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106. 上野

 ここ渋谷(しぶや)では、巨大樹(きょだいじゅ)や周りの街路樹(がいろじゅ)にキノコが()えてる以外は、これと言って大きな変化は見られなかった。


 まあ、樹木なんだしキノコぐらいはな。 うん。今日はこのぐらいで良いだろう。剛志(つよし)さんのマンションに帰るとするか。


 ……と、その前に、佳奈子(かなこ)坂井(さかい)隊長とかにメールを入れとくかな。


 「新宿の樹枯(きか)れた。渋谷はキノコに注意、食べないよう指導求(しどうもと)む。地震被災地(じしんひさいち)(はい)危険! ゾンビ グールなど、アンデッドに注意されたし。各自通達(かくじつうたつ)よろ」


 と、こんな感じか。 よし、めんどっちーのでみんなに一斉送信(いっせいそうしん)! 


 ……じゃあ帰るか。 俺は物陰に(かく)れ、光学迷彩(こうがくめいさい)(ほどこ)すと トラベル! を使って剛志さんのマンション前に転移した。


 そしてすぐ、シロ達を召喚(しょうかん)し、マンションの中へ入っていった。





 ぺしぺし。『あそぶ、やかん、おきる、さんぽ、うれしい、おでん』


 う、ううん。 朝か。 いやに暗いな~。雨か? と、部屋のカーテンを開ける。


 窓の外に目を向けると、空は暗くどんよりしている。 そういえば、今日は昼から雨だって天気予報でも言っていたな~。


 おっし、今日は散歩(さんぽ)がてら上野まで出てみるか。余裕(よゆう)が有れば東京駅まで行ってみたいが、雨の中を無理することもないだろう。


 顔を洗ったり準備していると、タマとキロも行きたいと言うので一緒に散歩することにした。


 俺達はマンションのエントランスまで下りてきた。 外に出ると同時に光学迷彩を掛け、トラベル! を発動し、駒込富士神社(こまごめふじじんじゃ)境内(けいだい)に転移してきた。


 ここの巨大樹に変化が無いか見届(みとど)け、上野に向けて移動を開始した。


 神社のすぐ横を走っている本郷通り(ほんごうどおり)を南下、本駒込の先から左に折れ東京芸大(とうきょうげいだい)を目指す。


 そして、東京芸大を過ぎれば、巨大樹は目と鼻の先。上野ならここだよね、「上野恩賜公園(うえのおんしこうえん)」 


 東照宮(とうしょうぐう)や上野動物園が隣接(りんせつ)する。春は(さくら)、秋は紅葉(もみじ)(夏と冬は何だっけ)と四季(しき)を通して楽しめる超大きな公園だ。





 それで、巨大樹が立っているのが


 「正岡子規(まさおかしき)記念球場(きねんきゅうじょう)


 周りにポールと保護ネットを張った、大学の球場のような場所だ。


 まあ、明治20年ごろ詩人(しじん)の正岡子規がこの辺に住んでおり、野球なんかも楽しんでいたとかで、この名前が着いたらしのだ。


「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺(ほうりゅうじ)」 は有名だもんね。 


 俺達はスキップ! を使い球場内にはいると、例によって大樹の周りをぐるぐる。


 うん、魔力のウェーブが西に出てるね。 他はこれと言って変化はないようだ。


 さてと、せっかくタマとキロが付いて来ているので、何処か、連れて行ってやるか。 ……とはいっても、動物園もアメ横も朝からはやっていないし。


 そこの東照宮でも行くか? まあ、神社やら寺であればこの時間からでも問題はない。


 あっ! 浅草寺(せんそうじ)。 そうだ、浅草寺に行こう。 雷門(かみなりもん)の ”大提灯(おおちょうちん)” を見せてやろう。


 と言うことで、俺達は浅草(あさくさ)浅草寺(せんそうじ)に向かうことにした。





 こんな時に何してんの? って言われそうだけど、俺の立場的に言えば受け身なのは仕方ないと思うんだよね。


 別にヒーローやりたい訳でもないし。一応すぐ動けるようにはしてるから、良いのではないだろうか。


 あくまでも、影から応援(おうえん)的な……。 ねっ。


 上野駅の浅草口に回り込んで、浅草通りを東に進んでいく。


 牛丼屋発見! おおっ、右に吉牛 左にスキ屋。ここは両方確保だな! 牛丼も俺の心もホクホク状態(じょうたい)である。


 そしてさらに15分程歩くと、隅田川(すみだがわ)に行き着くのだけれど。 川の手前、駒形橋西詰(こまがたばしにしづめ)の交差点を左に折れると200m程で雷門だ。


 大提灯の下を(くぐ)り、仲見世(なかみせ)を通って浅草寺へ。観音様(かんのんさま)にお参りをしたら、来た道を戻っていく。


 仲見世のおみやげ屋は開店も、閉店時間もバラバラだという事だ。早いお店で8時からオープンするそうだ。


 まだ早朝ということでどこも開いていなかった。 仕方がないので、大提灯の前で記念撮影(きねんさつえい)だけして戻ることにした。





 そして俺は今、新幹線に乗っている。 そう、お(むか)えの為である。


 マリアベルから連絡があり、昼過ぎには(すべ)(そろ)うとのことだ。


 京都駅に着いた俺は、すぐにお山の基地(きち)に転移した。


 「「お帰りなさいませ。ご主人様」」 とフウガ達が迎えてくれる中、リビングを見回すがマリアベル達はまだ、こちらには着いていないようだ。


 そこで俺は、ダンジョン・イナリに頼み、基地の一角に ”魔力スポット” を作ってくれるようにお願いした。


 するとそこには、ダンジョンの壁をくり抜く感じで半円形のドームが出来上がっていた。 広さは、どうだろう? 10人ぐらいは入れるかな。


 魔力濃度(まりょくのうど)通常放出(つうじょうほうしゅつ)の3倍にしてもらっている。


 まあ、魔力濃度は5倍や7倍とかでも問題ないらしいのだが、普通の人間では耐えられないだろうとのことである。


 そうか。”身体頑強(しんたいがんきょう)” を持つ俺でも 少しクラっとしたぐらいだからな。みんなには気をつけるように言っておこう。





 そうして俺は、みんなが集まるまで、東京ダンジョンに関する情報交換(じょうほうこうかん)をフウガと(おこな)っていた。


 そのなかで、アンデッドに関して有用な情報を得ることが出来たのだ。 その情報とは


 「下位のアンデッドには聖水(せいすい)効果的(こうかてき)」 


 なのだそうな。 しっかしな~。 その聖水とやらが何処(どこ)に有るというのやら……。 


 ううんっ?! 俺はインベントリーを開いた。 そしてリストを確認すると、”水:最良、飲水可” と表示された項目がある。 これはもしや……。







11.07 土曜日 

11.24 満月




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