お風呂はお好き?
お読み頂きありがとうございます。
楽しんで頂けたら嬉しいです。
お風呂はいい。
他の人はどうだか知らないけれど、私の人生はお風呂に入るためにある。
そう、何度でも言おう。
お風呂はいいものだ。
仕事が終わってから毎日入るお風呂。
休日に贅沢して朝から入るお風呂。
旅行先で堪能する温泉。
街中の大浴場。
少しぬるくして長時間入るのも。
熱い湯に涼しい顔をして入るのも。
小鉢と熱燗を乗せたお盆を浮かべ、月を見ながら一杯やるのも。
火照った体にバスタオルを巻き付け、腰に手をあててコーヒー牛乳(フルーツ牛乳でも可)を飲み干すのも。
どれもが尊いのだ。
私はお風呂が大好きだ。
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私は今、月基地の水道局で働いている。
元々は、地球で働いていた。
月基地では、シャワーがメインの簡易的なお風呂しか無いと聞いていたためだ。
私の人生、お風呂を堪能できないのなら、生きている意味が無いから。
けれど、例の「石」の発見が世界を変えた。
そのつど、地球から運んでいた大量の水は、その量がぐっと少なくなった。
空気と共に、水も完全なリサイクルが確立されたから。
そして水を贅沢に使えるようになり、月でもお風呂に入れるようになった。
.....ふっ、ふはははははっ!!
良かろう。
ならば私の出番だ。
偉大なるお風呂道の伝道師として、私は月へ行くことにした。
いやその.....
月見酒ならぬ、地球見酒がしたかっただけなんですけどね。
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現在、月の上水のほとんどは、月の砂やアステロイドベルトから運ばれた岩石で、元素変換装置を用いて作られている。
月の砂はいいとして、何でわざわざアステロイドベルトの岩石を使うかというと、それがたくさんあるというシンプルな理由故に。
まあ要するに、そこいらにあるもので作っているだけなんですね。
一応、下水から上水を作ることも可能だし、安全性だって問題無い。
本当にきれいな水は作れる。
ちゃんと飲めるのよ。
けれども、心情的には.....ねえ?
だから、下水を処理した水は、農業プラントや、もう一度水洗トイレ用の水として使っている。
そのあたりは一応、ちゃんと考えているんですよ。
蛇足だが、こういった作られた水とは別に、地球から運んでくる水もある。
当然、高級品だ。
高級な料理や、お酒のチェイサーとして使われている。
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まあ、そんなわけで。
月の水道局には巨大なタンクがあり、そこへアステロイドベルトから届く岩石を砕いて入れる。
元素変換装置で極微量のミネラルを含む水へと変換し、月基地の上水道へ流す。
シャワーやお風呂に使う水も、この上水を使っている。
下水に関しては、まず固形物を取り除く。
ヘドロ状のそれを、元素変換装置で肥料に変える。
固形物を取り除いた下水は、先に言ったように、元素変換装置できれいな水にしたあと、農業プラントや水洗トイレの流し水に使う。
今日も無人の宇宙船が、巨大な岩石を積んで帰ってきた。
その宇宙船は、私の友人が設計したものであり、「クジラ」と呼ばれている。
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「個人用のクジラ?出来るわよ。」
仕事上がりに食堂へ行くと、案の定、円香がいた。
今日は彼氏が一緒じゃないみたい。
冷たい大ジョッキを何杯かと、最近お気に入りのトマトピザをご馳走すれば、彼女は、だいたいのお願いは聞いてくれる。
以前も、私の部屋のお風呂に、大きな窓を付けてもらった。
おかげで今は、解放感のあるお風呂ライフを満喫することができている。
いやあ、持つべきものは、心が広くて優しい友人ですな。
「でも試作はともかく、宇宙を飛ばすのには許可が要るわよ。」
「そこは大丈夫。申請の準備はしてあるわ。」
むふふ、と笑い、私は友人のために新たな大ジョッキのお代わりを注文した。
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