第1話 朝、目が覚めたらなんか落ちてきた
いせいじゃ、と同時進行で書いていきます。
今はある程度書き溜めがあるので暫くは定期的に投稿できると思います。
どうぞ、よろしくお願いたします。
いつも思い出す。
初めて、学校に行ったあの日を。
驚きを隠せない周囲に、俺はニッコリ微笑んで───
「よろしく」
ただそれだけを、端的に告げたあの日を。
そして、きっとこれからも忘れない。
だって、あの日は─────
「うぅ、うあー!」
意味も分からない叫び声をあげて、今日も一日、昨日と変わらぬ日常生活が始まる。
あー、突然隕石でも落ちてこないかなー、んで、そのまま学校滅びないかなー。
なんて、思ってたりも実は─────
ドゴン。
ジジジジジジ...
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ.........
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!
───は?
いま、明らかに世界が終わった音したよね?
まるで、さっき言ったことが本当みたいに?
隕石が落ちてきたの?
いやいや、それはまじでな───
「お兄ちゃん、おはよ。今日は朝から隕石だよ!」
──前言撤回。
なんだよ朝から隕石って!?
なんで今日は朝から隕石なの!?
普通今日は朝から寝坊したんじゃないの?
いや、普通はそれも言わないんだっけ?
......ともかく!
なに?
意味わからないんだけど?
「お兄ちゃん、落ち着いて。狂ったみたいに踊り出さないで」
おっとっと。
危ねー。
俺にはどうやら混乱した時に踊り出す癖があるようで。
最近は大人しくなってきたが.........たまに無意識でなることがあるのだ。それはもう、フォート○イトの様に。
そういや最近TPSやってないな。
最近宿題に塾にテスト勉強に忙しかったからなぁ......。
ん?FPSはやらないのかって?
FPSねぇ......。マインクラ〇トとかなら一人称視点でもいいんだけど、銃撃ゲームだと三人称視点なんだよなぁやっぱり。
三人称視点だと見れないところも見れるし、手榴弾とか投げやすいし。
今日位は、ゆっくりゲーム三昧でもしてやりますかね。
そう決意して、妹に手を引かれながら、というより引っ張られながら階段を降りていく。
無事、1階と2階を繋ぐトビラの前に到達。
「開けるぞ...」
出てきた瞬間、1階部分は隕石の影響でまっさらさらー!
なんてことあったりしないだろうな?
ガチャリ(扉を開ける音)。
ご安心ください。
1階部分は、壊滅状態でした。
フラグ回収、お疲れ様です。
色んな意味で。
「なにこれ?」
「んー。さっきおかーさんが隕石にびっくりしちゃって、いままでにないくらい強烈に棚に小指をぶつけちゃったの。それで、そのままのたうち回ってたらテレビにぶつかっちゃって、それが倒れて隣のタンスにぶつかってそれが倒れて──の連鎖でこうなった」
何そのピタ〇ラスイッチ方式緊急搬送......もう俺の頭がついていけてないんだけど?
「あ、あぁ...うん。まあ、母さんならやりそうなのが残念だよな...」
あの母さんはドジ+お転婆なので、もはやそうなるのは当然だったと思う。
その通りになっちゃう母さんもどうかと思うけどさ。
俺の言葉に妹が首を縦に振って肯定。
全く、こんな日に何やってんだか。
っていうか、直接的にはこれ、隕石のせいじゃないのね。
母さんが原因って、どうもなぁ......。
そろそろ歳もいい所になるのだから、真剣にやって欲しいものだ。
今日は確か、日曜だったか?
仕方ない。
片付け、手伝うとするか。
「で、何しようかな...」
やるべき事沢山ある。
まずは散乱したものをまとめなければならないし、タンスとかテレビとかも起こさなければならない。
何から手をつけるか考えていると、妹が馬鹿なことを言い出した。
「そんなことよりお兄ちゃん!隕石見に行こうよ!隕石!」
そんなことより!?
この壊滅した1階部分の片付けがそんなことだと!?
ちょっと、いやかなり妹の神経の異常を感知したぞ!?
この子、将来大丈夫なんだろうか......。
まあでも確かに、俺も隕石は気になる。
うーん、どうしよう。
ま、母さんに後で言っとけば──って、母さんはどこに?
「おかーさんなら、おとーさんと病院。小指の骨折れてたみたい」
「折れたの!?」
え?
ほんとにたんすに小指ぶつけただけ?
向かってくる車に小指強打したとかじゃなくて?
いや、落ち着くのだ俺よ。
普通に考えて向かってくる車に小指ぶつける方が難しいわ。
そもそもなんで俺声出してないのに答えてくれたし。妹半端ねぇ。
とりあえず母さんと父さんには後で伝えるとして、妹の機嫌をとるためにも仕方なく行ってやろう。
あくまでも妹のためだからな?
俺が行きたいから、妹を利用するわけじゃないからな?勘違いするなよ?
「うーむ。じゃあ.........行くか?」
「うん!」
妹が俺をキラキラとした純粋な青の双眸で見つめてくる。
こんな目で見られたらもう、行くしかあるまい。
あ、俺の妹美少女です。やった。
生まれた時は「ロリコンorシスコンを狙った犯行かな!?」とか思ってたけど、今は全然そんなことは無い。
むしろ妹のためなら、ロリコンとかシスコンとか言われても構わん。
ちなみに母ちゃんが俺を産んだ時は「ショタを狙った犯行かな!?」って言ってたそうな。
いや、男生まれたら絶対それ言うつもりだったろ。
女生まれてきたらどうするつもりだったんだよっていうのはさておき、俺は妹と手を繋いであっという間に家の外へ。
どっちから繋いだか?
勿論、妹からです。
俺はあんまりそういうこと自分からするような人間じゃないんで。
脳内で誰かに妹萌えアピールを果たしたところで、ちゃんと玄関の鍵を閉めて、門を閉める。
家を出て右を見る。
いつも通り。
左を見る。
いつも通り。
前を見る。
いつも通り。
「あれ?隕石どこだ?」
「うしろ」
後ろ?
そう言われて振り返ってみると─────。
「うわ、やべぇよ......」
───めっちゃくちゃデカい隕石と煙が、辺りを覆い尽くしていた。
あれ控えめに言って、ヤバくない?
明日学校休みになるかな?
俺たちは家の横の細い道から隕石の方向に向かっていく。
狭い路地から少し広い道路に出たところで、その全容がやっと掴めた。
大きさは...そうだな。
半径約30メートルくらい?
とりあえず、よく分からんけどでかい。
ビルよりでかい。
ってかビル倒れてる。
あれ大丈夫なの?
いやいや、そもそも隕石落ちてる時点で死者多数か。
衝撃波とか色々あるし。
ほんと、ここまでこなかったのが良かったよ。
でも、なんか足りない気がする...ような。
そんなことを思いながら、俺たちはタラタラ向かう。
──ん?
待てよ?
確かあっちって......誰かの家がなかったっけ?
「兄...ちゃん...!」
誰だ?
山本──違う。
あいつの家は知らない。
坂上──違う。
あいつの家も知らない。
川霧──違う。
あいつの家は多分逆側。
となると、あとは........?
まさか、直樹?
「お兄ちゃん!」
「ん、おお......ごめん」
もしものことを考えて現実から意識が離れかけていた俺を、妹がなんとか引き戻してくれる。
危なかった。
「どうしたの?」
怪訝そうに俺の顔を覗いてくる。
俺の不安は察されないようにした方がいいだろう。
妹まで不安な気持ちにさせることだけはしたくない。
「いや、なんでも。早く隕石の方に行こうか」
元気よく「うん!」と頷く妹の頭をポンポンして精神を落ち着かせる。
俺もかなりのシスコンだろう。
前々から思っていたが、妹は癒し属性のポケ〇ンだと思うのだ。
大丈夫だ。
直樹はきっと生きてる。
死んでない。
呪文のように言葉を脳内で繰り返しつつ、妹を連れて隕石の元へ。
◆◆◆
「ここが、隕石が落ちたとこか.........」
俺たちが、正確には俺が、もしかしたらの可能性を考えて恐怖しながらやってきた、隕石の落下地点。
何千、何万トンもあるだろうその塊の落下してきた中心には、何があったのだろうか。
隕石に潰され切ってしまって何も見えないので、近くに寄って、何か、知り合いと繋がるものが無いか探す。
ゴソゴソと小さな瓦礫を払っていると、中川と書かれた表札を見つけた。
この辺で中川といえば、一人しかいない。
そして、その中川の下の名前は、直樹だ。
............と、言うことは.........?
「お兄ちゃん、これって......」
「ああ、そうだよ...。直樹の家だよ......!」
「お、お兄ちゃん......?」
少し声が荒くなった俺の異変に気づいた妹が、おずおずと尋ねてくる。
が、俺はそれすらも打ち消す声で、叫んだ。
「フラグ回収すんなチキショ───────────!!!!!!」
隕石描写に違和感を感じられた方、フラグ立ちました。
後に出てきます。