表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宇宙開拓記 ~人類は逞しい  作者: 杠煬
第五章 海の底へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/60

急がねば

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。

そこは、地球から何10万光年も離れた場所。


寿命の尽きかけた恒星と、新たに用意された若い恒星の回りを周回しながら、その2つの恒星を生命活動のエネルギー源とする幾つかの惑星が存在した。


まだ地球人類が知らぬ宇宙の隣人達。

その彼等により、ある会話がなされていた。


「〽◎◆〰〖▲※の移動が確認された。」

「ということは。」

「うむ。ルルイエの檻から出られたようだ。」

「ならば。」

「ふむ。迎えに行かねばな。」

「そうだな。」

「現地の生命に迷惑をかけていなければ良いが。」

「ルルイエの檻から出られた時点で、その可能性は低いのではないか?」

「だが、現地の生命の判断基準、価値基準が我々と異なる可能性はある。」

「あの惑星の調査はなされたのか?」

「ルルイエの檻を設置した時のみだ。」

「その時は?」

「脊椎らしき神経束を持つ生命が生まれ始めていた。」

「ふむ。時間経過を鑑みるに。」

「平行進化をしていると仮定すれば、知的生命が出現し始めているのは間違いないだろう。」

「そうだな。」

「何にせよ、迎えに行かねばなるまい。」

「改めて教育をせねばな。」

「そうだな。」

「行くとしようか。」

「急がねばな。」

「うむ、急がねば。」

「急がねば。」

「急がねば。」

「急がねば。」


.............................................


地球最深部の探索の結果は、世界がひっくり返る程の騒ぎを引き起こした。


それはそうだろう。

未知の深海生物を期待して行ったら、地球外生命(?)と遭遇したのだから。

惜しむらくは、ライデン君がまだ子供(?)だったことだ。

そのため、地球外生命の実体やその場所等についての情報は、ほとんど得ることができなかった。


だが、ライデン君の存在そのものは、我々地球人に大きな希望と一抹の不安を与えた。


地球人われわれは、この無限の宇宙において、孤独な存在ではない。

そして、まだ見ぬ隣人達とは、はたしてうまくやっていけるのだろうか?と。


.............................................


「まあ、しばらくは何も起こらんじゃろうがな。」


私達は今、無事の生還を祝い、昼食の鰻重に舌鼓を打っている。

今回の深海探索でインスピレーションを得たのか、無事に新曲も書き上がり、ご機嫌の彼女が鰻重を奢ってくれることになった。


私は、しれっと特上を頼んだ。


「うむ、美味い!」


彼女は早くも、2つ目の鰻重を頬張っている。

若さゆえの旺盛な食欲は、少し羨ましい。


「しばらくは何も起こらないって、何故です?」


そう言いながら私は、大盛のお新香を箸でつまむ。

出前についてくるお新香では量が少ないと彼女が言うので、別途私が用意したものだ。

柚子風味の白菜の浅漬けと、昔ながらの塩のきいた梅干し。

季節の野菜を浅漬けにしたものは、冷蔵庫に常備している。

梅干しは試作品だ。

軌道エレベーターの建設現場の近くにあったお弁当屋。

そのお弁当の梅干しの美味しさに感動し、その味を再現すべく試行錯誤している最中である。


「ライデン君に聞いたのじゃが、彼は随分と昔から地球にいるようじゃ。それこそ、鰻が産卵のためにルルイエの檻にやって来る前からのう。恐らく、脊椎動物がこの地球に誕生する前からいるのじゃろう。」

「ふむ、それで?」

「ルルイエの檻から出られたら、すぐに迎えに来ると言われていたそうじゃ。」

「おや、それは大変だ。歓迎の準備が必要ですかね?好戦的な相手でなければ良いのですが。」


呑気に鰻重など食べている場合ではない。

最悪の事態も想定しておかないと。


「話は最後まで聞け。つまりじゃ、ライデン君のお仲間達も、とんでもなく寿命が長い可能性がある。」

「成程、それは確かに。」


会話をしながらも、彼女は瞬く間に鰻重を平らげる。


「ベフッ!」


淑女とは思えぬ擬音が聞こえた。

なんだか以前にも、同じ感想を抱いた気がする。


「ほっとけ。で、な。じゃから彼らはとんでもなく気が長いはずなんじゃ。」

「ああ、そういうことですか。」


シーハ―と爪楊枝を使いながら、彼女は結論付ける。


「すぐに来るとはいっても、数100年単位のスパンじゃよ、きっとな。」



気に入って頂けましたら、ブクマ登録、ご評価、ご感想など頂けますと、大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ