8story 怨み
大正1年 4月1日......今から、約100年ほど昔、
高浜 真之介という若者がいたそうだ。
彼は〇〇県の阿賀野村で嫁のひな子と一緒に暮らしていた。なお、子供はいないが、村の人口が6人だった事もあって、家族のように接してくれたので、別に子供はいらないと思っていた。
そして、
その男は、ある日の朝、隣町へ薪を売りに行くこととなった。
『ひな子、今から行って来るよ。』
『いってらっしゃい、あなた。』
『頑張ってくる。』
彼は家を出た。隣の家の前を掃除しているおばちゃんに会釈して、隣町へと向かった。
『あら、真ちゃん、隣町へ薪を売りに行くの?頑張ってらっしゃいね。』
時間が経ち、夕方。
もうそろそろ、暗くなる一歩手前でやっと、村に着いた。今日は100銭も売れた事を早く、ひな子に伝えたい気持ちを胸に家に入った。そこには、無残な姿となったひな子の姿が....
『ひな子!!お前..どうしたんだ?』
返事がない。
俺は、家を出て、隣の家のおばちゃんの様子を見に行った。ダメだった。隣のおばちゃんを含め、村のみんながひな子と同じ死に方、俺はなぜだか冷静になった。ひな子を誰よりも愛してたのに、おばちゃんたちを誰よりも尊敬してたのに。
俺は村の人々、5人の死体を一ヶ所に集めて、埋めた。
最後の1人、ひな子を埋めている最中に後ろから、視線を感じた。さっと、ひな子を埋めて、後ろを向いた。そこには、大きな館があった...
大きな扉をおそるおそる、開けてみると、大きな広間だった。そして、彼は広間の大階段の横に置いてある猿の置物を持つ。そうすると、俺の中に何かが.....いや、村のみんなの記憶が流れてくるのを感じた。
そこで、俺の記憶は無くなった。
多分、俺は........死んだのだろう。
大正5年 1月4日 此れを記す.......