表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

10話 生きて

来週で打ち切りにします!

「はぁぁぁ!!」


俺の呼びかけに応えるように、リスアが後方から飛び出した。その勢いで細剣でドラゴンを一突した。


ゴァァァァ!!


硬い鱗によりダメージはそこまで受けていないようだが、リスアに注意を向けるには十分だった。


「皆、今の内に!!」


リスアがそう叫ぶと、それまで呆然と見ていた国民は、はっ!と我に返り一斉に逃げる。それに俺も乗じて逃げーー


ゴァァァァ!!


「くっ......!」


ドラゴンはブレスを吐き、リアスはそれを寸前のところで避ける。しかし、運悪く避けた先にドラゴンの腕があり、リアスは弾き飛ばされてしまった。


「かはっ......!?」

「リスア!!」


リスアはそのまま吹き飛ばしれ、家の壁に激突した。アニメとかで見るようなめり込み方はしていなかったけど、それでも結構な衝撃の筈だ。無事では済まないだろう。


ゴァァァァ!!


やばい!ドラゴンが再びブレスを吐き出そうとしている……!このままだとリスア......!どうする!?


ゴァァァァ!!


ーー考えている暇は無い.......


「ダァァァ!」

「......!?」


間一髪でリスアを抱え、横に思い切り飛ぶ。受け身の事など何も考えていなかったから、最悪リスアだけでも……!とかんがえ、自分が下になり地面を転がる。くっ……やはり実際やると、すごく痛い……。


「卯月……!?あなた、何やってんの!?今すぐここからーー!!」

「リスアは、どうするの?」

「……!?」


リスアが一瞬目を見開く。やはりそうか、リスアは多分、“自分が囮になれば皆助かる”なんて考えたのだろう。実際に、リスアがドラゴンを引きつけてくれたおかげで、国民の皆は安全な場所へ逃がす事ができた。でも、リスアはどうなる?ドラゴンの意識はリスアに集中しているから、隙をみて逃げ出すのは無理があるだろう。まさかーー、


「まさか、死ぬつもりで囮に……?」

「…………」


リスアは目をそらし、俺と目を合わせないようにしている。やはりか。確かに国民の皆は助かる。でも、リスア自身が死んでしまったら本末転倒だ。俺は、誰も死なせないために頑張った。なのに、リスアが死んでしまったら、何の意味がもない。


「だって……!こうでもしなければ、国民達を避難させられなかったし、もっと犠牲者が増えていたかもしれない!!だから、私一人が囮になれば……!」


今まで、こうやって自分を犠牲に生きてきたのだろうか……?まだ、俺たちの世界じゃ高校生くらいの年なのに、見知らぬ人のために自分の命を粗末にする。そんなの……あまりにかわいそうじゃないか……!


「……君に囮はさせない。早くここから逃げるんだ」

「卯月はどうするの……?」


俺はニッと軽快に笑う。出来る限り、彼女に心配をかけないために……。


「なに、リスア達が逃げたのを見たら、俺も一目散に逃げるさ!こうみえて、逃げ足だけは速いんだ」


そう言っている間にも、恐怖で足が少し震えている。俺は足をリスアを誤魔化すように屈伸をする。リスアに俺の心情を悟らせないように、逃げる足枷にならないように……。


ゴァァァァ!!


どうやらあまり時間は無いようだ。ドラゴンが俺達を視認したあと、攻撃するモーションに入る。あれは……尻尾か!!


ドゴォン!!


尻尾を振り回して、次々と家をなぎ倒していく。これだけでも破壊力は一目瞭然だ。あんなものを食らったら一たまりもない。


「リスア!早く!!」

「っ……!」


俺の一喝で、少し迷いながらも後方へ逃げ出した。これで……、これでいいんだ。今までろくな人生を送ってこなかったんだ。ここで終わっても、あまり変わらないーー


「卯月!絶対……!絶対生きて帰ってきてよ!!」

「……っ!!」


……誰かから必要とされたの、いつ以来だろう……。1年前に両親が事故で亡くなって、それ以来自分の部屋に引きこもる日々が続いた。学校にも、外にも出ていない。お金とかはゲームの大会とかで稼いでたし、困る事なんてなかった。でも、“誰にも必要とされなかった”。


ゴァァァァ!!


そんな事いわれちゃーー


「簡単に死んでたまるかぁぁぁ!!」


俺は、自分に降り注ぐ尻尾を躱し、前方に全力疾走した。ドラゴンの意識は俺に向いているから、リスア達の方に向かっていく心配はないだろう。問題はーー


“こいつをどうやって倒すか”だ……。


「ドラゴンの倒し方……!アニメやゲームではどう倒してたっけ……!?」


俺は、長年の引きこもり生活によって得たアニメorゲームの知識をフル動員させる。今まで数え切れないほどのファンタジー系を見てきた筈だ!今活用しないで、いつ活用するんだ!


「剣……いや、俺には扱えない!なら、あとは……!」


走りながら思考しているせいか、上手く頭が回らない。焦りと恐怖……その感情が思考の邪魔をする。


「くそっ……!なにか、何かないか……!……あ!」


俺の頭にある知識が横切る。そうだ、何も“ファンタジーに限らなくてもいい”んだ!この方法を実行するには材料がいる。あれは……薬局!!看板にカプセルの絵が描いてあるから、間違いないだろう。


「あそこになら……!」


俺は薬局に入り、薬品棚を探る。貼ってあるラベルの文字が日本語ではないため、どれがどれだか分からない。でも、日本語ではないが、日本語に似ている文字だ。


「早くしないと……!」


今はドラゴンと距離があるからまだ時間はある。しかし、それでも数百メートルだ。モタモタしていたらこの薬局と一緒に潰されてしまうだろう。ここからは、時間との勝負だ。


「これか?これでもないし……。……!あった!」


そこには、ラベルに溶けているドクロが描かれている瓶があった。これが多分塩酸だろう。それで、こっちが金属が溶けている絵。恐らく硝酸だろう。あとは、注射器の中にこれを混ぜて……出来た!


ゴァァァァァァ!!


覚悟を、決めろ。


「うぁぁぁあ!!」


俺は勢いよく薬局から出て、ドラゴンの意識を俺に向ける。そうだ、俺を見ろ!こっちを向け!


ゴァァァァ!!


ドラゴンは尻尾で薙払いをする。俺は後ろに飛び退け回避する。チャンスは一度きりだ。冷静に、隙を見極めるんだ!続けてドラゴンは、腕を振り下ろし俺を潰そうとする。横に転がり避ける。避ける。避ける。


(くそっ……このままではジリ貧だ……)


ドラゴンは戦い慣れているのか、なかなか隙を見せない。確実に突き刺さないといけないのに……!このままじゃーー


「はぁぁ!!」

「……!?」


ドラゴンの後方から、聞き慣れた凛とした声が聞こえた。まさかーー


「リスア!?なんでここに!?」


そこには、細剣を片手に持ったリスアが立っていた。






お読みくださり、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ