表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/128

101. 覚醒!

 夜も()けて来たので、俺達は ”ティピーテント” を一組貸してもらい休む事にした。


 すると、日を(また)いで、少し過ぎたころ。


 カタカタカタカタ ―――ドウン!


 と、()てた身体(からだ)が10㎝程()くような()き上げが(おそ)ってきた。


 そして、―――ゴゴゴゴゴ! 周りの(きし)む音が(すさ)まじい。


 立ち上がろうにも、立ち上がれない程の、(はげ)しい()れが続いている。


 今まで、こんな大きさの地震は経験が無い。 ひたすら()えて、収まるのを待つしかない状況(じょうきょう)なのだ。


 そして、地震は徐々(じょじょ)に収まっていった。


 時間にして4~5分だろうか? さすがの俺も少しビビってしまった。


 急いでティピーテントを出る。


 周りは真っ暗(まっくら)で、ただただ(やみ)が広がっているだけであった。


 昨日は、まだ新橋(しんばし)や、有楽町(ゆうらくちょう)あたりのビルから光が()れて、(にぎ)やかしかったのだが。


 今は、何もない。


 ……暗闇(くらやみ)だけが、そこに有るだけだった。





 俺はみんなが無事なのを確認(かくにん)していく。


剛志(つよし)さんは横に居るから大丈夫だ。 タマと、キロもこちらに寄ってきた。


 みんな特に問題ないようだ。


 ……熊店長(くまてんちょう)は大丈夫か? 


 向こうの方でジョンとパンチが()えているのが聞こえる。


 取りあえず、みんなを引き連れて、犬が吠えてる方へと向かった。


 ああ、トレーラーハウスが横倒(よこだお)しになっている。 店長は無事なのか?


 すると、かすかに声が聞えている。なんとか生きてるようである。


 さて、どうするか? ガスは()れていないか。どうだ?


 よし。横倒しになって真上(まうえ)になってしまった窓から侵入(しんにゅう)しよう。


 俺はマグライトを片手にヒョイッと上に登ると、窓から中を(のぞ)いた……。 だが、見当たらない。


 さらに、慎重(しんちょう)に見て行くと。


 ……居た! 横倒しのベッドに(はさ)まれている。


 俺は窓ガラスを外し収納(しゅうのう)すると、トレーラーハウスの中に侵入した。


 そして、店長の状況(じょうきょう)確認(かくにん)しつつ周りの物を収納していき、ようやく店長を保護することができた。 





 後はスキップを使い表に出た。近くに有った木製(もくせい)のパレットの上に毛布(もうふ)()き、そこに店長をそっと寝かせた。


 鑑定(かんてい)してみると、右足の膝下(ひざした)部に骨折(こっせつ)が有るようだ。


 シロに頼んで、ヒールを一発。 2秒で元通りになった。


 これには、熊店長も右足を(さす)りながら唖然(あぜん)としている。


 ……ふぅ。 大事無くて本当に良かった。


 俺は、店長を立たせるとインベントリーから、変身(へんしん)サングラスを取り出して渡した。


 初め困惑顔(こんわくがお)だったが、装着(そうちゃく)して使い方を教えると、


 「おおおっ」


 「スゲー! スゲー!」


 少し(うるさ)い。


 それで熊は(ほう)っておいて、また周りの状況を確かめて行く。


 すると、さっきまでは無かった明かりがポツン、ポツンと見えている……。


 周りが真っ暗なので、どのくらいの距離(きょり)有るのかは分からないが、大事ない事を祈るばかりである。


 大地震(だいじしん)の後に付きものの火災(かさい)である……。


 しかし、あれだけの大地震のあとだ。


 東京の大都会(だいとかい)で、この静けさは逆に怖いとしか言いようがない。


 ケガ人は出ているだろう。緊急車両(きんきゅうしゃりょう)はどうした?


 このまま明るくなるのが、ちょっと恐ろしいような気がするな。


 そのような、今考えても仕方が無い事で、(ふけ)っている俺の目の前にシロが寄ってきて お(すわ)りをした。





 ……そうか。 やはり来たか。


 ちょうど、むしゃくしゃしてた所だ。暗闇(くらやみ)(まぎ)れて、少し(あば)れさせてもらおうか。


 熊店長には あちら製のチタンシャベルを渡し。俺の後ろから、剛志さんと一緒に付いて来てもらうようにした。


 パンチとジョンはシロと行動を共にさせる。 タマとキロは自由に動けと言ってある。


 「敵はラットだ。一般人も居るかもしれないから、注意して行け」

 「もし、(おそ)われている時は判断(はんだん)(まか)せる。一匹残らず殲滅(せんめつ)するぞ」


 「よし、行け!」 


 と、俺の号令(ごうれい)と同時に飛び出していく2人と3匹。 俺はゆっくり中央の道を進んでいった。





 そして、横に展開(てんかい)しながら2往復(おうふく)


 そろそろ東の空が明るくなりかけた(ころ)、俺達はワイ○ドマジックの敷地(しきち)に引き上げてきた。


 今は、シロやタマ達が道路(どうろ)に転がっている。魔石(ませき)を集めている最中(さいちゅう)であろう。


 そして、最初に懸念(けねん)していたガス(もれ)れは心配ないようなので、俺達は朝からバーベキューを始めていた。


 戦った後は腹が減るのだ。


 帰って来たシロやタマも、美味しく焼けた肉や魚にかぶり付いていた。


 それから、シロに付いて良く頑張っていたパンチとジョン、2匹のゴールデンレトリバーは(とも)に Lv.8 まで上がっている。


 さすが中層(ちゅうそう)のモンスター。 倒した時の経験値(けいけんち)が高かったようである。





 そうして日が昇り。 別れの朝。


 「あなた方は……。いったい?」


 「なーに俺達は(ただ)の通りすがりの者ですよ。 今は、どこも同じような状態(じょうたい)だと思います」

 「きっと良い世の中(よのなか)になると信じて、これからも お(たが)頑張(がんば)りましょう」


 俺はパンチとジョンの頭を撫でながら、


 「それで しばらくの間は、この子達を夜に解き放(ときはな)っていてください。そうすれば、もしラットがどこかに(かく)れていたとしても、この子たちが駆除(くじょ)してくれるはずです」


 そして、「何か有ったら電話を下さい」 と、スマホと福岡の連絡先(れんらくさき)を書いた紙を渡しておいた。





 俺達は物陰(ものかげ)に入ると、トラベルを発動し 有明(ありあけ)テニスの森サイドに有る駐車場(ちゅうしゃじょう)に帰ってきた。


 ただ、停電がまだ復旧(ふっきゅう)しておらず、駐車料金を支払(しはら)う事ができない。


 まあ、ここは仕方がないと、駐車時間と連絡先を書いてキャッシャーのパネルに()り付けた。


 そして、次にホテルへ行って見たのだが、完全に閉鎖状態(へいさじょうたい)になっていた。まあ、こちらは記録(きろく)が残っているはずだ。


後で請求(せいきゅう)が有った時で大丈夫だろうと、その場をあとにした。







11.05 木曜日 

11.24満月 .00日ダンジョン




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押すな。押すな~!
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ