由はこれだったのだ。
つまり、被災地でゾンビを作り出し他所へ送り込む。
最初からそのような計画だったのだ。 うわー、やられたな~。
昨日の各モンスターの反乱も、上手くかみ合っている所が実に腹立たしい。
本来なら、昨日の内に方が付いていたのだ。
しかし、行先の目処は立っている。
これで巨大樹間の移動が可能であれば、あと残っている所といえば 東京か池袋。
どちらにしろ、行って確かめるしかない。
俺はシロに指示を出して巨大樹を枯らすと、そのまま豊洲へ戻っていった。
そして、みんなに偵察の結果と、後の推測を話していく。
キロにはフウガと連絡を取り、情報を集めてくれるよう指示を出した。
そこでみんなには今しばらく待機してもらう。
俺はシロ ヤカンを連れ、皇居外苑へ転移した。
すると、そこでは自衛隊とソルジャーアントによる壮絶な戦いが繰り広げられていた。
いよいよボスである ”クイーンアント” が表に姿を現しての決戦に、自衛隊も苦戦を強いられているようだ。
司令塔がいる為か、ソルジャーアントの動きが昨日までとは全く違う。
それに、クイーンアントが全長4mと、またデカいのだ。
おまけに装甲もかなり厚く、重機関銃でも弾き返している。
これは少々拙いか。
俺はシロに巨大樹を枯らすように指示を出した。
そして、ヤカンと共に橋で攻防戦を続けている ”クイーンアント” に出来るだけ近づいていった。
そして、フレンドリーファイアを避けるため、威力を抑えてパラライズを1発オミマイしてやった。
これで、しばらくは動けなくなるだろうが。
……このまま残って、援護した方がいいのか?
さてさて、どうしたものか。 と考えを巡らせていた。
すると、南東の方角。
銀座方面より、ローター音を響かせながら近付いてくる。 ”ヘリコプター部隊” があることに気付いた。
……さて、俺達は戻るとするか。
11.09 月曜日
11.24 満月