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宇宙開拓記 ~人類は逞しい  作者: 杠煬
第三章 スローライフも悪くない

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求人広告

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

なにせ、せわしない世の中になってしまいましたからねえ。


石の恩恵によって、確かに私たちの生活は豊かになりました。

ただ、そのおかげで世界中の人々は、これまでにも増して忙しくなりました。


それは当然のことです。

人類の目の前に広がる宇宙全てが、開拓可能な広大なフロンティアになったのですからね。


仕事はいくらでもあります。

それこそ、いくらでも出てきます。


争いで他人の物を奪う必要は無いんです。

他の会社より一歩先んじて、業界のシェアを独占する、なんて必要も無いんです。

需要は増えていくばかりなのですから。


際限なく増える需要は、供給を生み、景気のスパイラルは上へ上へと昇ってゆくばかりです。

人類は、これまでになかったほどの活気に満ち溢れていると言ってもよいでしょう。


でも、ねぇ...


いや、分かっていますよ。

頭では理解しています。

それが贅沢な悩みだということは。


しかし、ねぇ...


仕事が面白くて仕方がなくて、夢中になれる人はいいんですよ。

こんないい時代もないでしょうね。

何のストレスも無く、ただひたすらに仕事に打ち込むことができ、それが結果となって返ってくるという、まさに充実した人生なのですから。



でも私のような、生来ののんびり屋さんには、目まぐるしくて気が休まらないのです。



つくづく人間ってのは、御し難く不完全な生き物だと思いますよ。

永遠に満足するってことが無いのですから。

よせばいいのに、日々何かしら小さな不満を見付けてしまうんでしょうね。


はっきり言って、今の世界では、働いてさえいれば、お金とご飯の心配は無いです。

良い時代だとは思いますよ。

ただやっぱり、忙しすぎるんです。


私だって、貯金が無くなったら、また仕事をしないといけません。

またあのせわしない日常に戻らなければなりません。

そう考えると、少し憂鬱になります。


もちろん、いびつなストレスは無いですよ。

単に忙しいというだけで。

けれども、仕事を追いかけたり、仕事に追いかけられたりすることの無い平穏な人生ってのも、それはそれでいいものだと思うのですよ。



...なんて、思っていたところへ、この求人広告です。

俄然、興味が湧いてきました。



どれどれ...


「求む!世捨て人。

初心者歓迎 経験不問


【雇用主】:火星開拓・開発公団

【雇用形態】:農業施設の管理

【勤務地】:火星

【期間】:最短でも5年 永住可

【就業時間・休日】:1日4時間 週休2日制 長期休暇については要相談

【給与・賞与】:年収〇百万円

【各種保険など】:地球に準ずる

【その他】:衣食住については全て支給 年齢制限あり(参加時点で35歳まで)


詳細は〇月×日の説明会にて

 会場:○○会館

 時間:14:00~

お申込みは、下記アドレスまで

 ~~~~~~~~@======


但し、定員20名に達し次第、締め切らせていただきます。」




なるほど、そういうことですか。

火星開拓の一環なのですね。


当初、赤い不毛な惑星であった火星の開拓は、いまでは随分と進んでいるとのことです。

まあ、私もテレビやネットからの情報ぐらいしか持っておりませんがね。

大気は既に、生物が呼吸可能な程に酸素が増えており、今では次の、土壌改良に力を入れている段階だそうですよ。


ああ、それで、仕事内容が農業施設の管理なのですね。

私達が実際に畑を耕すわけではないのでしょうが、食べるものを向こうでも作り始めようというわけでしょう。

なにしろ、地球と火星はずいぶん距離がありますから、往復で1年はかかるそうです。

いつまでも地球からの物資だけで開拓を進めるのは、コストがかかる。

だから少しずつでも人を住ませて、地産地消を進めておこうということでしょうか。


超簡単なお仕事だけれども、勤務先が火星、そして最短でも5年ということになれば、これは世捨て人感覚でないとできませんね。

それどころか、永住も可ときましたか。


あまり娯楽の無いであろう火星で5年。

うーむ...


うん、悪くないかもしれません。


参加するか、しないかは後で決めるとして、説明会は聞いておきましょうか。

すっかりぬるくなったコーヒーをすすりながら、提示のアドレスに申込みます。


説明会は、再来週です。

気に入って頂けましたら、ブクマ登録、ご評価、感想など頂けますと大変励みになります。

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