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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
3章 北方小事
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3-21 “元”神様と問いかけⅢ

宴会だー!(ベンジャミン)

だー!(野郎ども)

「お! 居たぞー!」

「おー! 見つかったか! 良かった良かった!」


破顔した顔で、そう言った彼らの顔に見覚えは無い。

それでも僕を見つけた事を喜んでいることは分かった。


なぜ?


その疑問が浮かぶのは仕方ない事だろう。

僕が彼らを苦しめたのは間違い無いのだから、そんな僕を笑って歓迎する方がおかしい。

それでもその疑問を口に出さなかったのは……なぜだろう、僕自身も分からない。

ただ、さっきみたいに言葉が詰まったんじゃない、そもそも言葉が出てこなかったんだ。


「じゃあ今日こそ付き合えよカミル。宴会は基本全員参加なのにお前だけ出てなかったんだからな」

「フフフ、お前がどれだけ酒が飲めるか見せてもらおう」

「何ですかそれ」


肩を組んできた彼らに殺気は元より敵意の欠片もない。

本当に何で僕なんかを構うんだ。

また言葉が出ない。


そして僕は肩を組まれたまま連行されるように宴会場に向かった。



足を踏み入れた宴会場はテントを使って作った物ではなく、石造りの街に作られたしっかりとした建物である。

ちなみにこの建物が一番早くできたと聞いた時は耳を疑った。

どれだけ宴会好きなんだろう。

ここ最近は毎日の様にやってるけど飽きないのかな。


「おおう! 遅れて主役の登場だぞう!」

「道を開けて酒を注げい!」


ウォォォォォ!!


「ちょっ! 僕は酒が嫌いなんだけど!」


会場に入るといきなり僕の肩を組んでいる二人が僕の全く知らない事を言い出した。

抗議の声は歓声に掻き消され虚しく消えていく。

そして目の前に杯が置かれ、すぐさま酒で満たされた。

回りを見ると酒臭いおっさん達がこちらをニヤニヤした目で見ている。

飲めという事らしい。

回りからの無言の圧力、もとい笑顔の圧力が凄い。

少なくとも飲まないと開放してくれないようだ。


「……いいだろう。僕に酒を飲ましたことを後悔させてやる!」


そう言い放つと僕は杯を掴み口に付けると一気に傾けた。

会場のテンションはMAXにまで達した。



「うー」

「うーん」

「ううーん」

「ただいまーって何だこれ」

「お帰りなさい」


アキラさんが帰還したのは僕が酒に口を付けてから2時間ほど後。

宴会場は僕のペースに合わせて飲んだ男衆が死屍累々と言った状況だ。

唸るように机に突っ伏す者や地面でぐったりとしている者が大半で、まともにしているのは周りのペースに流されない者かそもそも酒を飲んでいない者のみ。


「酒嫌いなんじゃないのかよ……」

「嫌いとは言ったけど苦手とは言ってません」

「ちくしょう……」


そう言うと最後の最後まで粘った彼はガクリと首を落とした。


「なんかあったみたいだな」

「飲み会を少々」

「そうか、でもあんまりやりすぎるなよ? 急性アル中で死亡とか笑えないからな」

「そもそもこの酒は酒精がそこまで強くないはずなんですが……」


そういって一緒に入ってきたクリスチャンは床で転がる酔っ払いどもを不思議そうな目で見ている。

彼らの飲んでいた酒はこの世界で捕れる植物の作る酒で、そこまで強いアルコールは含んでいないから不思議なんだろう。

その疑問に答えてあげよう。


「どれだけ酒精の弱い酒でも、水みたいにガブガブ飲んだらこうなりますよ」

「そうですか……。つまりこの死体の群れは自業自得ですか」


“心配して損した”、そう言って彼は屈んで介抱しようとしていた体勢を解き、床に転がる酔っ払いを蹴って会場の隅に寄せた。

そう、端ではなく隅である。

つまり蹴り飛ばされた酔っ払いは重なるように隅っこに押し込まれた形だ。

気心が知れてるとはいえ、いやそれを入れても酷い行為だ。

ギュウギュウに詰め込まれた彼らは先ほど以上に唸っている。が、クリスチャンは気にも留めない、むしろ進んで無視しているといった方が正しい気がするほど無情に四隅に押し込んでいる。


そして十数分後、宴会場の床が綺麗になったが、その代わりに醜悪な酔っ払いの塊が四隅に作られた。

制作にあたってクリスチャンは一切手を使っていない。

……うん、ここはその足の器用さに驚嘆するべきだろう。


「お! 終わったみたいだな。じゃあお前等座れよ、何か言いたいことがあるから飲んでないんだろ?」


途中までは興味深そうに見ていたアキラさんは飽きたのか先に椅子に座って机に残ったツマミの豆をポリポリ齧っていたが、作業が終わったのを見て最後まで立っていた男たちに席を進めた。

彼らは酒を飲んでいない者だった。



「悪いがそいつと同じ席に着くことは出来ない」


そう言ってその集団、というほど数では無いが5~6人ほどの男たちは僕の向かい側に立った。

腕を組み、足は肩幅から少し開いて、威圧するようにこちらを見ている。

この雰囲気は……そうだ真正面の彼は、つい先日僕に『二度と姿を見せるな』と言った男だ。


「お前等まだそんな事言ってんのか。この前の会議で決めただろう?」

「あんなものを会議とは言わない。宴会の延長線という」


僕らとは机の横の辺に座るアキラさんは呆れたように彼らを見る、それに対し彼らの視線は冷たいままでチラリとアキラさんを一瞥するとこちらに視線を戻した。

ところで僕の知らない間に行われた会議とはどのようなものだったのだろう。

宴会の延長線と言われるとは………。

酒は……入ってただろうな。その状態でどうやって会議したのやら。


「でもほとんどの奴等は良いって言ってるぜ? 別に群れに従わないのは悪い事だとは言わないけどよ。でも時と場合ってものを考えろよ。500人の内5人って1%だろう? 基本的に無視される数じゃないか」

「なら無視するといい。俺たちはそいつを許さない」

「がー! めんどくさい!」


アキラさんの説得に耳を貸さない彼らは、僕を睨みつけながら組んだ腕を解き、そして机に振り下ろした。


ダンッッ!


机に叩きつけられた手が大きな音を会場に起こす。

いきなりの事にビクリと体を震わせしまった。


「めんどくさい、だと……。アキラ、貴様何か勘違いしてるようだが俺はお前の許可など要らないんだ。こいつを殺すのに許可など必要ないはずだ! それなのにお前が待てと言うから今日まで待ったんだ! そもそもどうして止める!」

「それこそ会議で話した内容だろうが。『有用だから生かす』それが答えだ」

「なら貴様は親の仇でも有用なら使うのか!」

「使うよ? 場合にも寄るけど、今回みたいなのは使わないと損だろ?」

「何だと!」

「落ち着いてください、二人とも。カミルがついてきてません」


クリスチャンの言葉でヒートアップしかけた会話が一旦打ち切られる。

アキラさんは椅子に軽く座り背もたれに背中を付け思いっきり見下した表情で、対する男たちの方は憤怒の形相で彼を見ていた。

あんなの恫喝をくらって全く体制を崩さないアキラさんは凄いな。

そして僕の身柄を決める会議は酒の入った状態で行われたらしい事がはっきりした。

僕ってどういう扱いなの……。


「大人になれよ、必要とあらばむかつく上司や取引先に頭を下げるのが大人だろ?」

「復讐をする気もない腰抜けに言われたくはない」

「は?」

「第一、俺の親友を殺した奴に頭を下げる? 貴様はふざけているのか?」

「イヤ? 頭を下げるのは比喩表現だから拾わなくていいぞ? そもそも頭を下げろとは言ってない、大人になれと言ったんだ」

「そんな事をするのが大人なら俺は大人じゃなくていい!」


ダンッ!


再び振り下ろされた拳は先ほどよりも早く、起こりが見えなかった。

そして再びビクリとする僕。

いきなりとは言え二度目も引っかかるとは我ながら情けない。

それに対してアキラさんは余裕の表情で、大きな音などどこ吹く風だ。

ところでこの話、僕の気持ちとか勘定に入ってるんですかね?

先ほどから僕の意見何も言ってないのにドンドン話が進んでいくんですが。

まあ、僕に意見を言う資格が無いと考えるなら当たり前なんだけど。


「復讐を果たす! それはあの戦場で死んでいった親友との最後の約束だ! ソレを邪魔することが出来ると貴様は言うのか!」

「で~き~ま~す~。なぜなら俺は(やりたくはないけど)最高責任者になってるからね。まあ、仕事が安定しない現状では便利屋みたいなものだけど、組織の意思に反して暴走しそうなお前らを止めるのは普通に仕事の内だろ」


“だから止めます”そう言ってアキラさんは椅子に座りなおした。

先ほどよりももっと軽く座り、さらにだらしない座り方だ。

少なくとも重大な会議をしているとは思えないほどふざけた座り方だ。

もちろん火に油。

少なくとも真面目にしてる復讐を考えている彼らからすれば憤慨ものだろう。

しかしアキラさんは止まらない。


「どうでもいいけど、今日日ナイフでブッ刺す復讐なんて流行らないぜ? 時代は直接ではなく間接。つまりサブミッション!」

「字が違うのでは?」

「そうだね、でもダブルミーニングって言ってほしいかな。やってることは大して変わらないんだし」

「どういうことだ」


馬鹿にした態度を崩さないアキラさんに、怒りに震える言葉は当然だろう。

だが、対する答えは意外な物だった。


「つまりコイツを利用することが復讐になるんだよ」

「「「「「?」」」」」


一同?(はてな)

マズい、まともに話についていく人がいない。

また分割投稿!しかし今日中に終わらせる!

絶対だ!

※無理だった!すまん!

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