表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

事故で記憶を失くした騎士団長の婚約者様。彼を救うため、私との思い出を魔法で「VR体験」させていたら、記憶が戻るより先に、今の彼がもう一度、私に恋をしてくれました。

作者: 四宮 あおい

 王都が勝利の歓声に沸くはずだったその日、ホーエンベルク公爵邸を包んでいたのは、息を詰めるような緊張感と痛ましいほどの静寂だった。


 魔獣討伐の任を完遂したはずの王国騎士団。その帰還の先頭に、しかし誇り高き団長の姿はなかった。代わりに屋敷の奥へと慌ただしく運び込まれていくのは、純白の騎士服を激しい戦いの跡を示すように赤く染め、担架の上で深く意識を失ったままの一人の青年。


「ローベルト様っ!」


 駆け寄ろうとするラモーナ・フォン・フェルスターの腕を、騎士団副団長であるウルリッヒが悲痛な面持ちで掴んだ。


「ラモーナ様、お下がりください! すぐに侍医と神官が!」


 その制止の言葉が、かえって事態の深刻さを物語っていた。担架の上で閉じられたままの美しい顔貌。陽の光を弾くはずの銀色の髪は汗と土に汚れ、普段は血色の良い唇からは色が失せている。ラモーナは、ただその光景を呆然と見送ることしかできなかった。


 王国最強と謳われるローベルト・フォン・ホーエンベルク。ラモーナが愛してやまない、ただ一人の婚約者。彼が昏睡状態に陥ってから、まるで永遠のように感じられる数日が過ぎた。


 そして、彼がようやく目を覚ましたという報せに、ラモーナはもつれる足で彼の私室へと駆けつけた。扉を開けると、豪奢な天蓋付きベッドの上で、ローベルトが静かに身を起こしていた。窓から差し込む陽光が、彼の銀髪を照らしている。


「ローベルト様……! よかった、目が覚められたのですね!」


 安堵と喜びで胸がいっぱいになり、ラモーナはベッドサイドに歩み寄る。しかし、彼から返ってきたのは、彼女が待ち望んでいた甘く優しい声ではなかった。


 サファイアのように深い青色の瞳が、ただ静かに、まっすぐにラモーナを見つめている。そこに宿るのは、親愛でも喜びでもなく、見知らぬものに対する純粋な困惑と、微かな警戒の色だった。


 やがて、彼の薄い唇が、躊躇いがちに開かれる。


「……あなたは、誰ですか?」


 その一言は、ラモーナの世界を音もなく打ち砕いた。


 頭が真っ白になり、呼吸の仕方を忘れる。時が止まったかのような静寂の中、彼の言葉だけが、残酷なほど鮮明に耳の奥で反響した。


「……え?」


「……ここは、どこだ。俺は……、なぜ、ここに?」


 問いを重ねる彼の声は、硬く、ぶっきらぼうで、まるで心を閉ざした砦のようだった。ラモーナが知る、落ち着いた丁寧語を操り、彼女にだけは「大丈夫かい?」と甘く囁いてくれた彼の面影は、どこにもなかった。


 そこにいたのは、豪華な自室の調度品や、鏡に映る憔悴した自分の顔にさえ怯える、無垢で臆病な青年だった。


 公爵家の侍医も、高名な神官も、彼の肉体的な傷は癒せても、失われた記憶を取り戻すすべを持たなかった。彼らが揃って首を振る姿に、ローベルトの両親は日に日に憔悴していく。


 騎士としての剣技こそ、鍛え上げられた肉体が覚えていた。庭で訓練用の木剣を握らせれば、その太刀筋はかつてと変わらぬ鋭さを見せる。だが、振るう彼自身が、なぜ自分がそれを当たり前のように扱えるのかを理解できず、己の腕を見つめては恐怖に顔を歪めるのだった。


 やがて、貴族社会では冷たい声がささやかれ始める。


「記憶を失ったホーエンベルク卿に、もはや騎士団長は務まるまい」


「フェルスター伯爵家も、お気の毒に。あれでは婚約は白紙に戻すほかあるまいな」


 追い詰められ、絶望の淵に立たされたラモーナは、夜ごと一人、涙を流した。思い出すのは、事故の前、討伐に向かう彼に手作りのペンダントを渡した日のことだ。


『君が待っていてくれる。それが俺の一番のお守りだよ』


 そう言って微笑んだ彼の顔が、今の、心を閉ざした彼と重なっては、胸が張り裂けそうになった。


 けれど、ある夜のこと。涙で濡れた枕を見つめながら、ラモーナの心に小さな光が灯った。諦めてしまえば、そこで全てが終わる。彼のいない未来など、考えられなかった。


「私が諦めてどうするの……」


 彼女は勢いよく身を起こし、涙を乱暴に拭った。エメラルドグリーンの瞳に、再び強い意志の炎が宿る。


「私が、ローベルト様の記憶を取り戻してみせますわ!」


 その日から、ラモーナの戦いが始まった。


 自室の書庫はもちろん、王立図書館にまで泊まり込むようにして、彼女は古文書の山に没頭した。記憶喪失に関する症例、治癒魔法の特殊な応用例、果ては眉唾ものの伝承まで、片っ端から読み漁る。インクと古い紙の匂いが、いつしか彼女の日常になった。


 そして、希望の見えない日々が何日も続いたある朝。埃っぽい書庫に差し込む光が、開いた本のページを照らした。それは、忘れ去られた古代魔法に関する記述だった。


 ――古代魔法具『クロノスコープ』。術者の記憶を魔力に変換し、光と音の幻として対象者に追体験させることを可能とする。魂に直接働きかけるため、失われた記憶の断片を呼び覚ますきっかけとなりうる――


「……これだわ」


 震える手で、その一文をなぞる。それはまるで、分厚い絶望の雲間から差し込んだ一筋の光だった。ラモーナはその本を固く、強く抱きしめる。古代の魔法具など、今となっては再現不可能かもしれない。それでも、ゼロではない可能性に賭けるしかなかった。


「メグミなら……! 私が知る限り最高の魔導技師で、私のたった一人の親友ですもの!」


 ラモーナは立ち上がった。埃まみれのドレスの裾を翻し、彼女は書庫を飛び出す。唯一の希望を胸に、王都の外れで魔法道具店を営む親友のもとへ、ただひたすらに走った。



 ~~~ 



 王都の職人街に軒を連ねる店々の中でも、ひときわ異彩を放つ一角があった。オイルの匂いと、時折パチパチと魔力が弾ける微かな音が漏れ聞こえてくる『メグミの魔法道具店』。ラモーナは、その店の扉を半ば体当たりするように開けた。


「メグミ、お願いがあるの!」


 店の奥で、ゴーグルを額に上げた女性が山積みの部品から顔を上げた。無造作に結われたダークブラウンの髪に、知的な紫色の瞳。彼女こそ、王都で気鋭の魔導技師として名を馳せるラモーナの親友、メグミだった。


「あんた、また無茶なこと考えてるだろ。その顔に書いてある」


「無茶なんかじゃありませんわ! これは希望ですの!」


 ラモーナはカウンターに古文書を叩きつけるように広げ、震える指で『クロノスコープ』の項目を指し示した。息を切らしながら語られる突飛な計画に、メグミは最初、腕を組んで眉をひそめていた。


「正気なの? 古代魔法具を現代技術で再現するなんて。それに、他人の記憶を無理やり見せるなんて、倫理的にも……」


「お願い! これしか、これしかもう道はないのですわ! ローベルト様が、ご自分のことさえ分からずに怯えていらっしゃる姿を、これ以上見ていられないの……!」


 懇願するラモーナの瞳には、涙が滲んでいた。その必死な想いが、現実主義者であるはずのメグミの心を動かした。彼女は大きなため息を一つ吐くと、やれやれと肩をすくめてみせた。


「……分かったよ。あたしの最高の技術であんたの無茶に乗ってやる。ただし、失敗しても泣きつくなよ?」


「メグミ……! ありがとう!」


 その日から、二人の共同作業が始まった。メグミは店の奥にある工房に籠り、古文書の記述を解読しながら、現代の魔導技術の粋を集めて思い出のVR装置の設計と構築に没頭した。

 一方ラモーナは、ローベルトの公爵邸の一室で、どの記憶を、どう脚色すれば彼の閉ざされた心に響くかを必死に考え抜いていた。


「初めてお会いした夜会は、もっと運命的に……。そう、ローベルト様が私をご覧になった瞬間、世界に鐘が鳴り響いて、背景には薔薇が咲き乱れるくらいが丁度いいかしら!」


「――湖畔でのピクニックでは、私が作ったサンドイッチを『天上の味がする』と……。少し焦げていたことには、もちろん触れてはいけませんわ!」


 そうして練り上げられたキラキラでロマンティックな脚本? を手に、ラモーナはついに完成したVR装置、――頭部に装着する精巧なヘッドギアを携え、ローベルトの部屋の前に立った。


 ~~~ 


「……なんだ、それは」


 豪華な自室の片隅で、ローベルトは警戒心をむき出しにしたままラモーナを睨みつけていた。記憶を失って以来、彼は彼女のことを「あなた」と呼び、決して心を許そうとはしなかった。


「ローベルト様、これはあなたの記憶を取り戻すための魔法道具ですの。どうか、これを使わせてください!」


「記憶……。俺に、記憶などない」


「いいえ、あります! あなたが忘れてしまっているだけですわ! 私が、いえ、私との思い出が、きっとあなたを助けます!」


 ラモーナは必死に食い下がる。拒絶され、冷たい視線を向けられても、彼女は諦めなかった。数時間にわたる説得の末、根負けしたのか、あるいは彼女のあまりの熱意に何かを感じたのか、ローベルトは渋々といった様子で頷いた。


「……分かった。試してみよう」


 その一言に、ラモーナの顔がぱっと輝いた。彼女は手際よくローベルトをソファに座らせ、彼の頭にそっとVR装置を装着する。


「大丈夫ですわ、ローベルト様。少しの間、目を閉じていてくださいませ」


 ラモーナが装置を起動させると、ローベルトの瞼の裏で、まばゆい光とともに最初の「思い出」が再生され始めた。


 それは、二人が初めて出会った王宮の夜会。

 シャンデリアが煌めき、優雅な音楽が流れる中、ラモーナの記憶(という名の脚色)の中のローベルトは、会場の隅に佇む彼女を一目見た瞬間、雷に打たれたかのように動きを止めた。彼の背景には幻の薔薇が咲き乱れ、どこからともなく祝福の鐘の音が鳴り響く。

 熱烈な視線を一身に浴びるVR空間のラモーナ。その光景を、ローベルトは眉間に深い皺を寄せながら追体験していた。


 やがてVR体験が終わり、ヘッドギアを外したローベルトは、こめかみを押さえながらぽつりと言った。


「……俺は、こんなに浮ついた男だったのか?」


 あまりに予想外の、しかし的確な感想にラモーナは言葉に詰まる。しかし、ここで怯むわけにはいかない。


「次ですわ、次! もっと素敵な思い出がたくさんありますのよ!」


 半ば強引に、ラモーナは二つ目のVR体験を開始させた。

 

 舞台は、陽光きらめく湖畔でのピクニックデート。

 VRの中のローベルトは、ラモーナが差し出した、ほんの少しだけ焦げ跡の見えるサンドイッチをうっとりとした表情で受け取る。そして一口食べた瞬間、彼は感動に打ち震えるように叫ぶのだ。


『ラモーナ! このサンドイッチは、星付きのレストランのどんな料理よりも美味い! まるで天上の味だ!』


 VRが終わり、現実世界に戻ってきたローベルトは、しばらく黙り込んでいた。

 その彼の目の前に、ラモーナがバスケットから取り出した本物のサンドイッチを差し出す。あの日と同じ、サンドイッチだ。


 ローベルトは訝しげにそれを受け取ると、無言で一口かじった。もぐもぐと咀嚼し、そしてごくりと飲み込む。ラモーナは固唾をのんで彼の反応を見守った。やがて彼は、ぶっきらぼうに、けれど確かにこう呟いた。


「……まあ、悪くない」


 その小さな、本当に小さな変化。拒絶ではない、肯定の言葉。ラモーナは、目の前がぱあっと開けるような、確かな手応えを感じていた。

 まだ道は遠いかもしれない。けれど、このVR体験は、彼の心を溶かす確かな一歩になる。ラモーナはぎゅっと拳を握りしめ、次の脚本への意欲を静かに燃やすのだった。



 ~~~ 



 ラモーナの一風変わった試みが始まってから、幾日かが過ぎた。湖畔でのピクニックデートのVR体験の後、ローベルトが口にした「……まあ、悪くない」という一言は、ラモーナにとって干天の慈雨にも等しいものだった。その言葉を胸に、彼女の脚本作りはますます熱を帯びていった。


「次はこれですわ! 『訓練場で剣の稽古中、つい見惚れてしまった私の足がもつれ、転びそうになったところを、ローベルト様が颯爽と抱きとめてくださる』の巻です!」


 意気揚々と脚本を読み上げるラモーナに、VR装置のヘッドギアを装着させられたローベルトは、もはや抵抗する気力もなく、こめかみを微かにひくつかせた。彼の警戒心は、呆れと諦観へとその形を変えつつあった。


 VR空間に転送されたローベルトの意識は、すぐに聞き慣れた自分の声に包まれる。


『――危ないっ!』


 VRの中の自分が、目にも留まらぬ速さでラモーナの華奢な体を抱きとめている。そこまでは、まあ、騎士としてあり得ないことではないだろう。しかし、次の瞬間、彼の背後から眩いばかりの後光が差し、どこからともなく純白の羽が舞い散った。


『ラモーナ、私の腕の中が、君にとって世界で一番安全な場所だと覚えておくといい』


 囁かれる甘い台詞に、現実のローベルトはVRの中でさえ眉間に深い皺を刻んだ。極めつけに、VRの中のラモーナがうっとりと彼を見上げると、彼女の瞳にはハートが浮かんでいるように見えた。


「……正気か」


 VR体験から解放されたローベルトが絞り出した第一声は、それだった。


「い、いかがでしたか?」


「俺は、あんなに気障な台詞を本当に言ったのか? だいたい、なぜ後光が差す。羽はどこから来た」


「そ、それは思い出をより鮮やかにするための演出ですわ!」


「演出……」


 ローベルトは深く長い溜息をついた。だが、彼は気づいていた。VRの中の自分にどれだけ違和感を覚えようと、この突拍子もない試みの間、隣で自分の反応を窺うラモーナの真剣な眼差しに、不思議と心が凪いでいくのを。

 記憶を失って以来、常に張り詰めていた緊張の糸が、彼女といる時間だけ、僅かに緩むのを感じていた。


 次のVR体験は、ラモーナが彼の誕生日に贈ったという、手作りの刺繍入りハンカチのエピソードだった。VRの中のローベルトは、少しばかり不格好な鷲の刺繍が施されたハンカチを手に取り、まるで国宝でも授かったかのように打ち震えている。


『ラモーナ……! この一針一針に込められた君の愛、しかと受け取った! ホーエンベルク公爵家の家宝として、未来永劫、大切にしよう!』


 感涙にむせぶ過去の自分に、ローベルトはもう突っ込む気力さえ失っていた。

 VRが終わり、現実世界に戻ると、ラモーナがおずおずと本物のハンカチを差し出してきた。少し歪んだ鷲の刺繍は、記憶の中のものと寸分違わない。ローベルトは無言でそれを受け取り、自身の騎士服のポケットへと滑り込ませた。


「あ……」


 小さく声を漏らすラモーナ。彼女が期待していた言葉は、何一つ返ってこない。それでも、彼がハンカチを受け取ってくれたという事実だけで、彼女の表情はぱあっと明るく輝いた。


 その屈託のない笑顔を、ローベルトは眩しいものでも見るかのように、静かに見つめていた。


 いつからだろうか。ローベルトの意識が、VRの中の完璧超人な自分ではなく、目の前の現実に注がれるようになったのは。


 キラキラと脚色された思い出よりも、次のVR計画を練りながら、「うーん、こうかしら? いえ、こっちの方がローベルト様は素敵かしら!」と一人でうんうん唸っている彼女の横顔の方が、よほど心を惹きつけられた。


メグミに調整してもらったVR装置の魔力伝達がうまくいかず、顔を真っ黒な煤だらけにして、「あう……」と涙目になっている彼女の姿は、記憶の中のどんな淑女よりも愛らしく見えた。


 晴れた午後には、彼女はよく中庭に出て、荒れていた花壇の手入れをしていた。土で汚れるのも構わずに、楽しそうに鼻歌を歌いながら、一輪一輪の花に優しく触れる。その無防備な姿を、ローベルトは自室の窓から、ただ静かに見つめるようになっていた。


 記憶の中のラモーナは、常に完璧な笑顔を浮かべた、非の打ちどころのない伯爵令嬢だ。だが、今、目の前にいる彼女は、愛する者のために猪突猛進し、時に空回りし、それでも太陽のように笑う、一生懸命で、どこか少し抜けている、一人の女性だった。


 ローベルトは理解していた。自分が惹かれているのは、過去の思い出の中にいる彼女ではないのだ、と。


 ある日のことだった。ラモーナがいつものように、「本日のVR体験ですわ!」とVR装置を手にローベルトの部屋へやってきた。彼が大人しくソファに腰かけると、ラモーナは手慣れた様子でヘッドギアの準備を始める。その細い指が、彼の髪に触れようとした、その瞬間だった。


「――もういい」


 静かだが、有無を言わせぬ力強さを秘めた声。ローベルトの手が、ラモーナの手首を優しく掴んで制止していた。


「え……?」


 驚いて顔を上げるラモーナと、サファイアの瞳が真っ直ぐに交差する。その瞳には、いつものような警戒や呆れの色はなかった。ただ、静かで、真摯な光が宿っていた。


「ローベルト様……?」


「記憶の中の俺は、もはや他人だ」


 ローベルトは、掴んだ彼女の手をそっと引き、自分の膝の上へと導いた。そして、もう片方の手でヘッドギアを外し、テーブルの上に置いた。


「それよりも、今、目の前にいる君のことを、この俺が知りたい」


 ゆっくりと紡がれる言葉に、ラモーナの心臓が大きく跳ねた。


「俺は、君に惹かれているんだ、ラモーナ嬢」


 それは、失われた記憶から蘇った言葉ではなかった。記憶を失い、心を閉ざしたはずの青年が、今の自分として紡いだ、二度目の真摯な愛の告白だった。


 喜びが、電流のように全身を駆け巡る。と同時に、ラモーナの心は複雑な波に揺さぶられた。嬉しい。目の前の彼が、もう一度自分を見てくれたことが、どうしようもなく嬉しい。けれど――。


(私が取り戻したいのは、昔のローベルト様との思い出で、あの頃の関係なのに……)


 このままでは、過去の彼との日々が、本当に他人の物語になってしまうのではないか。そんな一抹の不安が、歓喜に満たされるはずの彼女の胸に、小さな影を落とした。



 ~~~ 



 ローベルトからの二度目の告白は、ラモーナの心に甘い痺れと、それと同じくらいの戸惑いを残した。

 記憶の中の彼ではなく、今の彼が自分を見てくれている。その事実はどうしようもなく嬉しい。

 けれど、自分が取り戻したかったのは、共に積み重ねてきたはずの過去と、その上にある未来だったはずだ。


「私が取り戻したいのは昔の彼との関係なのに……」


 この恋を素直に受け入れてしまえば、過去のローベルトとの思い出は、本当にただの物語になってしまうのではないか。そんな複雑な想いが、彼女の胸を静かに揺らしていた。


 そんなある日、王都を震わせる凶報が舞い込んだ。まるで悪夢の再現のように、静かな日常は引き裂かれる。


「緊急事態であります! 王都近郊の森林地帯に、大型の魔獣が出現! その魔力反応は、三ヶ月前に団長が討伐された個体と酷似しているとの報告が!」


 騎士団の作戦司令室に、伝令の切羽詰まった声が響き渡った。ローベルトが記憶を失う直接の原因となった、あの忌まわしき魔獣の再来。その報せは、騎士たちの間に瞬く間に緊張を走らせた。


「団長、ご決断を!」


 居並ぶ騎士たちの視線が、玉座に腰掛けたまま微動だにしないローベルトに注がれる。だが、彼は答えない。サファイアの瞳は硬く床を見つめ、美しく整った眉根には深い苦悩の皺が刻まれていた。


 VRで見た、甘い言葉を囁く浮ついた男。あれが本当に自分だったというのか。そんな男が、この国最強の騎士団を率い、凶悪な魔獣と渡り合えたなど、到底信じられなかった。騎士としての戦い方も、部下を導く指揮の術も、今の彼には何一つ思い出せない。


 沈黙を破ったのは、副団長のウルリッヒだった。彼はローベルトの前に進み出ると、悲痛なまでの決意を込めて叫んだ。


「団長を出撃させるなど、断じて認められません! このような状態で戦場に立たせることは、団長の御身を危険に晒すだけでなく、騎士団そのものを崩壊させかねない行為であります!」


 その言葉は正論であり、ローベルトへの心からの忠誠心から発せられたものだった。だが、それは同時に、今の彼が騎士団長として不完全であるという事実を、衆目の前で突きつける残酷な刃でもあった。ローベルトは、より一層深く顔を俯かせ、唇を固く引き結んだ。


 その様子を、ラモーナは扉の陰から息を詰めて見守っていた。ウルリッヒの言葉に、ローベルトがどれほど傷ついているか。彼が騎士としての自信と誇りを失いかけていることに、彼女は気づいていた。VRの中の完璧超人な自分と、記憶を失い何もできない現実の自分。その乖離が、彼の心を蝕んでいる。


(私が間違っていたんだわ……)


 ラモーナは唇を噛み締めた。自分がしてきたことは、本当に彼のためだったのだろうか。甘く脚色した思い出は、確かに彼に安らぎを与えたかもしれない。けれどそれは、彼の騎士としての魂を曇らせる結果になってしまったのではないか。


(私が取り戻すべきだったのは、ただの甘い関係なんかじゃない。ローベルト様が、ローベルト様であるための、その誇りそのものだったはず……!)


 彼女の心にあった迷いは、いつしか霧散していた。エメラルドグリーンの瞳に、強い決意の光が灯る。今の彼が失いかけているものを取り戻すために、見せなければならない記憶がある。たとえそれが、どれほど過酷な真実であったとしても。


 その夜、ラモーナは一人、ローベルトの私室を訪れた。部屋の主は、窓辺に佇み、静かに夜空を眺めていた。その背中からは、深い孤独と苦悩が滲み出ている。


「ローベルト様」


 ラモーナの声に、彼はゆっくりと振り返る。その瞳には、警戒ではなく、ただ深い疲労の色が浮かんでいた。


「……また、あの奇妙な機械か」


「いいえ、違います」


 ラモーナは、静かに首を横に振った。そして、メグミに無理を言って調整してもらったVR装置を彼に見せる。


「今日、見ていただくのは、ただの思い出ではありません。ローベルト様、これを見てください! これが、あなたの誇りです!」


 彼女の真剣な眼差しに、ローベルトは息を呑んだ。それは、いつもの悪戯っぽい笑顔とは全く違う、彼の魂に直接語りかけてくるような強い光を宿していた。


 ローベルトは、まるで引き寄せられるようにVR装置を装着した。


 次の瞬間、彼の視界は一変する。


 薔薇の舞う夜会でも、穏やかな湖畔でもない。そこは、木々がなぎ倒され、地面が抉れた、凄惨な戦場の跡だった。空気は血と魔力の匂いで満ち、耳をつんざくような咆哮が絶え間なく響いている。


 目の前には、巨大な魔獣が立っていた。おぞましい瘴気を放ち、鋭い爪を振りかざす、紛れもない死の具現。そして、その前に立ちはだかる一人の騎士がいた。紛れもなく、記憶を失う前の自分自身だ。


 VRの中のローベルトは、これまでの甘ったるい男とは別人だった。その剣捌きは流麗かつ鋭く、一太刀ごとに凄まじい威力を秘めている。彼の指揮は的確で、騎士たちは一糸乱れぬ動きで魔獣を追い詰めていく。


(これが……、俺……?)


 ローベルトは、己の姿に呆然とする。それは、彼が心のどこかで信じられずにいた、王国最強と呼ばれるに相応しい、勇猛果敢な騎士の姿だった。


 戦いは熾烈を極めた。魔獣が最後の力を振り絞り、強力な一撃を放つ。その攻撃は、回避不能な速度で騎士へと迫った。誰もが騎士の死を覚悟した、その刹那。


 VRの中のローベルトは、驚くべき行動に出た。彼は攻撃を避けるのではなく、自らの体を盾にして、その一撃を正面から受け止めたのだ。凄まじい衝撃。鎧が砕け、肉が裂ける激痛が、追体験している現在のローベルトの全身を貫く。


(なぜ……、なぜ、避けられたはずの一撃を……!?)


 混乱する彼の視界の片隅で、VRの中の自分が血を吐きながらうずくまっているのが見えた。

 致命傷を負ってなお、何かを庇うように伸ばされた左腕。その震える指先が守ろうとしていたもの、――それは、討伐前にラモーナが不安げな顔で彼に手渡した、手作りの小さなペンダントだった。

 魔獣の一撃が迫る刹那、衝撃で首から落ちたペンダントを、彼は咄嗟にその身で庇っていたのだ。


『……ラモ、……、ナ……』


 途切れそうな声で、愛しい人の名を呼ぶ。

 霞む視界の先、地面に転がったペンダントへとかすかに指を伸ばした。その想いの強さが、激痛に耐える唯一の支えだった。


「――ッ!!」


 VRが終わり、ローベルトはヘッドセットを弾き飛ばすように外した。彼は膝から崩れ落ち、激しく喘ぐ。脳が焼けるように熱い。壮絶な痛みと、何かを、誰かを守ろうとしたあの時の強い意志、そして断片的な光景が、彼の意識の中で激しい嵐のように渦巻いていた。


「ローベルト様!」


 ラモーナが駆け寄り、彼の肩を支える。


「……行かなければ」


 ローベルトは、焦点の合わない瞳で虚空を見つめながら、絞り出すように呟いた。


「行かなければ、ならない……」


 まだ、記憶の全ては繋がらない。だが、彼の魂の奥底で、騎士としての使命感が、熱いマグマのように再び滾り始めていた。守るべきものがある。戦わなければならない。その本能的な衝動が、彼の全身を突き動かしていた。



 ~~~ 



「お待ちください、団長! 正気でありますか!?」


 副団長のウルリッヒが悲痛な声を張り上げる。

 しかし、ローベルトの耳には届かない。彼はふらつく足で立ち上がると、壁に立てかけてあった愛剣に手を伸ばした。その姿は、まるで夢遊病者のように覚束ない。


「ローベルト様……!」


 ラモーナは彼の背中に声をかけた。不安に唇が震える。しかし、彼女は知っていた。今のローベルトを止められる者は誰もいない。彼を突き動かしているものが、騎士としての誇りの欠片なのだと理解していたからだ。彼女はただ、彼の無事を祈り、そっと後を追うことしかできなかった。


 ~~~ 


 土煙が舞い、剣戟の音が鳴り響く王都近郊の平原。しかし、そこにいるのはかつて王国最強と謳われた騎士団の姿ではなかった。


「第二隊、右翼が崩れるぞ! 立て直せ!」


「だ、駄目です、団長の指示が錯綜しています!」


 指揮を執るローベルトの命令は、ことごとく精彩を欠いていた。断片的に蘇った使命感だけが彼を戦場に立たせていたが、記憶が不完全な彼の頭脳は、複雑な戦況を処理しきれない。

 彼の瞳には、かつての冷静沈着な光はなく、ただ焦りと混乱の色が浮かんでいる。的確な指示を失った騎士たちは右往左往し、強力な魔獣の猛攻の前に、じりじりと後退を余儀なくされていた。


「くっ……! 団長、ご指示を!」


 ウルリッヒが叫ぶが、ローベルトはただ唇を噛みしめるばかり。騎士としての戦い方を思い出せない。仲間を勝利に導く術が分からない。

 VRで見た完璧超人の自分は、いったいどこに消えてしまったのか。騎士としての自信を失いかけていた彼の心は、現実の戦場で完全に打ち砕かれようとしていた。


 その戦場の混乱の、わずかな隙を魔獣は見逃さなかった。防御が手薄になった後方へと、その巨大な獣は狙いを定める。そこには、戦況を固唾を飲んで見守るラモーナの姿があった。


「危ないッ!」


 騎士の一人が叫ぶ。土を抉り、ラモーナへと迫る魔獣の鉤爪。彼女は恐怖に足がすくみ、声も出せずに立ち尽くした。


 ――死ぬ。


 そう思った瞬間。


 彼女の視界を、銀色の髪が覆った。


「ローベルト様……?」


 息を切らし、肩で喘ぎながら、ローベルトが彼女の前に立ちはだかっていた。なぜここに。どうして。思考が追いつかないラモーナの耳に、彼の苦しげな呟きが届く。


「……また、同じだ……」


 彼の脳裏に、閃光が迸る。


 あのVRで見た光景。魔獣の強力な一撃。砕け散る寸前の、ラモーナがくれた手作りのペンダント。それを守るために、無我夢中で身を挺した自分の姿。


 ――守らなければ。


 過去の記憶が、鮮烈な現実の光景と完全にオーバーラップする。


 ペンダントを庇った過去の自分と、ラモーナを庇う現在の自分が、一つの像を結ぶ。守りたかったもの。その温もり。その笑顔。失っていた記憶のパズルが、凄まじい勢いで組み上がっていく。


「……ああ、そうか」


 サファイアの瞳に、澄み切った光が戻る。


「思い出した……!」


 愛する人の名前。共に過ごした日々の記憶。そして、記憶を失くしてから、目の前の彼女に再び心を奪われた、もう一つの恋の記憶。過去の愛情と、新たに芽生えた愛情が、彼の魂の中で溶け合い、奔流となって全身を駆け巡る。


「ラモーナ、あの時も今も、俺はずっと君を守りたかったんだ!」


 完全に覚醒したローベルトは、もはや混乱の淵にいた青年ではなかった。彼はラモーナを安全な場所へ押しやり、振り返って魔獣と対峙する。


「全騎士に通達! これより指揮権を完全に掌握する!」


 その声は戦場の喧騒を切り裂き、全ての騎士の耳に明瞭に届いた。絶望に沈んでいた騎士たちの顔に、驚きと希望の色が浮かぶ。


「ウルリッヒ! 第二、第三隊を率いて左右に展開! 敵の側面を突け!」


「はっ、はい! であります!」


「第一隊は俺に続け! 正面から一気に畳みかけるぞ!」


 立て板に水のごとく放たれる的確な指示。その堂々たる姿、揺るぎない声。それはまさに、彼らが信奉した若き騎士団長、王国最強の騎士そのものだった。


 騎士団は、まるで一つの生き物のように統率を取り戻す。ローベルト自身も剣を抜き、魔獣の猛攻を紙一重でかわしながら、その懐深くへと斬り込んでいく。銀閃が舞い、獣の咆哮が上がる。ラモーナへの強い想いが、彼の剣に比類なき力を与えていた。


 形勢は完全に逆転した。ローベルトの見事な指揮と勇猛な戦いぶりの前に、あれほど猛威を振るった魔獣はみるみるうちに消耗し、そしてついに、騎士団長自らが振るった最後の一撃によって、その巨体を地に沈めたのだった。


 静寂が戻った戦場に、騎士たちの歓声が沸き起こる。埃と血にまみれながらも、その中心に立つ銀髪の騎士は、静かに愛する女性へと向き直った。二人の視線が交差し、互いの無事を確かめ合う。言葉は、もはや必要なかった。ラモーナは彼の胸に飛び込み、ローベルトは、失いかけた至宝を、そして二度目の恋で掴んだ真実の愛を、力強く抱きしめた。


「ラモーナ……」


 名前を呼ばれただけで、彼女の肩は震えた。絶体絶命の恐怖から解放された安堵と、愛しい人がすべてを取り戻した歓喜が、涙となってエメラルドグリーンの瞳から溢れ出す。

 ローベルトはそんな彼女の体を力強く、しかし壊れ物を扱うかのように優しく抱きしめた。彼の胸に顔をうずめ、聞き慣れた心臓の鼓動を確かめながら、ラモーナはしゃくりあげる。


「ローベルト様……! よかった、本当に……!」


「ああ。君のおかげだ。ありがとう、ラモーナ。記憶が戻ってくれて、本当に嬉しい。……でもね」


 ローベルトは彼女の体を少し離し、その濡れた頬を大きな手で包み込む。そして、悪戯っぽく微笑んでみせた。


「たとえ記憶が戻らなくても、俺はもう一度、君に恋をしていたよ」


 それは、記憶を失くしていた時の彼が、戸惑いながらも確かに紡いだ真実の言葉。失われた過去の愛情の上に、新たに積み上げられた確かな愛情。二つの想いが完全に溶け合った今、その告白は慰めなどではなく、彼の紛れもない本心としてラモーナの心に温かく響き渡った。



 ~~~ 



 王都への凱旋は、民衆の熱狂的な歓迎に包まれた。「王国最強の騎士、完全復活!」の報は瞬く間に駆け巡り、騎士団の雄姿、とりわけ見事な指揮で戦局を覆した団長の姿は、英雄譚として人々の口にのぼった。

 副団長のウルリッヒは、本来の姿を取り戻した敬愛する上官の隣で、これ以上ないというほど胸を張り、何度も目頭を熱くしていた。


 ホーエンベルク公爵邸に戻ると、穏やかで満ち足りた日々が二人を待っていた。記憶を失くしていた間のぎこちない空気は嘘のように消え去り、屋敷には以前にも増して明るい笑い声が響くようになった。


 ある晴れた日の午後、庭園のテラスで二人きりでお茶を楽しんでいた時のことだ。ラモーナが淹れた紅茶の香りを楽しみながら、ローベルトが不意に、思い出したように口を開いた。


「それにしても、ラモーナ」


「はい、なんですの?ローベルト様」


「あの時、君が用意してくれた装置には、本当に驚かされたよ」


 その言葉に、ラモーナは淹れたての紅茶を危うく噴き出しそうになった。まさか、あの恥ずかしいVR体験の話題が、今になって蒸し返されるとは思ってもみなかったからだ。


「しかし、あのVRは少しやりすぎじゃないか?」


 ローベルトは楽しそうに目を細め、からかうように続ける。


「夜会で君と会った時、俺の周りには薔薇なんて一輪も飛んでいなかったし、第一、雷に打たれた覚えもないんだが」


「うっ……!」


「湖畔で食べたサンドイッチも、美味しかったのは事実だが、正直に言うと、少し焦げていたぞ。『星付きレストランの料理より美味い』とまで言った記憶はないな」


 次々と暴露される事実に、ラモーナの顔はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。あれは彼を想うが故の演出だったが、全てを知る本人から直接指摘されると、これ以上ないほどに恥ずかしい。


「だ、だって……! あれは、ローベルト様の心に少しでも響くようにと、わたくしなりに考えた結果でして……!」


 ぷい、とそっぽを向き、唇を尖らせるラモーナ。その仕草が愛おしくてたまらないとでも言うように、ローベルトは彼女の肩を優しく抱き寄せた。彼の腕の中は、記憶の中よりも、今こうして触れ合っている現実の方が、ずっと温かくて安心できる。


「ああ、分かっているさ。君のその猪突猛進なまでの懸命さが、心を閉ざしていた俺を救ってくれたんだ。感謝している」


 彼の優しい声が耳元で囁かれ、ラモーナの心は甘く満たされる。彼が口にしたのは、あくまでコミカルに脚色された思い出についてだけだった。魔獣と対峙したあの日の、壮絶な戦いの記憶。己の身を挺してまでペンダントを守ろうとした、彼の誇りの記憶。

 あのVR体験は、二人の間で軽々しく語られることのない、互いの命と魂を繋いだ神聖な共通認識として、深く胸に刻まれているのだ。


「……もう、ローベルト様、いじわるですわ」


 彼の胸に顔をうずめて呟くラモーナを、ローベルトは愛おしそうに、さらに強く抱きしめるのだった。


 ~~~ 


 後日、王国の教会で、二人の盛大な結婚式が執り行われた。国王陛下をはじめ、王侯貴族がこぞって参列し、彼らの門出を祝福した。


 親友メグミは、

「お幸せに、ラモーナ。あんたの猪突猛進も、たまには役に立つんだな!」

と悪態をつきながらも、その目には涙が光っていた。


 純白のドレスに身を包んだラモーナと、純白の礼装に身を固めたローベルトが誓いのキスを交わす時、教会に集った人々は万雷の拍手を送った。それは、ただの名門貴族同士の結婚を祝う音ではなかった。多くの困難を乗り越え、失われた記憶の先でさえ再び互いを見つけ出し、愛を育んだ二人への、心からの賞賛と祝福の音だった。

 読んでくれた皆様、本当にありがとうございます!


 感想や誤字報告など、皆さんのお言葉が何よりの励みになります。どんなものでも気軽にリアクション頂ければとても嬉しいです! よろしくお願いします!


20250706 幾つかの細かな表現の変更、誤字修正を行いました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ