止まった時計13
天井の木目に色気を感じる深夜未明。
渇いた喉を潤すために布団から脱けだす。
ちらと一瞥した窓の外はしんと暗い。清掃車だろうか、聞き慣れないエンジン音が低く響いてくる。
静寂の中にいると普段気にも留めない音が気になってくる。遠い緊急車両のサイレン。エレベーターの駆動音。どこかの部屋から聞こえる小さな打撃音。ベッドでも叩いたんだろうか?
ヤカンから白湯をマグカップにそそぎいれる。金属がすれあう音。
無音はない。
流しにもたれてマグを口につける。
外から大きなブレーキ音が響き次いで大きな音が響く。止まることのないクラクションの音は長く長く伸びてゆく。
人のざわめき。
緊急車両の近づきくるサイレン。
止まないクラクション。
飲み終えた空のマグカップ。
十時十分で止まったままの掛けられた時計。
「さ。もう一眠り」
無情に続く日常。