意外な人物
やっぱり、いないのかな……。
学校も休日に入った今日、僕は部屋で一人ゲームをしていた。
プレイしているゲームは「バレット・アンド・ライフル」プレイ人口約五百万人と、男を中心として流行っているFPSゲームだ。
ゲームをしながら、学校にいると噂されるプロゲーマーの事を考える。
結局霧江さんからもらったアドバイスも、女子の知り合いがほぼ皆無な僕にとっては、それほど有力な手掛かりになり得なかった。
「ああ、くそ! また負けた……」
僕はゲームが下手なので、集中しないでゲームをするとすぐに負けてしまう。
今も画面には敗者の僕をあざ笑うかのように「you lose」と煽り文句が映っている。
少しイラっとしてしまった僕は、早く消したいがために、〇ボタンをついつい連打してしまう。
「カシュ」
ボタンから何か変な音がした。
僕は、まあいいかと気にせず、〇ボタンを押し、リトライを選択しようとした――が反応
しない。
「おいおい、マジかよ……」
コントローラーが壊れてしまった。
僕はやり場のない怒りとつい先ほど行った浅はかな行動に、一人言をもらす。
コントローラーの知識も、機械関連の事にすら携わったことすらない僕には、修理など、土台無理な話だ。
壁に掛けてある、置時計タイプの時計に目を向け時間を見る。
「1時か……」
さて、どこにコントローラーを買いに行くか。
修理はできない事は分かっているので、早々と諦める。
僕は自慢じゃないが、諦めるのは早い方だ。
まだ昼過ぎの時間だから、電車で秋葉原まで出ようか迷う。
秋葉原というところは知識としては知っていても、まだ行ったことがないから興味があった。
「どうしよう……」
迷う……けど、よし! 決めたぞ。
秋葉原は諦めて色々な物が置いてある、ドン・〇ホーテに行こう‼
理由? 電車賃がどのくらいか調べたら意外と高かったからだ。
学生の身には電車賃というのは大きなネックだ。
懐が寒くなるのは嫌だ。
もう少し学校生活に慣れたらアルバイトとかしてみたいなあ。
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「おお、着いたけどで、でかいな……」
最寄りの駅から電車に乗り、街中まで出てきた。
秋葉原までは往復で千円以上かかるが、街中に行くだけなら五百円もかからない、
学生にはリーズナブルな値段だ。
僕は予想以上のでかさに圧倒される。
早速店内に入るが物と、情報量の多さに最早目眩がしてくる。
うろうろと完全に田舎者のような動きをして店内を回る。
僕は一応、都会って言われる所に住んでるのに……。
お菓子コーナーを見つけたので、ゲームをしながら食べるお菓子と部活を今も頑張っている鈴へのお土産としていくつかカゴに放り込む。
その後も広い店内を田舎者のように、はたまたB級映画のゾンビのように彷徨っていると、ゲームコーナーを見つける。
色々なゲーム関連の配線や、カセットがごちゃごちゃと並べられている中にコントローラーを発見し、救出してあげた。
心なしか、喜んでいるように見える。
早く家に帰って使ってあげようと、急いだのが悪かったのか、それとも乱雑に配置してある、僕の背丈よりも高い棚で視界が非常に悪かったからか――
「うわッ‼」
「きゃあ‼」
ドンッ、とぶつかった。
「いた~い」
僕は、ハッとぶつかったことを瞬時に理解するとすぐに立ち上がり、相手に手を伸ばす。
「すいません! 大丈夫ですか」
女の子だ。顔は下を向いていて、良く分からない。
「あ、ありがとうござい……」
固まった。どうしたんだろう?
「か、烏間君……?」
え、なんで僕の名前が分かるんだ!? 顔にでも書いてあったのか?
冗談はともかく目の前にいる女子の事など、僕は知らない。
見た事すらなかった。
「お願い! この事は誰にも言わないで!」
言うも何も僕は、彼女の事など知らない――いや、待てよ。
最近聞いた覚えのある声だった。
「ま、まさか、い、委員長!?」
ありえない……。あの学校では、真面目なイメージしかない委員長が……。
まさか、こんなだらけた格好をしていると誰が想像できるだろうか。
委員長は赤いジャージに、ヘアバンドで前髪を上げている。
まるで休みの日のOLのような恰好だ。
こんな格好をしていてもしっかりと可愛い辺り、流石の美少女としか言いようがない。
「え……。もしかして……鳥間君、き、気づいてなかった?」
「……」
僕は、無言で頷く。あまりにも委員長が可哀そうだからだ。
自分から招待をばらしにいったようなものだ。
「しょ、しょんな~」
委員長はその場で泣き崩れてしまった。
え、これ、僕が悪いの!? 誤った方が良い!?
「委員長、誰にも言いませんって! だからほら、泣き止んでください!」
「ほ、本当?」
「本当ですって!」
「嘘だ……。どうせ……脅して、エッチな要求とかしてくるんでしょ‼」
どこの物語ですか、それ……。
「しませんよ! 委員長は一体、僕をどんな風なやつだと思ってるんですか!?」
「……獣?」
「本当に怒ってもいいですか? 僕」
全く……。彼女は僕を獣と見ていたらしい。意外な本音が聞けて僕もビックリだ。
「ほら、委員長もそろそろ立ってください」
僕が手をもう一度差し出すと、彼女は数秒僕の手をじっと見てから掴んだ。
涙目になっている委員長の顔は、たれ目がより強調されていて、可愛い。
もちろん変な気はちょっとくらいしか起こってないけどね。
「痛っ!」
委員長は立った時に足に痛みを感じたようで足をさする。
「捻っちゃったみたい……」




