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宇宙開拓記 ~人類は逞しい  作者: 杠煬
第六章 再び宇宙へ

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半休

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。

やはり気になる。


仕事をしていても落ち着かず、どうにも集中できない。

昨夜の、げっそりした円香の顔がちらつくのだ。

何か深刻な病気なのだろうか?


円香は仕事のせいだと言っていたが、どこの世界にそんな業種がある?


ストレスか?

ブラックなのか?


.......

.....

...


ああもう、やめだやめ!

俺は上司に掛け合い、半休を貰うと、午前中で仕事を切り上げた。


悩むのは性に合わない。

売店で栄養ドリンクと、高カロリーなチョコレートを買うと、俺は円香の仕事場へ行くことにした。


.............................................


「邪魔するぜ。」


ノックはするが返事は聞かずに、普段円香がいる部屋の扉を開ける。


ここは円香達が事務仕事をする部屋だ。

端末の載った幾つかのデスクに各人用のキャビネットと、一見、ホワイトカラーの事務所の様にも見える。

だが、各端末に映し出されているのは、原料価格や純利益の推移などではない。

最新の論文や、超最新の実験データだ。

そして部屋にいるのは、俺と同じように作業着を着た者達ばかりで、やはりここは開発担当部署なのだ。


部屋の奥の方で、円香の声がした。


「あらプッカ、いらっしゃい。どうしたの?」

「いや、どうしたもこうしたも.......うん?」


そう言いながら、部屋に入ってみて驚いた。


部屋には五人程がいて、それぞれ端末に向かっていたのだが、どいつもこいつも一様に顔色が悪く、げっそりしていたのだ。

不調なのは、円香だけじゃなかったってわけだ。

俺は円香のデスクへ近づくと、栄養ドリンクとチョコレートの袋をそっと置く。


「差し入れだ。少しづつでも栄養をつけてくれよな。」

「あら、ありがと......嬉しいな、心配して来てくれたの?」

「ああ。」


そう言いながら、俺は部屋の奥へ目をやった。

部屋にいる人間のうち、一番奥のデスクに座ってるのが、円香の直属の上司だ。

そいつまでが、げっそりとやつれている。


俺はそいつのところへ歩いてゆくと、おもむろに尋ねた。


「どうも。いつもうちの円香がお世話になっております。」

「それはこっちのセリフですよ。ようこそ、プッカさん。どうされました?」


俺の突然の訪問に気を悪くした様子は無いが、こいつも顔色が悪い。


「『どうされました?』、それこそこっちのセリフなんですがね......皆さん、そんなにやつれて一体どうしたってんです?何かヤバい事でもたくらんでるんじゃないんですか?」


円香が慌てて立ち上がり、俺達の方へ近付いてくる。


「大丈夫よプッカ。ほんとに大丈夫。今のところ、一応極秘のプロジェクトなのよ。だからこの仕事が終わったらちゃんと説明するわ。ね、外に出ましょ?」


体調が悪いくせに慌てたせいで、ふらっとよろめいた円香を思わず抱きとめる。


「お前がこんなになってるのに、気にならないわけないだろ。仕事で全員が体調不良になるなんて何があったんだよ?俺にも言えないことなのか?」


俺は円香の上司に向き合い、直談判する。


「なあ、あんた達、一体何を隠してるんだ?俺の円香をこんなにまでして、何をしようってんだ?」


興奮のあまり何か口走った気がしたが、俺は構わず円香の上司を睨みつける。

数秒間の対峙の後、彼はため息をついた。


「......ふむ、いいでしょう。プロジェクトは終了間近だし、それにプッカさんなら円香さんの身内みたいなものだ。プロジェクトが完了するまで口外しないとお約束頂けるのなら、特別にお教えしましょう。ただし、どうなっても責任は持ちませんよ?」


そう言うと、ちらりと横の扉を見た。

確かこの向こうは実験室の筈。

そこに何かあるのか!


俺は扉に近付くと、ドアノブを握る。


「だっ、ダメよプッカ!危ないっ!」


円香の悲鳴にも似た叫びを無視して、俺は勢い良く扉を開けた。


そして.......


その部屋の真ん中に置かれていた「あるもの」を目にして、俺は気を失った。




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