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瞑想の基本的な方法をシリーズでお伝えしようと思います。
高度な修法はその方の資質とレベルを見極めて、口伝で伝えないと危険な代物なので記しません。
瞑想と言うと宗教的なものと思われがちですが、私が記すのはあくまでも健康法の一つです。
現代社会では心の病に落ち入りやすい状況にあるので、日々の心労を取り除き、心の安寧を得る基本的な手法をお伝えして行こうと思います。
瞑想と言うと難しい儀式と思う方が多いようですが、そう言う先入観は捨てて下さい。散歩やランニングと同じ気楽なものです。私が記すのはそう言う簡単な健康法です。
◎どこで瞑想をするか?
瞑想の基本はリラックス出来ることです。故に最初は場所を問いません。
貴方が最もリラックス出来る場所はどこですか?
その場所で最初は5分から10分で良いので、毎日行うことが必要です。
本来は早朝に朝日を浴びて行うのが最も効果的ですが、忙しい現代人に朝は戦場でしょう。朝にリラックスするのは難しいでしょうから、殆どの方がリラックスするのは帰宅してからだと思います。
リラックスする場所も人それぞれでしょう。
入浴中が最もリラックスする方もいるでしょうし、就寝時にしかリラックスする時間が無い方もおられるでしょう。
ですので、場所は問いません。
たった5分でも良いので、以下の手法で心を落ち着けることから始めましょう。
1)呼吸法
布団で横になっていても、お風呂で身体をほぐしていても構いません。背筋を真っ直ぐにして深呼吸を行います。この場合、必ず腹式呼吸を心がけます。
二律背反に聞こえますが、深いリラックスを得るには精神の集中が必要です。
腹式呼吸を行う際には、吐息を数えることで精神の集中を得ます。(数息観と言います)
まずは太く長く息を口から吐きましょう。この時、身体に溜まった悪い気を吐き出すようにイメージします。このイメージで息を吐くと黒い気をはき出す様に感じる筈です。
このように太く長く息を吐くと、すぐに息を吸いたくなりますが、暫し我慢して下さい。2,3秒で良いです。で、息を吸いますが、鼻から吸うようにしましょう。
この際、自然の中にある清い気をゆっくり味わうよう吸うイメージをして下さい。
イメージが上手く行くと白い気か、早朝の森の木立の香りが身体に入るよう感じるでしょう。
息を吸うのは鼻からですが、可能なら肛門と性器の間より呼気を吸い上げ、その気が背骨を螺旋を描くように頭部に上り、頭頂に達する様イメージします。
このように太く長く息を吸うと、すぐ息を吐きたくなりますが、やはり2,3秒留めて、先程の吐息要領で、今度は気が背骨を螺旋を描いて下がり、肛門付近から出る様イメージすます。
ここで、吐息を「一」と吐きながら、のばすように長く数えます。
この要領で一から十まで数える呼吸法を身に付けます。
最初は苦しく、リラックス出来ないと怒られるかもしれませんが、どんな人でも3日続ければこの呼吸法が快いものに変わります。
一から十まで数える呼吸は心地よくなるまで続けます。寝床や風呂で行えば自然に眠気を覚えるでしょう。寝床ならそのまま眠れば良いし、お風呂なら手で身体全体を撫でて見て下さい。芯からぽかぽかしてくるのが分かるでしょう。そのまま真水を飲んで床に就く様して下さい。
夜にこの呼吸法をしたときはアルコールは厳禁です。
効果が消えるだけでなく、悪影響が出ます。
寝酒の習慣を持つ方は多いでしょうが、学術的にも寝酒は睡眠を浅くし、疲労回復の妨げとなるので、悪癖と捉えて止める様心がけて下さい。
早朝にこの呼吸法が出来る方は、なるべく朝日を浴びて、正座か結跏趺坐(座禅の座り方)で行って下さい。座れない場合は肩幅よりやや広く足を広げ、手は腰の辺りで広げる様にして背骨を真っ直ぐにして立って行って下さい。
この呼吸法を身に付け、毎日の習慣とすれば、心の病は勿論、慢性病の改善も見られます。なにより心地よさを得られますので、忙しい皆様にお勧めします。
2)観相
観相ってなんじゃい? と思われる方は多いでしょう。
本来なら、この段階で詳しく述べるものではありませんので、簡略に説明すると、修行としての瞑想に取り組む時に精神集中の為、思い描くものを指します。
禅宗の「無念無想」は有名ですが、観相として理想ではありますが、難易度が極めて高く、一般人に出来るものではありません。これに捕らわれ「禅病」と言う神経症に落ち入る本末転倒な事例が多いのは否定出来ません。
しかし、前述の呼吸法を身に付け瞑想状態を得るに至ると、どうしても雑念が浮かぶのが普通です。「無」になれと言われても「無」と言う概念を理解出来ていれば瞑想の必要も無いのですから、凡俗にこう言う指導をする僧侶は無能と言うべきでしょう。
私は雑念を無理に消せとは言いません。人生における問題を瞑想状態になることで解決に至ることもあるからです。
しかし、マイナス思考。すなわち、怒り・恨み・妬み・悲しみ等がわき上がる様なら直ちに瞑想を取りやめ、走り込みなどで身体を酷使して、それら妄念を忘れるべきです。
瞑想は思念を増幅する作用があります。プラス思考なら増幅されても然程問題ではありませんが、マイナス思考は生きながら地獄へ直行しかねません。
宗教的概念が瞑想に取り込まれるのは、聖なる者へ縋ることで、マイナス思考の増幅を押さえ、かりそめの救済で誤魔化す為と言っても過言でもないでしょう。
現代で既存宗教の神仏に縋って瞑想しても、救いは得られるとは私には思いません。また、多くの密教僧は食を断ち不眠不休の瞑想と言う荒行に取り組みますが、このような荒行に取り組む方々は既存の神仏に縋りません。
よって、呼吸法を習得し瞑想状態に至る様になった方は、美しい自然の状況など心地良い情景を思い浮かべる様心がけて下さい。