出逢い
初めての投稿のため、温かい目で見ていただけたらと思っております。
よろしくお願いいたします。
不定期更新になります。
この子だ!!
出会った瞬間にわかってしまった。
身体中のすべての細胞が喜び震えているのがわかる。
私、リイネは目を見開き固まった。
まるで世界の時が止まったように感じる。
目の前には、座り込んで泣いている一人の男の子。
逢いたかった。そして出会ってはいけなかった。
これからどうすればいいのかわからずに泣いているその子の前に呆然と立ち尽くした。。。
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この世界には番という自分の魂の半身とも呼べる存在が必ずいるとされている。
しかし、出会えるかどうかはわからない。
なぜなら世界は広く、獣人や人間の世界のみならず神に仕える天上族や魔王率いる魔族などが世界中に散らばっているのだから。
番に出会えばほかの何も見えなくなり、只々番のためだけに全てを捧げたくなる。
たとえそれが自らの命であっても。
それほどまでに愛してしまう。それが番という存在なのだ。
そんな唯一無二に出会ってしまった。
よりにもよってこんなタイミングで!
リイネは落ち着くためにゆっくりと深呼吸をする。
なんとかこの場から立ち去らなければ!
そう思うのに足の指一本すら動いてくれない。
焦りばかりが募り、思わずチッと舌打ちが漏れた。
男の子にもそれが聞こえたのか、ビクッと体を震わせる。
それをみてようやく冷静さを取り戻していた頭がまた真っ白になってゆく。
とりあえずなんとかしなければ!!
「だ、大丈夫か?」
恐る恐る話しかけた。
涙で潤んだ紫の瞳がこちらを見つめる。
思わず抱きしめたくなるのをぐっとこらえて怖がらせないようにそっと手を差し出す。
「ここはまだ危険だ。魔獣が来る前に離れたほうがいい。」
そう言うと男の子はその小さなぷくぷくした手でリイネの人差し指をキュッとつかんだ。