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13話、次の必須特性スキル

 無理矢理に旨味を出したら何故か成功した。俺の話が荒唐無稽(こうとうむけい)で意味不明すぎて、逆に何かを感じさせたのだろう。


「チキンを十ピース。いつも通りお手拭きと一緒にください」

「いつもありがとうございます!」


 チキン屋の親父から、いつものチキンを購入する。ここ一年間は本当にお世話してやった。どれだけ利益に貢献した事か。


「サービスで一個だけ大きいの入れておきましたからね!」

「十ピースで何も変わってないじゃん……」


 しかも一個しか大きい物がない事実を知らされてしまう。いつもの紙袋にいつもの容量を受け取り、列車のある駅に向かう。


「いつもすまないね」

「気にするな。動いた後はチキンに限る」


 列車の個室で五ピースずつ食べてタンパク質を補給する。これがチートデイで腹が減っている時の定番となっていた。貧しかった頃からの流れで、レイチェルの分も俺が購入している。


「……」


 さっきは焦った。少しだけ帝国の裏側を話してしまった事により、ストーリーにレイチェルが介入するところだった。

 何より俺の経験値が取られる事があってはならない。強敵は経験値の塊で、高レベル帯に入るとレベルを上げるのに彼等は打って付けだ。なので結社も悪魔も全て俺が頂く。強めに釘を刺しておいたから大丈夫だろう。


「さて、個室にも入れたところで、まずはレイチェルのステータスを教えてもらおうか」

「もちろん。と言ってもこの間教えた時からあまり変わっていないけどね」


 太腿(ふともも)を組み変える仕草を見て、妙に色っぽくなったと痛感する。スポーティな女子が、いきなりミステリアス美女寄りにシフトチェンジしている。


「コール君、聞いてる?」

「聞いてる」


 チキンを食べながら、レイチェルの今後を見据えたプランを考える。


 [名前]レイチェル・フェリル

 [レベル]52

 [戦技]【刺突】【死突】【投擲弾】【投擲雨】【ジャック・ナイフ】【音無】

 [魔法]【(かい)

 [持ち物]始まりのナイフ、投擲ナイフ十二本、鋼の短剣、化粧道具、イヤリング、ハンカチーフ、着替え、財布、空の弁当箱、水筒、自作したコールの写真集


 強い。これから移動系は覚えるとしても、おそらく俺に付き合ってやっていく事を考えれば、人類の壁と言われるレベル百は確実に超える。

 そして魔法【解】……まさかこの超大当たりをレイチェルが引くとは。悶絶(もんぜつ)しそうなくらい(うらや)ましい。はっきりいって反則技だ。


「……レイチェルは今後どうなりたいとかってあるの?」

「とにかく強くなりたいんだ。もっともっと強く。私をコール君の次に強くして欲しい」

「なんでよ……もう十分すぎるのに。あと一年もしたら俺の父親も超えるぞ?」

「君を養いたいんだ。一緒に戦えないなら、君がやりたい事を自由にできるよう、サポートしたいんだよ」

「サポート?」

「君はいずれペンドラゴン代表から仕事をさせられる。けど君が興味ない部分を私が肩代わりすれば、コール君のやりたい事ができるだろう? 損する事なくお金も手に入る」

「……確かに!」


 献身的な健気女子に万歳。訳わからんタイミングでレイチェルにキスされるのも、いつからか癖になってきた。


「んっ……愛しているよ、コール君」

「じゃあいい感じの大人に育ったら抱かせてな。アブノーマルなのも許してな」

「勿論、なんでもしてあげるからね」


 年頃のレイチェルは絶賛発情中。普段はお姉さんぶろうとするが、二人きりになると愛犬のようにデレデレと擦り寄ってくる。

 すると気になるのが急成長していくレイチェルの巨乳。盛っているのかと疑い始めている。良い機会だから紙で手を拭いてから触診して、本物か確かめてみよう。


「……うわ、本物だよ。デカくなったなぁ」

「あんっ」


 驚く事に本物なのだ。乳を触る時は絹ごし豆腐を扱うように、敏感なレイチェルの反応を眺めながら彼女の性欲を解消する。

 触れるように慣れられて良かった良かった。こんな事を別の人間にしようものなら、本気で失神する。五秒は確実に保たない。


「おほん!」

「……」


 切符を確かめに来た車掌さんへ目を向ける。


「……」

「構わず続けた!? こらエロ坊主! 止めなさい!」

「そういうプレイなのかと思って……」

「仕事をしている車掌さんがアドリブでプレイに参加していくわけないだろうっ!」


 怒られたのでトロトロになったレイチェルに抱き締められながら切符を見せる。エロいレイチェルに顔を真っ赤にした車掌さんが去ってから話を戻す。


「そんなわけで、俺やレイチェルをもう一つ強くするパッシブ……常時発動するタイプの能力獲得に明日から向かう」

「ふぅ……私は君の命令に従うだけだよ」


 爽快感すら感じる満足顔をして、絵に描いたような満面の笑みを浮かべた。

 明日にはこの顔が恐怖に満ちるかと思えば、ちょっと興奮する。


「その戦技は過酷な環境で戦闘を続けなければならない。そういうわけで、今は結社に廃棄されて国の管理下にある施設に侵入する」

「私達に必要なんだね?」

「俺と俺に戦闘を教わったレイチェルは、基本的にスピード(タイプ)だ。だからそろそろ試してみてもいいと考えた」

「うん、そうだろう。君はモードレンド家の固有魔法でパワー型とも言えるけどね。私も【解】があるから困らない」

「……」


 いきなり大人びたミステリアスお姉さんに切り替えられる事に、何度でも驚く。


「……求める戦技は【適応・改】」

「それを取得すると具体的にどうなるの?」


 ゲームの際には必須級の戦技だった。だが現実では完全に知られていない知識の一つ。


「病原菌、毒、環境、俺達の体を病魔などに“適応”させて進化に導いてくれる。ただ俺にもどのくらいのものかは分からない」

「面白い。二人で挑戦してみようか」


 チキンを摘みながら不敵な笑みを浮かべ、急に強キャラ感を出し始めたレイチェル。俺の影響なのか好戦的になりつつある。


「……」


 そんな簡単に取得できるものを、俺が後回しにしているとでも思っているのだろうか。死んじゃうリスクがあるから、明日まで延期していたのに。


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