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稲村的突発性短編集

「我が家の掘りゴタツが異世界と繋がったみたいだけど、ぬくぬくしたいので無視してます」

砂臥様、こんな感じになりました。



 魔窟(まくつ)、なんて呼びたいんですよ。


 居候だからお手伝いしなきゃ、いけないんですが。それを阻むのが、今、私が足……いや、胸元までとっぷりと突っ込んで全力で屈してる『コタツ』なんです。



 縁有って、お世話になってるお店の片隅に、一段高くなるよう木箱を並べて組み合わせて、更にご丁寧に畳まで敷いて四角い枠を置き、その中心に窪み、そして御神体みたいに『コタツ』が鎮座してます。つまり小粋な『掘りゴタツ』なんですよ。


 その中には籠に包まれた謎の【あったかいモノ】が有りまして、半永久的にあったかいらしいです。謎ですよ、謎。でもホカホカするからヨシ。


 そもそもココは【異世界スナック】とか言う奇っ怪なお店でして、そこに突然現れたおっさんに「美味しいモノが沢山食べられるから行ってみたら」と誘われまして、居候と洒落込んだのが随分と前の話で……



 ……あ、自己紹介が遅れました。私、フィオーラって言います。まぁ、簡単に説明すると、とある事故で六人と一匹、あと何か……あ、それに厄介なバカとごちゃまぜになりまして、何だかんだあって『白面九尾』ってキツネのオバケになった人狼(ワーウルフ)女子なんですが、まぁ、それはそれ。


 今日はお店が休みなので、お手伝いは身の回りの事だけでいーんですが……ココに入ってると……なんだか、ねぇ?




 ……くあああああぁ……あふ♪ 眠くなりません? コタツって……



 ……お手伝い、しなきゃ、いけないんですが……ふむぅ……





✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳





 ……と、うつらうつら、してましたら……




 何だか急に、足元がスースーしてきたんですよ。急に。


 さては例の【あったかいモノ】が止まっちゃったのか? と思って、モソモソと尻尾を脇に退()けて(だって九本もあるんだもん)、頭を突っ込んでみましたら……




 ……これは……コタツ、ですかね? 掘りゴタツの真下に妙なモノが見えますよ。【あったかいモノ】が在った場所に、コタツ。当然ながら【あったかいモノ】はありません。つまり……あったかくない。





       ……いやいやいやいや、これはマズイでしょっ!?


 ねぇ! 私は無実ですよ!? 判ってます! コタツを壊したりしたら怒られる事なんて!! 前に濡れた洗濯物を【あったかいモノ】に載っけて乾かそうとして怒られたし、もっとあったかくしたくて【地獄の業火(ヘル・ファイア)】を仕込もうとして怒られたから、よし、大事にしよーっ、て今まで思ってましたから!!



 ……しかし、何でコタツなんだろ? ……普通さぁ、こーゆー時って、階段とかじゃないの? ……えっ、何でコタツだって判ったかって!?


 ……だってさ、下から足がニュッ、て出てるんだよ? 人の足が。同じような掘りゴタツみたいになってて、同じようなやぐらになってて、そこの隙間から足が二本ぶらさってるの。




 ……でも、人が足を入れてるからかな? ……何となくあったかいや。



 ……うん、あったかいや。





 ……ほっとこ。





✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳




 「……ねぇ、ヨシオさん……そこ隙間空いてない?」

 「……え? 別に空いてないよ?」



 「……そう? ……何だかスースーする気がするんだけど……」

 「僕はそーでもないけど……あったかいよ?」





 「……気のせいかなぁ……?」

 「……サーモスタットが働いて、熱くならないように止まったんじゃない?」




 「……そーかなぁ……まー、いっか……」





 「「……あったかいから、いっか……」」






あったかい掘りゴタツ。たまには中を見た方がいいですよ?

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― 新着の感想 ―
[一言] ありがとうございます! まさか本当に書いてくれるとは(笑) なにもかもを無視しちゃうのもこたつの魔力ですね! こたつ……恐るべし。
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