2話 complete&standby
修正二話です!
(時が止まった? いやいやいや! ありえないって…………。でも、ほんとに……?)
周囲を見渡す。何も動かない。
(やっぱり何も動かない。本当に……止まったのか)
どうやら本当に止まったらしい。蓮斗は空を見上げる。
「…………?」
そして、異変に気付く。
よく見てみると、先程までは無かったものが、発生している。
ノイズだ。壊れてフリーズしたテレビの画面のようなノイズが、隕石にある。やがてそれは大きくなり、はっきりとわかるようになる。
蓮斗は視線を戻し、周囲を見る。隕石だけじゃない、ノイズはそこら中に起こっている。まるでこの世界にバグが起きているかのように。
この世界のバグ。それは隕石が降ってきたこと? それとも時が止まっていること? 考えてみてもわからない。初めての事態に、蓮斗はただ困惑するばかりだった。
ノイズは広がっていく。蓮斗は気付く。ノイズは発生する場所に差がある。隕石や壊れた建者、傷ついた人間には特に多く広がっている。だが、日常と何ら変わりないものは全くない。
バグは隕石の方? わからない。何も。
(おかしい……何もかも、全部……)
そんなことを考えながら、空を見上げ、隕石を見たその瞬間。
「ッ! 眩しい!」
思わず声を上げてしまう。
本来ならば、届くはずのない光が蓮斗の目に入る。太陽からの光じゃない。光っているのだ、隕石が。いや、そこら一面全て。眩しすぎるほどに光っている。自分以外の周囲の物全てが光る。光はさらに強くなっていき、蓮斗はついに目を瞑る。それでも光は止まらない。まぶたの中は光は突き刺さる。
目には真っ白い景色が映る。蓮斗はその中を歩く。奥へ奥へ。やがてその姿見えなくなってしまったとき、真っ白な景色は突然暗くなる。
(なんだ……?)
すると、周りからは聞こえるはずのないざわざわとした音が聞こえる。街中を行き交う人々のいつも通りの声色。
蓮斗は、ゆっくりと目を開ける。
「なッ…………!」
映ったのは、隕石が落ちてくる前と全く同じ景色。蓮斗の視界いっぱいに、〝日常〟が映る。
全てが、戻っていた。蓮斗が目を瞑り、意識が一瞬飛んだ間に、全てが元どおりになっていた。
目を見開き、キョロキョロと周りを見る。だが、隕石は無いし、建物は壊れていないし、炎や煙は上がってなく、人も当たり前のように笑っている。
「夢……だったのか?」
先程までの惨劇は一体なんだったのだろうか。蓮斗の頭の中に疑問がぐるぐると渦巻き、どこか違和感を感じるが、それをかき消すかのように、華那のことを考え始める。
(まぁ、悩んでても仕方ねぇか。疲れてんのかな? 華那に相談してみるか……)
なんであれ、世界が無事で平和ならそれが一番。考えすぎる必要はないだろう。そう考えながら、蓮斗は病院へと再び歩き出す。
だが、隕石など所詮きっかけに過ぎなかった。きっかけにして、蓮斗の運命を大きく動かすもの。
この瞬間、たしかに〝それ〟は終わり、〝それ〟は始まっていた。
《ザザッ、ザザッ…………game complete……》
《………………restart……standby……ザッ、ザザッ》
もう、戻ることはできない。
誤字脱字質問文句否定愚痴なんでもいいのでお願いします。
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