コント 読ませたい本
僕のナレーションが多いです。ボケは人間じゃなくて、本です。ボケは本の着ぐるみを着て演じると面白いかも。
ボケ:本
ツッコミ:僕(本を借りた学生)
コント高校の図書館には恐怖の本があるという噂があった。
先輩からその噂を聞き、僕は軽い気持ちでその本を借りに来ていた。
僕:「あ、あった。この本か…先輩が言う通り、目力のすごい目が描かれてるな…厚みはそんなにないな。『昔々、あるところに小岩と言う女がいた。小岩は若いのに大そうな働き者だった。その働きぶりが認められれ、小岩は名主の家に奉公することになった』…へぇ…」
冒頭を少し読み、全体をピラピラと捲って本を閉じ、カウンターへ持っていく。
その時、一瞬強い視線を感じて振り返るが、誰もいなかった。
本を借りて無事帰宅。
本は翌日から読み始めた。
僕:「『名主の家に来た小岩は一生懸命働いた。その評判通りの働きぶりに感心した名主は小岩に賓客用の食器の管理を任せることにした』…あ、何か先が読めてきたぞ。きっと、その大事な皿を割っちゃんだ。そして、自責の念に駆られて死んじゃうんだけど、死んでからもその割れた皿がないと数え続けてるやつだ、きっと…」
先が読めてしまった僕は本を、ソファの上に放り出した。
もう読む気はなく、期日が来たら返そうと思った。
それから、地獄の日々が始まる。
ー真夜中ー
?:『おい…』
誰かの声が聞こえて僕は目を覚ました。
起きると、枕元に借りた本があった。
僕:「あれ、寝ぼけて持ってきたかな?」
僕はベッドから本を払い落として眠りについた。
翌朝、僕は寝坊した。
朝食も食べずに学校に行った。
一時限目、国語。
僕:「あれ!国語の教科書じゃない!?」
国語の教科書の代わりに出てきたのはあの本だった。
そして、あの視線。
気味が悪くなった僕はその本をもう返却することにした。
ところが、図書館に行くまでにその本はなくなっていた。
家に帰ると、ポストにあの本が入っていた。
僕:「落とし物で誰か届けてくれた?」
僕は明日こそは確実に図書館に返却しようと心に決めたが、返却できなかった。
家に帰ると、部屋のど真ん中に本が続きを開いた状態で落ちていた。
僕:「何なんだ、この本!?」
本:『読め〜読め〜…読まないと、返却させない!』
僕:「本が喋った!?」
本:『読め〜読め〜』
僕:「読めるか!?」
僕は怖くなって本を部屋の窓から外へ投げ捨てた。
しかし、次の日…
僕が風呂で湯船に浸かっているとき、それは浮いてきた。
僕:「ひいいいいいいいい!!!」
僕は部屋に逃げ帰り、部屋の鍵を閉めて布団の中に潜り込んだ。
僕:「これは夢だ!夢だ!」
自分に言い聞かせるように言って、眠りにつく。
だが、深夜、強烈な金縛り襲われた。
強制的に仰向けにされ、布団が捲られた。
そして、あの本が胸元で続きのページを開いて立っていた。
本:『続きを読め!返却日まで後10日しかない!後30ページだから1日3ページ読めば間に合う!』
僕:「読みます!読みますから、どうか命だけは!」
僕は金縛りにかかったまま本を必死で読もうとしたが、恐怖で失神してしまった。
本:『たく、根性ねぇな…』
本は悪態をついて、その日読めなかった分を明日へと繰り越していった。
僕:「『客が来るたびに…小岩は大事な食器を丁寧に取り扱っていた…しかし、ある日、5枚あるうちの皿を不覚にも1枚割ってしまった…その日の客の数は4人でギリギリ発覚は免れた。だが、次、5人来た時にはばれてしまう…言い出そうにも、その皿は名主のとびきりのお気に入りだった…』はあ、はあ、ああ、もうだめだ!」
本:『あと、3日だぞ』
僕:「金縛り状態で読むって、疲れるんですけど…」
本:『でも、解いたら読まないだろう?仕方ねぇな、俺が読んでやるよ』
本が空中に浮いて紫のオーラーを放ち、おどろおどろしい朗読が始まった。
本:『名主の怒りを恐れた小岩はどうしても言い出すことができなかった〜。そして〜、その皿を5枚使う日が来てしまった〜…』
僕:「うわあ、無理無理無理!」
チーン
本:『もうノックダウン!?』
次の日の夜。
本:『はい、続きから。名主の怒りは凄まじく、小岩は屋敷を追い出された〜。途方に暮れた小岩は崖から身を投げた〜』
僕:「もう勘弁して〜!」
本:『まだ、気を失うな!2回目だぞ!』
本に角で攻撃されて、僕は目を覚ます。
本:『それから〜、名主の倉に足りない皿を数える小岩の幽霊が出るようなったそうな〜終わり〜』
僕:「ナンマイダ〜ナンマイダ〜(何枚だ〜何枚だ〜)」
パタ!
本:『くくく、こと切れたか…』
最終日。
本:『怖かったか?』
僕:「超怖かったよ!」
本:『だろう?』
僕:「内容じゃなくて、あんた自体が!」
本:『読み手のスキルも必要だからな』
僕:「あんた、小岩さんじゃないよね?何なの?最後まで読ませるって、作者なの?」
本:『違うな、ファンだ。俺は忘れられそうなこの本で、世界を再び恐怖に陥れいる。口コミよろしく!ノルマは10人、達成できなかったらまた怪談するぞ」
僕:「生贄紹介します」