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第1のボス撃破

「はあ、はあ、やったぞ。なにっ?」


 とどめを刺して地面に落ちたはずのアトラク=ナクア頭部が突然変形を始めた。

 八つの複眼が突然カタツムリの触角のようにニュルと伸び始める。


 その先端は私の顔の高さまでくると突然変形を始めた。それは記憶にある、私に関わりの深い女性の顔になった。


 ”私を…探して…最後に二人で行った場所”


 それだけを言うと頭部はパアンと風船の様にはじけ飛び、そして胴体の方もどろどろのタールのように地面へと崩れ去った。


 そしてそれは一ヶ所に集合するとボーリング球の様に黒い塊となって私の方へ飛んできた。


「なんだこれはっ」 


 その球は勢いよく私のみぞおちにめり込んだ。


「グッ」


「大丈夫?タケルッ」


 そして私の体に染み込むように消えていった。


「だ、大丈夫です。すぐ痛みは収まりました」


「そ、そう。医者に見せるなんてこともここじゃ出来ないのよ。」


「ラストキルの特典かなにかかもしれません?記憶にはありませんが私も全部の仕様を知っているわけではなので」


「ならいいのだけど。ちょっとでも体がおかしくなったら言うのよ。一人で抱え込むよりはましよ」


「ありがとうございます」


「おい、紋章というのはこれか」


 シズカさんがアトラク=ナクアの死体があった場所に落ちていた、複雑な文様の彫られたプレートを拾い上げた。



「祭壇のシステムはゲームの時と同じようです」


「これがアクセスポイントなのね?ただの柱かと思った」


 祭壇にある金属製のコンソールに触れると、空中にホログラフの様な操作パネルが映し出された。


「ここの所、紋章が暗くなっているでしょ、これがアトラク=ナクアを撃破した証です。本当ならこの紋章を触るとボスフィールドに飛ばされるのですが」


「へーそうなのね」


「貢ぎ物も出し入れが可能みたいですね」


 わたしは手に持ったアイテムを祭壇に入れたり出したりしてみた。光の粒子になり祭壇に吸い込まれたり、粒子が再びアイテムの形を取ったりするのをみて、ゲームと同じだと確認できた。


「大金星ねっ、一旦拠点に戻りましょ」


「ええ」


「分かりました。」


「「「かんぱーいっ」」」


 私たちはエールの酒坏で祝杯を上げた。


「この世界の元になったゲーム、お酒も作れるのね」


「醸造所をクリスタルで製作して、麦を突っ込んでおくだけですけどね」


「数日でアルコールができちゃうなんて発酵とかどうなっているのかしら」


「もう~、このせ~かいに現実の科学法則をもち~こむのは意味無いれふ」


 シズカさんは数口でもう、酔っ払っている。


「ゲームではプレイヤーに少しだけバフがかかるあんまり意味のないアイテムでしたけどね」


「でもお陰で、こうやってちょっとした気晴らしが出来て良かったわ」


「そういやお酒でタームできる怪物もいますよ。小水を飛ばして攻撃するやつ」


「お酒の席でそういう話するの止めてよ」


「すぴー、すぴー」


 シズカさんはいつの間にか眠っていた。私の肩に寄りかかりながら・・・。


「あら、役得ね」


 女性によりかかられた経験なんて少ないので素直に嬉しい。


 しかし、私がその時考えていたのは、昼間アトラク=ナクアの頭部が変形して見せた人物のことだった・・・。



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