第4話 異世界転移の基本
早速のブクマ、ありがとうこざいます......。
いきなりでかなり驚いております。
ありがとうこざいます......。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺が?選ばれた?神に?」
ふむ...。これは異世界転移のフラグか?
『そう。さっきからそう言ってる』
「なんで?なんで俺なんだ?それに、選ばれるならゲームみたいにそれなりのメインイベントがあるはず.........。」
何かきっかけになるイベントが必ず、あったはずだ。
それを思い出さなければ。
ちら、となにかヒントがないか紗苗の顔を見てみる。
紗苗は俺の言葉に驚いていたのか、少し目を丸くしていた。
恐らく、俺の推測はあっている。
ならば、考えろ。どこかに答えがあるはずだ。
そういえば、たしか妹が顔を顰めた時があったな......。
あれはいつだったか......
そうだ。
「───まさか、隕石」
すると、また妹は驚いて、丸くしていた目をさらに丸くした。
まんまるすぎて球体に見えるぜ。
おっと、自分で何言ってるのかわからなくなってきた。
落ち着け、何大したことじゃない。
『なんでもゲームで例えるのはよくないと思うけど、今回は結構いいせん行ってる。そう、貴方はこの前、隕石が落ちてきたのを見たはず。私が夢だって洗脳したけど、あれは現実。あの世界は私が作った』
「こえー事言うな俺の妹。そもそもお前何もんだよ」
隕石を消すとかどうやればできるんだよ...
そもそも、もしかして隕石自体が紗苗の仕業なのか?
いや、それだけは考えたくないが......
『ご名答。私が貴方を試すため、隕石を落とした世界を創った。あの時、私は隕石の所に行きたいって言ったでしょ?それが証拠』
あ、あぁ。
言われれば、確かにそうだ。
あの時、妹は『そんなことよりお兄ちゃん!隕石見に行こうよ隕石!』って言ってたっけか。......当時はなんと愚かな妹だと思ったが、安直にそう言ったわけではなかったということだな。
なるほど......って、ん?
俺、今何も言ってなかったよな?何もんだよとしか言ってないよな?
......まさか、俺の考えてることを読み取れるのか?
そういえば、前からよく俺の考えてることを察して発言していた気がする。
あの時は察しのいい妹だなーと思っていたけど...まさか。
『当たり前じゃない。私はこの世界を創り、操る創造神様の側近なんだから』
「えっ?」
いま、サラッとすごいこと言わなかった?
紗苗お前、側近?
待ってくれ、どのくらいの立場なんだっけ......。
『周りには、創造神の右腕、とか、親指、とか言われてる』
「右腕と親指じゃ随分重要度ちげーけどな...」
指の一本と四肢のひとつじゃ大違いだ。
多分、親指ってのはまだ出世する前の肩書きだったんじゃないだろうか?
それで、今の側近になって右腕と呼ばれるようになった────とか。
『ん、多分そんな感じ。
ま、今は神の組織する【神政組織】の幹部の1人』
「ちょっと待って。理解が追いつかない」
細かいことまで面倒くさがらずに説明しろよ。
『うーん。神界で3番目に偉い......って言ったらわかる?』
「分かるけど、なんでそんなにすごい人が俺程度の最底辺男の妹だったんだ?」
『それは.........私が行きたかったから』
「あっそうですかはい」
なんかわからんが紗苗から謎の威圧を感じた。
なんだろう。
有無を言わせない感じの......。
もしや、事情を詳しく詮索されたくない...とか?
案外ありそうだな。
ま、そうなら俺としてもこれ以上は詮索する気は無いけどね。
『じゃあ、もう聞くことも聞いたと思うし送るよ?』
いや......俺を邪険に扱うんじゃねぇよ。
確かにコミュ障こじらせて、何話せばいいかわからないことよくあるけども。
今は好きなことに分類されるものの話だから、余裕で話題が出てくるけど。
「ちょっちょっちょっと待って」
『...なに?』
異世界転移を俺はこれからするんだ。
聞くべきことは決まってる。
「その世界に、魔法とかスキルとかはありますかっ!」
『ない』
「いよっしゃぁぁぁぁぁぁ──────·········って、え?」
即答だった。
「よく聞き取れなかったから、もっかい言ってくれる?」
『無いって言った』
「......えええええええええ!!!???」
嘘だろ!?
異世界に魔法スキルは王道だろうがァァ!
根本的なところだろうがァ!
なんでなんですかねぇ!!!
い、いや落ち着け俺氏。
まだ希望は残ってるはずだ。
アーツとか、ポーションとか、そのへん残ってるかも──
『無いよ?』
糞じゃねえか。
「ご、ごめん俺地球にやること残してきたんだが」
『問答無用』
「え?任意じゃなかったっけ?」
『神に選ばれたらもう行くしかないの』
嘘でしょ。
なんで俺そんなつまんないとこに行かなきゃならんのさ。
「で、でも魔術ならあるよね?ね?」
『あることにはあるけど......期待しない方がいい』
「そ、そうですか」
魔術なら有り、か。
魔法とかスキルとかポーションとかアーツとかがないのは悲しいけど、仕方ない。
魔術でおまけすることにしよう。
ってか、魔術と魔法って何が違うんだし。
ま、それは向こうに行けばわかるか。
それより──
「あと俺って日本語しか喋れないけど大丈夫?」
異世界もんお約束、何故か知らないけど通じる日本語。
あるいは、有能スキルを手に入れていてまたは転生して赤ちゃんからやり直していてその世界の言葉を使える...とか。
『安心して。私が付けるAIで翻訳する』
AIとかハイテクすぎワロタ。
異世界に翻訳機とか、似合わなすぎる。
って言うかそれって...、
「要は通じてないんだよね!?本当に大丈夫なの?」
や、やべえぞ。
俺、本当に心配になってきたぞ。
この世界でやって行けるのだろうか......
「あ、転移ってことは俺はただの一般人ってことになるのかな?」
『うーん、まあそういうことになるね。
あ、なりたい種族とかあったら私の方で行く時に自由に変えられるけど───』
「はい!はい!」
『食い気味で最後まで言えなかったけどどうぞ』
「俺がなりたいのは──」
いろいろ、考えてみる。
俺は、何になりたいのか?
ゴブリン──却下。
あいつくそ雑魚だろ。
スライム──却下。
最弱生物の印象しかない。
悪魔──却下。
召喚されなきゃでれねーじゃん。あ、そもそも魔法ないんだっけ。じゃあそもそも居ないんじゃね?
天使──却下。
これは悪魔と同じ理由。
鬼──却下。
人類に討伐される運命しか見えない。
ドラゴン──却下。
人と関われんわ。言葉しゃべれても...怖がられて終わりだな、うん。
そもそも魔物系アウトじゃね、コレ。
魔物になって成功した例も何個かはあるけど(ラノベ参考)...
それでも、魔物はリスクが高すぎる。
やっぱり、ここは無難に人間......なのかな。
こう考えると改めて人間の素晴らしさを感じるわ。
『あ、そうだそうだ。葉月には多分転移ボーナスでなんかもらえると思うから自分のステータスを鑑定できるようにこれ持ってて』
「いま俺人間でいいやって答え出してたんだが.........、ま、いいや。鑑定は転生or転移の基本だし、ありがたく貰うよ」
『多分初期ステはすんごく雑魚いと思うから頑張』
「うん、転移もんのお約束だとクソ高いんだけどね!頑張ってくるよ、紗苗」
『ゴフッ、ガハッ......ハァハァ......無理死ぬ』
「お、おい大丈夫か紗苗」
なんか血吐き始めたよ?
俺、そのうちこの人殺しちゃうんじゃないの?
俺の笑顔そんなに不細工かなぁ......。
ま、いいや。
紗苗ももう大丈夫っぽいし、俺も大丈夫だろ。
何が大丈夫か知らんけども。
「じゃ、俺は人間にさせてもらっていい?」
『ん、おっけ。じゃ、行ってらっしゃい』
「ちょ、ちょま」
『なに?ここに来て怖気付いた?』
「違う違う。これって、主人子補正的なのつく?それと......、お前と.....その、また会える.........よな?」
俺が質問すると、紗苗は少し考えているようだった。
恐らくそれは前者についての思考時間だと思う。
だって、また会えるかどうかなんてもうあいつには分かってるんだろうから、それを俺に伝えてくれれば良い訳だし。
ん?こいつ何気に顔赤くない?
俺をちらちら見て、俯いて、何を考えてるんだか。
「答えをくれよ、はよ」
俺は待つのが得意な方じゃないので、出来れば早くして欲しい。
『ご、ごめん。.........えっと、確か主人公補正的なにかはあったはず。あと、私と......その、葉月が............会えるかどうかなんだけどね...............?』
「うん。会えるんだったら、会いたいよ。可愛い妹なんだし」
『かっ、可愛っ............そ、そんなことはどうでもいいの!と、とりあえず.........いまはまだ会えない...』
「いまは、か。じゃあ、もう少しして俺が立派になったら会えるってか?」
『......多分、そう。だから、私に会いたかったら......頑張って』
「おうけい。じゃ、行ってくるよ」
いやー、可愛い妹に頑張ってって言われるとか嬉しすぎか。
おっと、落ち着けシスコン俺。
気を取り直して俺はとりあえず雲の晴れ間的ところに歩いていく。
どうせ、これって飛び降りるパターンとかだろ?
『何してるの?』
「えっ?」
えっ?
このまま飛び下りて俺の転移生活の始まりじゃないの?
『ちゃんと、転移門は組んである。
こっちでやるから、そこにいて』
「あっ、理解しました」
どうやら、ラノベの通りには行かないようだ。