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光輝士セイグリッター  作者: なろうスパーク
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第22話「二対一」

「うわあっ!!」



タオゼントフースの砲撃が、セイグリッターに命中した。

東京グランドピラーに穴を開けるほどの一撃を受け、セイグリッターは後ろに向けて吹き飛ぶ。



「く、クソッ………!」



立ち上がろうとした瞬間、セイグリッターの背後に衝撃が走り、再び吹き飛ばされる。


吹き飛ばしたのはガイストパンドラー。

その巨体とスピードを生かした体当たりで、セイグリッターを地面に叩きつけた。



「ぐうっ………!」



タオゼントフースに意識を向ければガイストパンドラーが。

ガイストパンドラーに意識を向ければタオゼントフースが。


間を置かぬ二体のインベイドベムの攻撃は、徐々にセイグリッターを追い詰めていった。



「このままでは………!」



このままでは、いくらセイグリッターでも危ない。

それは解っていようと、どうにもならない。


焦りからか、シャルルの額に一筋の汗が流れた。





………………





二体のインベイドベムに追い詰められるセイグリッターの姿は、東京グランドピラーからも見えていた。



「青いロボットが負ける………!」



押されるセイグリッターを前に、由子が呟く。


今はセイグリッターに敵が集中しているが、セイグリッターが敗れれば敵を防ぐ物はいなくなる。


そうなれば、この東京グランドピラーは今度こそ破壊され、多くの死者が出る。


一体どうすればこの状況をどうにか出来るのか。

何もできないでいる悔しさからか、刃の表情が強張る。


その時。



「………んっ?」



刃がポケットに入れていた携帯電話から、歌謡曲が流れた。

弥太郎に設定した着信音だ。



「どうした、弥太郎」



刃は携帯を取り、弥太郎からの着信に答える。



『隊長、グランドピラーに居るから解ると思いますけど、怪ロボットとセイグリッターが街で交戦しています』

「ああ、ここから見えている」



状況について、弥太郎と話を交わす刃。

先程とは打って変わっての、戦う男の顔をしている。



「俺達はセイグリッターを援護する、スカイデルタは無人で発進させてくれ、こちらで誘導する」

『了解しました!』



弥太郎との交信が終わり、刃は携帯を仕舞う。



「皆さん、今から少し危険な事をします!窓から離れてください!」



そして、今このレストランに閉じ込められている人々に向けて、窓から離れるよう呼び掛ける。


突然の事に戸惑いながらも、人々は刃の言う通りに、窓から距離を置く。

由子も、同じように窓から離れる。


人々が窓から離れた事を確認すると、刃はポケットから何か黒い豆のような物と、テープを取り出す。



「………それ、何?」

「遠隔操作式の小型爆弾だ」

「………いつも持ってるの?」

「まあな、何が起こるか解らないし」



そんな物騒な物を持ち歩いている刃に、少しばかり引く由子。

まあ、職業柄という物もあるのは由子も理解しているのだが。





………………





「………グラヴィティストーム!」



上空のガイストパンドラーの胸より放たれる、重力の嵐。

それは地面を抉りながら、セイグリッターを包み込む。



「ぐっ………うう………っ!」



セイグリッターが膝をついた。

襲いかかる重力の嵐に、耐えられなかったのだ。


動きが封じられたセイグリッターを前に、タオゼントフースがビーム砲の砲身を向けた。


エネルギーがチャージされているらしく、砲口から光が漏れる。

セイグリッターに、トドメを叩き込むつもりだ。



「く………くそっ………!」



立ち上がろうとするシャルルだが、身体が動かない。

セイグリッター共々、グラヴィティストームにより押さえつけられているのだ。

文字通り、手も足も出ない。



『ギュググググ………!』



嘲笑うように、タオゼントフースのバイザーが赤く輝く。

セイグリッターに向け、チャージしたビーム砲を放たんとした、その時だ。



『………ギュグッ!?』



突如上空より降り注いだ光の刃が、タオゼントフースを吹き飛ばした。



「何………?」



驚くブレード。

次の瞬間、次はマシンランチャーの弾丸が、ガイストパンドラーに襲いかかった。



「ぐあっ!?」



衝撃によりガイストパンドラーがよろめき、グラヴィティストームの放射が止まる。

重力の嵐から解放され、セイグリッターが立ち上がった。



「援軍だ!」



空を見上げるシャルルの視線の先より、空を切り裂いて飛来する三つの機体。


無人状態のスカイデルタ。

そしてドリルデルタをマウントしたシャドーデルタだ。



「ドリルデルタ、マウント解除!」

「行くぜ行くぜ行くぜー!!」



轟音を立てて地上に降り立ったドリルデルタより放たれる、ミサイルの雨。

そしてスカイデルタからのウイングカッターが、ガイストパンドラーに襲いかかる。


対するガイストパンドラーは、回避に徹する。

ガイストパンドラーの動きが封じられた。



『ギュゴオオオ!!』



ガイストパンドラーを攻撃するシャドーデルタとドリルデルタを破壊しに向かわんとするタオゼントフース。

だが、敵はデルタ兵機達だけではない。



「やらせるか!」

『ギュグッ!?』



セイグリッターが背後から砲身を掴み、タオゼントフースの動きを封じた。



「でりゃあっ!!」

『ギュガァ?!』



そしてそのまま、背負い投げの要領で、タオゼントフースを背後に向けて投げ飛ばす。

タオゼントフースは、そのまま地面に叩きつけられた。



残ったスカイデルタは、刃からの遠隔操作により、東京グランドピラーに向けて飛翔した。

セイグリッターと二機のデルタ兵機が、ガイストパンドラーとタオゼントフースを押さえている間に。





………………





「………よし」



スカイデルタがこちらに近づいている事を知ると、刃も窓から距離を置く。

窓には、刃が取り付けた小型爆弾が貼り付けられていた。


迫るスカイデルタを前に、刃は自分の携帯から、小型爆弾を操作する。



「皆さん伏せて!」



刃が叫ぶ。

そして人々が一斉に身を屈めた。


瞬間、窓に張り付いた爆弾が火を吹いた。


爆発音と共に、ガシャアというガラスの割れる音が響く。

窓が吹き飛び、ガラスの破片が飛び散った。



爆発により、ガラス張りの窓に人一人が通れる程の穴が開いた。


無論だが、ここは東京グランドピラーという超高層タワーの一角であり、穴の外からはビュウビュウと風が吹き込んでいる。


まず、消防のはしご車はここには届かない。


そしてその状態で、この穴から外に出る事が何を意味するかは、誰だって解る。


だが、刃の目的は人々の救出ではない。

無論、連合軍軍人として、人々の安全は第一に考えている。

刃の本当の目的、それは。



「………たあっ!」



その場に居た誰もが、目を疑った。

なんと刃は、窓を爆破して開いた穴に、なんと身を投げ出したのだ。



「刃!!」



由子が叫ぶ眼前で、刃は東京グランドピラーから真っ逆さまに落下してゆく。

そんな刃に、向けて迫るは、自動操縦状態のスカイデルタ。


刃の姿を確認したように、スカイデルタのコックピットが開く。


刃の狙いは、これだ。



「………はっ!」



体制を整え、刃はスカイデルタのコックピットの中へと飛び込む。

瞬間スカイデルタのコックピットが閉じ、上空へと舞い上がった。



「よしっ!」



すかさず、遠隔操作システムから、通常システムへと戻す。

東京グランドピラーをバックに、パイロットを得たスカイデルタが、二機のインベイドベム向けて飛翔した。



「これでも食らいな!」



ミサイルとウイングカッターに翻弄されているガイストパンドラーに対し、背後からマシンキャノンを放つスカイデルタ。



「ぐっ!?」



背中からマシンキャノンを浴びたガイストパンドラーは、体制を崩し、ミサイルとウイングカッターの直撃を受ける。



「この………なめるなァァ!!」



ちょこまかと煩わしいデルタ兵機に対し、怒りの叫びをあげるブレード。

再びガイストパンドラーの胸より、グラヴィティストームを放った。



「うおっ!?」

「きゃあっ!」



飛行していたスカイデルタとシャドーデルタは、その直撃を受けた。

かつてやられたように、明後日の方向へと吹き飛ばされる二機。



「よい………しょお!」



だが、同じ手に二度もやられるヤタガラスではない。

刃と珠江は巧みな操作で、スカイデルタとシャドーデルタを重力の嵐から脱出させた。



「うおおっ!?」



だが、そのスカイデルタをビーム砲が襲う。

タオゼントフースだ。

セイグリッターとの取っ組み合いの隙をついて、スカイデルタを狙ったのだ。


ビーム砲はスカイデルタに直撃した。

だが、スカイデルタを落とすには力不足だったらしく、よろめきながらもスカイデルタは飛び続けている。



「くっ………奴等も中々やる」



だが、何度も食らえばその限りではない。

刃の額に、緊張の汗が伝った。


単なる戦闘機と戦車であるデルタ兵機では、タオゼントフースかガイストパンドラーのどちらかを押さえ込む事などできない。

サポートで精一杯だ。

これでは、二体一と何ら変わりがない。


せめて、こちら側にロボットがもう一体あれば。



「………ロボット?」



瞬間、刃の頭に閃きの電流が走る。

このデルタ兵機、そもそもの姿と用途は………。



「神楽博士!」

『何か?』



刃はスカイデルタの通信を、タカマガハラに居る神楽へと繋いだ。



「デルタの変形システム自体は完成してるんですよね?」

『ええ、してるけど………あなたまさか?!』



神楽は、刃が何を考えているのか予想がついた。

そして、それがいかに危険な賭けとも。



「デルタ各機の変形システムを作動させ、ここで合体させます!」



以前に述べた通り、スカイデルタ、シャドーデルタ、ドリルデルタの三機は、本来は一機の巨大兵機を構成するパーツ。


三機が合体する事で、三機のデルタ兵機はその本来の姿を現す。



『そんな無茶よ!合体はとてもデリケートで危険な作業なのよ?!それも戦場で敵の攻撃を受けながら合体なんて………!』



だが神楽の言う通り、それは危険だ。


数十トンの重さを持つ三機のデルタ兵機が、そのボディをぶつけ合うような物だ。


おまけに寸分のズレも許されず、ふとした事で三機がまとめて破壊されるという事にも繋がる。


おまけに、ここは敵の攻撃が飛んでくる戦場。

合体が成功する確率は、極めて低くなる。



「………博士、無茶なのは解ってます」



刃にも、それがいかに危険なのは解っていた。

だが。



「………それでも、我々はやらねばならんのです、我々は市民を守る連合軍の軍人なのです」



それでも、やらなければならない。


刃も、珠江も、弥太郎も、人々の安全と平和を守る為に戦う、地球連合軍の軍人なのだから。


彼等の背後にある東京グランドピラーには、今も逃げ遅れた人々が閉じこめられている。


その人々を、二機のインベイドベムから守る為に危険な橋を渡らなければならないなら、彼等は迷わずそれを選択する。


それが、地球連合軍の軍人であり、彼等チーム・ヤタガラスなのだ。



「行けるな?珠江!弥太郎!」

「はい、隊長!」

「覚悟は出来てますよ!」



珠江も弥太郎も、既に覚悟はついている。

機体のレバーを倒し、シャドーデルタとドリルデルタが、スカイデルタに続く。



『ギュグッ!?』

「………ッ!」



ヤタガラスが何かしようとしていると感づいたのか、タオゼントフースが再びビーム砲を放ち、ガイストパンドラーがブラッディランサーを構える。


飛来するビームの雨霰を、三機のデルタ兵機は上手く回避してゆく。



「合体シーンに邪魔してんじゃないよ!」

『ギュガァ?!』



ドリルデルタの上部が開き、再び放たれるミサイル。

それはタオゼントフースに命中し、爆煙が視界を遮る。



「ショルダーカッター!」

「ぐっ!」



ガイストパンドラーの方は、ショルダーカッターを使った二刀流のセイグリッターが立ちはだかった。

舞い上がり、二刀の刃をブラッディランサーにぶつけ、動きを封じる。



「今だ!合体するぞ!」

「了解!」

「了解!」



これで邪魔者は居なくなった。

そしてこの隙を逃さんと言うように、刃はスカイデルタの可変システムを起動した。

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