表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/10

ハカセの講義

「まずは、バッファーを作るところから始めよう」


「はい、ハカセ」


分からない単語があったから僕は挙手した。


これはハカセとの最初の決め事で分からないことがあれば、『はい、ハカセ』という言葉と共に挙手をすることを。


分からないまま進むと大事故に繋がる可能性があるからだ。


「はい、助手君」


「ばっふぁー、とは何ですか?」


「日本語では緩衝液と訳されるが、機能としては様々だ」


「へぇー」


「簡単に言えば、異なる二つのものが共存できる環境を整える仲介役だ」


「へぇー」


「では、始めよう」


小学校の理科の授業で使ったことのあるビーカーとメスシリンダーとガラス棒を用意した。


見たことのない白い金属の短い磁石みたいなものがあるが使用方法がまったく分からない。


そういうときは


「はい、ハカセ」


「何だね?助手君」


「この白い金属の棒は何に使うんですか?」


「それは、スターラーバー。日本語では攪拌子(かくはんし)と言う」


どちらも聞いたことのない言葉だ。


覚えられるかな。


「使い方はビーカーに入れて使う」


「へぇー」


教えて貰った金属の棒を台に乗ったビーカーに入れようとした。


後頭部に何かが当たった。


「たわけ」


「あてっ」


「そのまま入れるヤツがあるか。そんなことをすればビーカーが割れて掃除が大変になるだろうが」


手近にあったきむわいぷの箱を投げつけてきたらしい。


パワハラだ。


「はい、ハカセ」


「何だね、助手君」


「どうして割れるのですか?」


「まずそのスターラーバーは金属だ」


「見たまんまですね」


重さも金属でなければ不思議物質になるところだった。


「そしてビーカーの乗っている台には磁石がある」


「へぇー」


「くわしい仕組みは省くが、金属と磁石はどうなる?助手君」


「ひっつきます」


これくらいは僕も分かる。


小学校のころ磁石と砂鉄で実験した覚えがある。


「では、次に金属とガラスはどちらが強い?」


「そりゃもちろん金属ですよ。小学生でも分かります」


「君に小学生レベルの知識が最低限あって良かったよ」


さりげなくディスられた。


いつかハカセを驚かせる研究をしてやる。


「これも小学生の知識があれば分かる。その持っているスターラーバーを手放すとどうなる?」


「ハカセ、馬鹿にしてます?落ちるに決まってますよ」


「では確認はこれくらいにして解説に移ろう」


「前置きが長いですね」


「重力により引っ張られる力と磁石により引っ張られる力が合わさった力でガラスにぶつかるとどうなる?」


「うん?どうなるんです?ハカセ」


物理は苦手というか選択していないから公式とかさっぱりだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ