仕様
お読み頂きありがとうございます。
仕様については揉めに揉めた。
世界中から集まった同志達は皆、当然ながらこだわりの人一倍強い奴らばっかりだ。
勿論俺も含めてな。
いっそ殺し合いが起きなかったのが不思議なくらいだ。
時間はかかったが、最終的に大枠は決まった。
【レールの本数】
ここは当然、二本だ。
モノレールでもいいんじゃないか?って少数意見もあったが、そこは俺もこだわりたい。
それほど反対意見は出なかったな。
やっぱり二本の方が美しいだろう?
【素材】
鉄道って言うからには、鉄で作りたいんだが、こればっかりはさすがに無理だ。
鉄では脆過ぎるからな。
元素変換装置で作る高強度なポリマーを使うことにする。
レール、枕木共にな。
勿論列車も、だ。
【列車】
上記の通り、素材は特殊高強度ポリマーを使う。
車輪は多少の遊びは持たせたうえで、レールを噛む様な構造にする。
脱線すると危険だからな。
列車の外側にはなるべく多くのソーラーパネルを貼り付け、発電を行う。
動力は勿論のこと、社内灯や空調にも使うから、発電はしっかりやらなきゃならない。
で、石に蓄えたエネルギーを運動エネルギーに変えて進む。
だから動輪は無い、車輪のみだ。
そして石を積んでおけば、万一、脱線して地面へ落っこちても安全だ。
石が位置エネルギーを吸収してくれるからな。
デザインに関しては、デザイナーに任せることになった。
皆の希望を可能な限りまとめて、幾つかのパターンで作ってもらう。
今風の無難なデザイン。
近未来テイストの前衛的なデザイン。
古き良き時代のSLを彷彿とさせるレトロなデザイン。
ざっくり分けるとこんなところだな。
そうそう、貨物列車だって忘れちゃいけない。
【駅舎とプラットホーム】
ここは豪華にいきたいんだが。
今のところ、月や火星へ向けての宇宙船の発着場、つまりスペースポートの建設が優先されている。
なので、軌道エレベーターを降りた後は、プラットホームまで少し歩くことになる。
仕方ないので、駅弁やその国の名産品を売る長~い商店街を作る予定だ。
いずれ近くの場所を分捕るつもりだがな。
そうしたら、でっかい駅舎と広いプラットホームを作るぜ。
ホント、分かってない奴が多くて困るよ(苦笑)。
【利点】
この項目、必要なのか?
と、皆が思っているんだが、一応挙げておく。
まずは観光だな。
確かに、船や飛行機に比べて移動距離は長くなる。
軌道エレベーターで上にいる分、円周は長くなる理屈だ。
だけどな、車窓からの眺めを想像してみろよ。
昼は青い地球を見下ろして、夜は満点の星空を眺めて。
素晴らしいと思わないか?
ゾクゾクしてくるだろう?
それから、貨物運搬だ。
月や火星から地球へ、もしくは地球から月や火星へと様々な物資が動いている。
だが、いちいち各国の軌道エレベーターまで宇宙船を移動させるより、最寄りのスペースポートでまとめて荷物を降ろしてから、各国の軌道エレベーターまで列車で運んだ方が効率的だ。
その逆もしかり。
宇宙船が到着するスペースポートまで荷物を運んでおいてから、まとめて積んだ方が良い。
列車の移動時間に関しては、宇宙空間は空気抵抗も無いし、石のおかげでスピードだって出るからそれほどかかるものじゃない。
あと、天候による欠航が無いのも強みだな。
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そんなこんなで、いよいよ着工だ。
まずは、各国の軌道エレベーターのてっぺんに、プラットホームを作っていく。
スペースポートに隣接した場所に、今のところは控えめにだがな。
それが終わったら、
任意の二か所の軌道エレベーター間の衛星軌道上に、元素変換装置を複数個設置して中継ポイントとし、放射した物質変換波を一本に繋ぐ。
この長い物質変換波へ、宇宙船から原料を振りかけて(こぼれても問題無いように水を使う)、レールを一発成形するわけだ。
さあ開拓歴、いや人類史上最大のプロジェクトが始まるぜ。
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