表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/128

100. 2匹の舎弟

 俺達は昨日利用した、野外バーベキュー店を(たず)ね。野営(やえい)許可(きょか)を取るべく交渉(こうしょう)をしていた。


 すると、意外とあっさり許可をもらうことができた。 その代わり、


 「大ネズミが出ても助けることは出来ない」 と言われてしまったが、めちゃくちゃ有難(ありがた)い。 そこで、


 「店長こそ、どうして避難(ひなん)されなかったのですか? とても危険な状態(きけんなじょうたい)だと言う事ですが」 と、逆に聞いてみた。


 すると店長は、前方のトレーラーハウスを見やって、


 「あいつらが居るから、ここを(はな)れられなかったんだよ。(われ)ながら、(あま)ちゃんだよなぁ」


 と、言って熊店長は ――ガハハハハハッ と、大口を開けて笑うのだった。


 ふ~ん、そうなんだ。 あの子達の(ため)にね~。


 笑っている店長が見つめている先には、2匹のゴールデンレトリバーが此方(こちら)を向いて、ゆったりと尻尾(しっぽ)を振っていた。





 なんだ、熊のやろー良いヤツだな。 俺達が(しっか)り守ってやるからな!


 そして、俺とシロが2匹のゴールデンレトリバーに近づいて行くと、その2匹はシロの目の前でお腹を見せ、(そろ)って服従(ふくじゅう)のポーズをとるのであった。


 熊店長は(おどろ)いていたが、シロは ”フェンリル” だ。(かく)が違いすぎるから当然だよな。


 ところで、名は何というんだ?  おっ、タグが付いてるな。どれどれー。


 こっちが、「パンチ」 あっちが、「ジョン」 か~。


 良い名前だ。アメリカのハイウェイを走ってそうだな。


 「お~う、よしよし」 可愛(かわい)いよなー。 置いて行ける訳がないよな~。


 そして、俺達は日が()れるまで、施設(しせつ)修繕(しゅうぜん)片付け(かたづけ)を手伝った。


 「いや~。こっちが、すっかり世話になっちまったな~」


 「ほんと、大助(おおだす)かりだよ! そっちのおねーさん方もハンパねーな。ビックリしちまったよ」


 と、言いながら大皿に肉や野菜(やさい) 魚介類(ぎょかいるい)まで、てんこ盛りで出してくれた。





 なんでも、ここの電気がまだ止まったままで冷蔵庫(れいぞうこ)が動かないらしい。


 この分だと中の食材(しょくざい)は、明日までしかもたないだろう。


 だから、ガンガン食えと言う事だ。 そういう事なら遠慮(えんりょ)なく、いかせていただきやす。


 カーー! (うま)ー。 シロも尻尾をブンブン振って、(よろこ)んでいるようだ。


 周りは電気が来てないので、真っ暗だが。 このテントの周りは篝火(かがりび)()いてあるので明るく、そして(あたた)かいのだ。


 お腹がいっぱいになったのか、シロが俺の前に来てストッとお(すわ)りをした。


 んっ、シロが暖かい目で何かを(うった)えている?


 ……なるほど! さすがシロ。


 それで、どこが良いんだ?


 おお、あのデカい 「ティピーテント」(アメリカインディアンの家、おもに平原の部族(へいげんのぶぞく)が利用する移動用(いどうよう)住居)か。


 そこには白のキャンパス生地(きじ)で出来た、人なら7~8人は入れそうな円錐型(えんすいけい)の大型テントがあった。





 俺はさっそく隣で、パンチ ジョンと(たわむ)れる熊店長に話をとおした。


 はじめは困惑(こんわく)していた店長だが。 話をして行くにつれ興味(きょうみ)が出てきたのか、目がキラキラしている。


 ……(だま)されやすそうで、とても心配になるが。 まあ、今はいいだろう。


 そして、女神ユカリーナさまの(ぞう)だが、今回もやはり ”ベ○ダンディタイプ” をチョイスした。


 横向(よこむ)加減(かげん)で、両手を八の字に広げて ふわっと飛び立つ姿(すがた)が美しい。原型(げんけい)を作ってくれたコトブ○ヤさんありがとう!


 そういう訳で、ティピーテントに入り、中を少し片づける。テントの中央付近(ちゅうおうふきん)にテーブルを置き、女神像(めがみぞう)設置(せっち)した。


 ……そして、みんなで(いの)りを(ささ)げた。


 今回はシロの要望(ようぼう)も有り、店長の愛犬(あいけん)たちも一緒だ。


 おおおー! 光っているぞ熊も犬も。 スゴイなぁ。


 みんな祝福(しゅくふく)加護(かご)(さず)かっている。





 んっ、あぁー。 そういう事ね。熊は ”おまけ” ってことね。


 そうなのねシロさんや。


 つまり、パンチとジョンは「加護」を授かっているが、熊店長には「祝福」が授けられている。 というわけだ。


 どうも、ジョンとパンチはシロの舎弟(しゃてい)になったようである。


 これは、あれか? 『ここは、お前達に任せるぞ』 的な……。


 2匹共、ほぼ同じパラメーターで、使える魔法が少し違うようだ。 では、せっかくなのでパンチとジョンのステータスをご(らん)にいれよう。



 ジョン   Lv.1


 年齢     2

 HP    30/30

 MP    15/15

 筋力    15

 防御    15

 魔防    15

 敏捷    15

 器用    15

 知力    15


【特殊スキル】  状態異常耐性     感覚共有(小)


【スキル】    魔法適性(水・回復) 魔力操作(3)


【魔法】     水魔法(1)  回復魔法(1)


【加護】     ユカリーナ・サーメクス



 おお、何処(どこ)かで見たような数字の羅列(られつ)


 シロがかなり強めにお願いしたのだろう。 すでに魔法は使えるようになっている。


 ジョンの ”水・回復” に対して、パンチは ”風・結界” だ。


 この2匹を連れていれば、ダンジョンでも、結構(けっこう) 上の階層(かいそう)まで無双(むそう)できるよな。


 するとシロから、2匹のリードを外してくれという要請(ようせい)がきた。


 熊店長に了解を得て、2匹のリードを外す。 ……ああっ、おぉい。


 シロが2匹を連れて、広場(ひろば)の方へいってしまった。


 なんだ? シメるのか! カワイガリか?(汗)


 ……おおっ違った。


 魔法の訓練(くんれん)だったようだ。 結構、熱心(ねっしん)に教えている。


 そうだよな。 ちょっと間違ったら大変な事になるからなぁ……。


 ここ1時間程、魔法やその他の訓練を終え。トットットと(すず)しい顔でシロは2匹を引き連れて、此方(こちら)に帰ってきた。







11.04 水曜日 

11.24満月 .01日ダンジョン




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
プチ プチ(。・・)σ|ω・`)ノ おっ押すな。押すな~!
小説家になろう 勝手にランキング
シロかわいい! と感じたら押してください。シロが喜びます。U•ɷ•)ฅ
挿絵(By みてみん)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ