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宇宙開拓記 ~人類は逞しい  作者: 杠煬
第五章 海の底へ

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決まり手

お読み頂きありがとうございます。楽しんで頂けたら嬉しいです。

ライデン君の駆動における解決策(ブレイクスルー)


それは、「石」に蓄えたエネルギーを、運動エネルギーへ変換して、ダイレクトに機体の制御をさせるというものだった。


機体各所の「石」が、その回りの部位を前後左右、それに加えて回転まで、任意の場所へと直接(ダイレクトに)動かす。

負荷のかかりやすい精密部品を必要としないのだ。

これにより、ライデン君は、繊細且つ豪快な動きが可能となり、極限の環境においても活躍できる切り札となったのだ。




「のこったぁぁっ!!!」


再びぶつかり合う。

今度は左四つにがっぷりと組んで、そのまま膠着。


「はい、はっけよーい!はい、はっけよーい!」


私もノリノリである。


冷静に考えれば、とんでもない異常事態なのだが。

未知の場所で、未知の生物(?)に出会い、相撲を楽しんでいるなど。

ライデン君に廻しを付けておくべきだった、などと呑気に考えてもいたのだ(汗)。


「うぉりゃぁっ!!!」


彼女が仕掛けた。


ぐいと押し込み、距離をとる。

そのままくるりと回転し、懐に入ると、相手の右腕を取り、体を腰に乗せる。


「そいやぁっ!!」


ズデーン!!

きれいな一本背負いが決まった。


「ライデン君の勝利じゃ。カワムラ君、懸賞は出とらんかの?」

「所長、いつから柔道の試合になったんです?一本背負いだなんて。」


少々呆れながら返事をすると、彼女は意外そうに返してくる。


「ん?知らんのか?相撲の決まり手、八十二手の中にちゃんとある技じゃよ。」


それは知らなかった.......


.............................................


「さて、遊ぶのはここまでじゃ。君は誰で、そして何故ここにおる?」


彼女は、ひっくり返ったままの黒い人影に尋ねる。

それを聞いてゆっくりと起き上がった人影は、その体をブルリと震わせると、再び元の大きな黒い球体へと戻る。

そして、ふわりとライデン君にまとわりついた。


ガガガ.....pipipi.......


いきなり通信が途絶える。

私は慌てて、マイクに向かって大声を出す。


「所長っ!大丈夫ですかっ?所長っ!!返事をしてください!!」


ガガガ.....pipipi.......ガガガガ.......


「.......だ......だ........じょ.......おう、大丈夫じゃ、聞こえておるぞい。」


突然の事態に焦り、何度も呼びかけていると、再び不意に通信が回復した。

回復したのだが.......


「コ.......コンニチハ?」


恐る恐るといった感じで、彼女とは違う子供の様な声が響く。

あの黒い球体が何処からかしゃべりかけてきたようだ。

思わず、キョロキョロと辺りを見回す私と乗客達。


だが私の雇い主は、黒い球体が何処へ行ったのか分かったようだ。

彼女は、衝撃的なことを(つぶや)いた。


「ふむ、どうやらあの黒い球体は、ライデン君の中枢コンピューターと一体化したようじゃな?」


............................................


そこからは大騒ぎだった。


とりあえず、ライデン君のコンピューターと一体化したので、成り行きで彼(?)のことをライデン君と呼ぶことになった。

コンピューターのデータを読み込み、スピーカーを使うことで、ライデン君と私達との間で、意志疎通が可能となったのは有り難かった。


「で、ライデン君は何処から来たんじゃ?地球の産まれでは無いのじゃろう?」

「ボク、トテモトオイトコロカラ、コノ惑星ホシヘ連レテコラレタ。」

「それは、何というところじゃ?」

「分カラナイ......ボクマダ小サカッタカラ......ゴメンナサイ......」

「あああ、気にするな!いいんじゃよ、いいんじゃよ!!泣くでない、泣くでない!!」


まるで、小さな子供をあやしているようだ。


「と、取り敢えず、ライデン君を収納して、浮上しようかのう?」


............................................


潜水艦はゆっくりと帰路に就く。


ライデン君の話によると、とんでもないことが分かった。

まず、この宇宙には、我々以外の生命体がいるということ。

そしてライデン君は、何か悪さをしでかして、罰としてこの地球ほしの深海に封印されていたとのことだ。


「あれ?じゃあ、一緒に連れてきたのはマズかったかの?」

「ソレハ、ダイジョウブ。るるいえノ檻カラ自分デ出テコレタラ、オ仕置キハ終ワリッテ言ワレテタカラ.....」


「ルルイエの檻」とは、あの幾何学的に狂った気持ちの悪い建造物のことか。

確かに、あの中に閉じ込められていたら、私でも色々と懺悔をしてしまいそうだ。


賞味期限の切れたアイシングクラッカーを、素知らぬふりで彼女に出していたこととか.....


「.....何か言ったか?」

「いいえ何も!!」



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