鍛冶回一本目
カンッ!カンッ!カンッ!……
「はぁこんなものか…」
そこにはひとり剣を叩き、ため息をつく男がいた。
(こんなんで戦わせることしかできないのか俺は…)
ポイッ、サクゥゥゥ、
放り投げた剣が床に突き刺さり深くまで行ったような音がする。
用事から帰ってきた男は剣を叩くのを止めて上の部屋へ行く。階段を上がると自分の作り上げた武器や防具が雑に箱の中におさまっていて、売れていないことにうなずく。すると前のほうから声をかけられた。
「お疲れ様です。また剣を無駄にしたのですか?ゼル殿。」
ゼルというのは俺の名前だ。そして俺を呼んだのは店番のラルという女の子だ。
俺は少し考えたふりをしながら
「ああ、また失敗作を作ってしまったよ…」と逃げるように言った。
「そうですか…材料もただではないのですよ?」
「わかっている。」
いつもの会話をして俺は少し変わった服を着て
また外に出ようとする。
「ゼル殿がその服を着ると存在があるのかないのかよくわからなくなりますね。」
「意識できるだけですごいと思うぞ。」
ラルが言ったのは、効果により認識を阻害する働きを持っている服についてで。意識できるだけですごいとは、ある程度場数を踏んだものだということだ。
「じゃあ、いってくる。店番さぼるなよ?」
真面目に不真面目な顔をして言うと
「わかってますぅー。」
と退屈そうに言ったのを見る前に店から出ていった。
全然話が進まない…