球技大会2
ついに始まった試合、僕はゴールの前で悠々と突っ立っている。
構える動作くらいしたらいいと思ったりする人もいるかもしれない。
だが、僕はしない。いや、できない。なぜなら僕はサッカーなどしたことがないのだから。
例えるとするならば初めてサッカーをする幼稚園生くらい無知だ。
と、そんな事を考えながら試合の行く末を見ている真最中なのだが、実際僕は何もしなくても良さそうに感じる。
理由としては味方が強すぎるから、何もすることがない。よって暇だ。
この状況を小説にするならきっと題名は「味方が強すぎて何もする事がありません。ゴールキーパー無敗伝説!」とかだろうか。うん……ないな。
そんな事はさておき達也は裏切り者だった。
あいつ「俺下手なんだよね」とか言っておきながらバンバンシュート決めて女子にキャーキャー言われている始末だ。
ミッドフィルダーの癖にフォワードより活躍してるっておかしいだろ?
ちょっとは僕にも栄光を分けてくれって思いながら達也の背中を見ていた。
「前半終了!」
前半終了のホイッスルが鳴り、各々が水分補給に入る。
もちろん達也もグラウンドの端っこまで戻ってきた、キラキラと汗を落としながら。
「いやー疲れたな。翔太!」
「そうだね。大変お疲れのようで」
わざわざ皮肉たっぷりに言ってもさほど堪えないのか、ケラケラと笑っている。
それどころか肩をポンポンと叩かれ同情されるという屈辱。
あれ? 僕すごいみじめ。
「キーパーお疲れ。ボール来なかったんだから良いだろ。これを予見してお前をキーパーにしたんだ」
「どうせ結果論だろ。もう騙されないからな」
「ちぃ、騙されないか」
半ば冗談のように達也は、顔をしかめた。
本当に達也は食えないやつだ。
「なにはともあれ後は、試合は後半だけだ。キーパー頼むぜ!」
「不本意だけど、僕も恥ずかしいところ晒せないし頑張るよ」
グラウンドに戻りそれぞれの定位置に着く。
後半試合の幕がホイッスルによって上げられた。
後半は先ほどまで防戦一方だった相手はサッカー部をフルに使ってきて対抗していた。
僕たちのクラスも攻めたが相手も粘り強く、四回シュートをされたうち二回点を決められてしまった。
残りの時間は三十秒今の得点は三対二で僕たちが一点だけリードしている形だ。
僕としては二回も点を防ぐことができたので大満足なのだがそう言ってはられない状況になった。
相手がドリブルをしながら駆け抜けてきているのだ。
ここでキーパーの役割を果たせたのなら一躍ヒーロー、もし失点でもしようものなら一躍戦犯というレッテルを貼られることだろう。
それだけは何としても防がなければならない。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
雄叫びを上げながらシュートしてくる相手、僕はヤケクソに右端へ手を出しながら飛ぶ。
バァンという音を出しながらなんとかボールを手ではじくことが出来た。
もう残り時間は五秒ない! ヒーローを確信した瞬間だった。
はじいたボールがちょうど相手の元へ行ってしまったのだ。
僕は死を覚悟する。
クラスでの戦犯を。平穏な学校生活の終わりを。そして一生達也に馬鹿にされる日々――否! 僕は諦めない。
がむしゃらにボールの元に飛ぶ。もはやあれは無意識だったと言っても過言ではなかっただろう。
「ほべきゅ!」
顔面セーブ。勢いのついたボールは僕の顔面へと直撃し、見事にゴールを回避した。
その代償に僕の顔面からは鮮やかな鼻血がたらり、と流れ出した。
「ぶわはははははは!!」
シーンとした静寂の中達也の笑い声だけがこだまする。
僕はこの瞬間ヒーローと引き換えに何か大事な物を失った気がした。
今回急いで書き、至らない点が多くあるので後で修正を入れさせてもらうと思います。
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