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宇宙開拓記 ~人類は逞しい  作者: 杠煬
第四章 娯楽だって大事

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手段と目的

いつもお読み頂きありがとうございます。

新章です。

月と、その次に火星でも見付かった「石」。


ただの隕石だと思われたそれは、人類がこれまでに出会ったことの無い、不思議な性質を持っていた。


一つは元素変換。


吸収したエネルギーを特殊な波長のエネルギー波(物質変換波と呼称)に変えて放出し、周囲の元素を別の元素に変換する。

当初ランダムに起こると思われた元素変換には、その後の研究によって独自の法則性があることが判明した。

現在では、与えるエネルギーを調整することで、任意の元素へと変換させることが可能となっている。

なお、そのエネルギー調整のためには複雑なプログラムが必要であり、特殊ポリマー等の新素材開発のため、今もなお研究が続けられている。


そしてもう一つは、エネルギーの保存。


「石」を真空中に保持すると、吸収したエネルギーを物質変換波として放出することが無く、そのままエネルギーとして保存することができる。

特筆すべきは、位置エネルギーのチャージ(石を落っことすだけでよいのだ)と、他の物質の運動エネルギーのチャージ(何かを石にぶつけるだけでよいのだ)が可能ということ。

さらに、この蓄えられたエネルギーを運動エネルギーとして取り出すことが可能ということ。

これにより人類は、超々高効率な、しかも超小型の推進機関を得ることができた。


この「石」のもたらした恩恵により爆発的な産業革命が起こり、人類の宇宙開拓は大きく進展することとなった。


そして今では、「石」と言えばこの特殊な石のことを指し、これ以外の通常の小さな岩石については、わざわざ「ただの石」「普通の石」などと呼ばねばならなくなった。


........................................



軌道エレベーターのてっぺんから、地球を見渡す。


青い惑星。

俺の生まれ育った水の星だ。

なんて美しいのだろう。


だが、俺は知っている。

この世には、もっと美しいものがあることを。

アンタは知っているかい?


ダイヤモンド?

違う!


黄金?

違う!


愛?

違う違う!


そうじゃない!

そうじゃない!


特別に教えてやろう!

この世で最も美しいもの。

それはな、


どこまでも続く、二本のレールさ。


真っ直ぐに、時に曲がり、時に上り、時に下り、時に交わる。

地面の上を、地面の中を、海の底を、街の中を、山の中を、川の上を。

同じ幅で並び、列車を走らせる。


それがレールだ。

人類の発明した最も偉大で、最も美しいものだ。


レールが無けりゃ、列車だって車と同じ。

レールがあってはじめて、列車はどこまでも走っていける。

そう、二本のレールは目的地とロマンを繋いでいるんだ。


........................................


で、だ。


人類は今、宇宙へ大々的に進出している。

今俺が昇ってきた、この軌道エレベーターだってそうだ。

宇宙空間まで届くこんな塔が、世界中に建造されつつある。


月には基地があり、火星はテラフォーミングの真っ最中。

地球の周りには、人が住める人工のコロニーを作る計画だってある。


だが、足りないじゃないか!


何が、だって?

レールだよ、レール!

レールのことだよ!


火星にはようやくリニアが建造されたが、まだまだだ。

人類の進出するところ、必ずレールがあるはずなんだ。


「はじめにまずレールありき!」


基本を忘れちゃいけねえぜ。


........................................


俺は考える。


月や火星は今後、必要に応じてレールが敷かれていくだろう。

人が住んで、それでレールが不要なんてことは無いからだ。


だが、それだけじゃつまらない。


あんな美しいものを、必要な分だけしか作らないなんて。


そもそも「必要」って何だよ?

レールはそこに存在するだけで価値があるんだ。

レールがそこにあること、それこそが「必要」なんだろうが。


手段と目的を取り違えちゃいけねえよ。


........................................


だから俺は同志を募った。

予想はしていたが、たくさん居たぜ。

それこそ世界中にな。


すでに根回しは済んでいて、レールの建造自体は決定している。

これから順次、取り掛かることになる。


で、どこにレールを敷くのかって?

決まってるだろう?


この宇宙空間おおぞらさ。


全ての軌道エレベーターのてっぺんを、美しいレールで繋ぐのさ。



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