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リビングデッド  作者: KAI
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平和な日常

揺れる電車の中、神原 和人は窓から外の景色を眺めていた。


「どうした和人? 何か面白いもんでもある?


そう話しかけてきたのは、俺の隣に立っている南 正二だった。


「いや、何もない」


「そっか」


そう言って肩をすくめ、あくびをする正二は幼い頃からの付き合いだ。


同じ大学に入って二年経つが、ほとんど毎日こうして同じ電車に乗り、大学に通っている。


とは言っても、受けている講義は別々で、この行きの電車以外で会うことは少ない。


「なぁ和人、来週の日曜日合コン行かね?」


「‥‥‥先週に行ったアレは? アレは合コンじゃないのか?」



「いいだろ別に? 可愛い女の子と話して飲んで、あわよくばお持ち帰り、なんてな。合コンは何回やってもいいもんだろ」



「‥‥‥わかった、行くよ。 ただ、先週みたいな状況になるのはごめんだからな?」



「俺だってアレは予想外だったって。地元の女子大生が来るって聞いてたのに、まさか四十過ぎのおばさんが来るとは‥‥‥」



正二は額に手をつけ頭を振り、懸命に忘れようとしているようだ。



「だから、今回はそのリベンジだ。俺はやる‼ やってやるぞ‼」



「‥‥‥その意気込みはいいけど、お前この間言ってた講義のレポート、終わってるのか?」



「‥‥‥あぁーーーっ‼ ヤバい、忘れてた」


「やっぱりか‥‥‥」


「どうしよ。レポート提出できなかったら単位落としちまう‼」



ヤバいヤバいと呟く正二を尻目に、俺は窓の外を見る。



───今日もいつも通りの日常。だがこの日常も、直ぐに終わりを告げようとは俺は予想もしていなかった。


地獄へのカウントダウンは、既に始まっていた‥‥‥。





日曜日、俺と正二は夜の街へと出向いていた。


正二のレポートはどうにか間に合ったようで、今は期待で胸を高鳴らせながら隣を歩いている。



待ち合わせの場所は、ネットで話題になっている洋風趣向の居酒屋。オシャレな雰囲気の店内は、よく合コンなどの催しなどによく利用されるようだ。



店に入ると、奥のテーブル席から二人の男が手を振っているのが見えた。


「君達、遅いじゃないか」


「約束は七時だろ? まだ待ち合わせ十五分前だけど?」



「お前らは甘い。合コンでは男性陣は三十分以上前に着いているのが暗黙のルール」



そう言って二人、矢部と高瀬はグッと親指を上げた。



二人は同じ大学の同期で、先週のハズレ合コンの仲間だ。どうやら正二だけじゃなく、この二人もリベンジに燃えているようだ。



「今回は隣街の女子大生だ。先週みたいなハズレはない、はずだ‼」


矢部の言葉に、高瀬と正二の士気が上がる。


女性陣が来る間、矢部かけている眼鏡を拭き、高瀬は金髪が乱れてないかチェックし、正二はまだかまだかと、腕時計をちらちら見ていた。



そして───


「やほー‼ 女性陣やって参りましたー‼」


明るい声と共に、四人の女性が待ち合わせジャストにやって来た。





「まずは自己紹介から。アタシは浅田 真央。スケート選手と同じ読み方だけど、スケートは全くできません‼ ぶっちゃけスキー派で」



サバサバとした言い方に、場馴れしている様子が見て取れた。なかなかの美人で、隣の正二はかなり見とれている。



順に紹介は進み、最後の四人目に順番が来る。


「あ、安藤 香苗です。趣味は読書と料理です」



合コンは初めてなのか、おどおどした様子で話す彼女は、髪も染めず、ネイルも塗らず、化粧も薄い。はっきり言って地味だ。


これは他三人の引き立て役、と思ったが‥‥。


「こら、香苗‼ もっと元気よく‼」


「もっと自分を出さなきゃ‼」


「自信持っていかないと‼」


他三人は彼女を、積極的に前に出させようとしている。これはもしかすると‥‥‥。



「次、男性陣お願いしまーす」


「よし、僕は矢部 慎太郎。趣味はキャンプなどアウトドア。最近はよく山を登りに行ってます」



「えー見かけによらなーい」

「ねーねー海は? 海は行かないの?」


「はは、よく言われるよ。海も行くし、釣りや素潜りで魚や貝を獲ったりするよ」



サバイバルだー、と女性陣から大きな歓声が上がる。掴みは上々と言ったところか。



「次は俺、どうも、高瀬 裕一です。 今、エンジェルスってバンドメンバーに入ってて、今度ライブやるんでよかったら来てみて」



「エンジェルス知ってるー‼」

「今超人気のバンドじゃん」

「ポジションはー?」



「ポジションは、なんとボーカルやってます‼ とは言っても、歌ってる声と今の声は違うし、ライブだと化粧してるから俺だとわからないけどね」



そう言って高瀬はライブのチケットを配る。こっちも掴みは上々だ。



そして次は───


「つ、次は俺か、えっと、今大学二年生で、バイトはピザ屋の配達をやってて───」



正二は先二人の紹介がプレッシャーとなったのか、気負い過ぎて逆に上がってしまっている。


手遅れになる前に、俺は正二の足を踏みつける。


「正二、いくら彼女たちが美人だからって浮かれすぎだろ。ここにいるライバルの存在を忘れるな?」



「あ、ああ、そうだな。悪い先走り過ぎてた。えっと、俺は南 正二で───」



どうやらフォローは成功したようで、女性陣に見えないよう矢部と高瀬が、ナイスと親指を上げていて、俺も親指を上げて返した。



無事正二の紹介も終わり、俺の番になる。


「神原 和人です。 趣味と言ったものははっきり言ってなく、合コンの場もあまり慣れていません。正直、この三人より遥かに地味な存在なんでよろしく」



そこで紹介を終える。女性陣からの歓声も少なかったが、目的は全く別のところにある。



酒も入り話題に華を咲かせて行く中で、俺は目的の女性に話してかける。



「安藤さんは、料理は何が作れるの?」


「え? えっと、大抵の物なら‥‥‥」


「そっか。料理は独学? それとも親から?」



「えっと、私お母さんに何度も教えてもらって‥‥‥」



「じゃあ、俺も安藤さんの手料理食べてみたいな」


「あ、あの‼ そんな上手じゃないし、口に合うかどうか───ひゃん‼」



最後まで言う前に、隣に座っていた浅田さんが、安藤さんの肩を揉みくだしていた。



「せっかくお誘い受けたんだから‼ それに香苗の腕は確かなんだから自身持ちなさい。

それと神原君、今度から香苗ちゃんって読んであげて。 香苗も、彼を和人君って読みなさいね‼」



そう言って浅田さんは席を外し、化粧室へ向かう。俺もその後を追い、浅田さんが出てくるのをこっそり待った。



「あら、神原君どうしたの? もしかしてアタシを待ってた?」



「ええ、まあ」


「そう、さっきはごめんなさいね。あの子、凄くいい子なんだけど引っ込み思案で‥‥‥もしかして、タイプじゃなかった?」



本気で心配そうな表情の浅田さんに、俺は思わず苦笑いを浮かべる。



「最初、引き立て役かなと思ったよ。だけど見てる限り浅田さん達が、彼女の引き立て役だ」



「あら、そこまで分かったの? ひょっとして趣味は人間観察?」



「受けてる講義が似たようなやつだから」


俺は軽く右目を瞑って見せ、先に席へと戻る。


安藤さん、いや香苗ちゃんは俺が戻ると僅かだが安堵してるように見えた。



俺は軽く微笑んで見せ、香苗ちゃんに話しかける。



───これが平和な日常の、最後の思い出になった。カウントダウンはもう間もなく0になろうとしていた。






頭痛い、凄く頭が痛い。

学生時代はもっと面白く起承転結の起が書けたのではないかと思います。


最近はスランプ気味なのもあるかもですが、暖かい目で見てくださると幸いです。


今回はゾンビ系ホラーですが、一話目には出ません。あくまで平和なありきたりな日常を書き、二話目以降から非日常を送っていこうと思いますので、よろしくお願いします。

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