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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
1章 墜落少年
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1-5 二つ名の取得

ざまぁ!(ハルマ・クイート)

「アキラさんごめんなさい全然違います」


…………アレ?

おかしいな、幻聴でも聞こえたのか?なんか変な言葉がきこえたぞ?

とりあえず確認しよう。


「ぜ…ぜんざいでも食べます?」

「全然違います、です。アキラさんは間違えたんです」


マジかーーーーーーー!!

羞恥で俺はとっさに地面にうずくまってしまう

そんな俺に追い打ちをかけるように笑い声が降り注ぐ


「アッハハハハハハ!バカだ!バカがいるぞサクラ!自信満々で間違えてやんの!」

「ええい黙れ!黙らんとお前が中2になっても学校でウ〇コ漏らしたこと言うぞ!」

「もう言ってんじゃねーか!テメェふざけんなよ!つーか何で知ってんだ!」

「ハッハッハ、馬鹿め俺が核弾頭をいくつ持ってるか忘れたな?お前が誰にも知られてないと思ってることもいくつか知ってるんだからな。暴露合戦で俺に勝てると思うなよ?」

「ちくしょうがーーーー!!」


ブチギレて悔しがるハルマを見て優越感に浸るがそれは一瞬で過ぎ去る

羞恥心が帰ってきた

何かヌケでもあったか?それとも『武術』とかじゃねーよな?それはありなのか?

だがサクラの一言でこの思考は氷解する


「でもこれはずるいよお父さん、だってお父さんこのイノシシ倒すのに二つ名なんて必要ないじゃない!」


ハイ?

特殊能力を使ってない?

この化け物イノシシを倒すのに?


「いやなサクラ、お父さんはこいつに散々煮え湯を飲まされてきたんだ。逆襲したくなる気持ちも分からんでもないだろ」

「だからってほとんどヒント無しに分かるわけないじゃない!」

「いやしかしこれ位のヒントでも解ける奴は意外といてだなぁ………」

「そんな天才いるわけないでしょ!?」


サクラが不当勝負にかみついてくれているが俺の中では驚きと怒りでパンクしそうだ

この野郎!?ひっかけやがったな!

そもそもこのイノシシを殺すのに特殊能力なしで倒すってどこの格闘漫画だ!

それともなんだ!こいつはもしかして俺の予想通りにイノシシの分厚い頭蓋骨を通り向ける浸透勁を使ったとしてそれは武術的なもんだと!人間鍛えればそこまでできると!できるわけねーだろ!やっぱバケモンじゃねーかこいつ!!ふざけんな!!

……っと心の中でボコボコに罵倒してやる、あくまで心の中に押しとどめているのは現実でサクラにボコボコに罵倒されどんどん小さくなっているの見たからだ。

父親が娘に弱いのってどの世界も共通なんだなと思いました。


「とっ…とにかくだな、俺の勝負に乗ったんだからお前の負けだ。明日の商売を手伝えよ!」

「一切そんな話はしてなかったじゃない!」

「いやもういいよ、ありがとうサクラ俺のために起こってくれて。明日からの商売ってなんだ?この家は店にトランスフォームするのか?」

「街に売りに行くんだよこの肉を、量も多いし質も………いつもよりは劣るがいい方だろ。それなりの値段で売れるだろうからな」

「街!いいねいいね、遠いのか?」

「朝方出て夜には帰ってこれるくらいだな。1日仕事になるから覚悟しとけよ」

「オウッ!任せるな!」

「一切信用できん返事だな。」


売り子なんて学園祭ですらやってねーよ、むしろ無条件に信用される方が困る


「まあいいや肉持って家に入れ、飯にするぞ」

「おぉ飯か、料理は誰がするんだ?やっぱりサクラか?」

「何がやっぱりなんか分らんが俺が作るぞ」


ガタンッ!


「どうしましたアキラさん?」

「どうしたアキラ?」


あまりの驚きに持っていた肉の塊を落としてしまった、いやそれよりも………ハルマが飯を作るのか!?


「やめろ!ハルマ早まるな!お前が作った料理で俺は一瞬意識が飛んだことがあるんだぞ!二度と飯を自作しないと結ばせた『不飯の誓い』は忘れたか!?」

「そんな誓い結んだ覚えは無えー!」

「大丈夫ですよアキラさんお父さんのご飯おいしいですから」


サクラはそういうが天才であり他人と違う五感を持つこいつは、味覚に関して言えばぶっちぎりで信用ならん

給食をまずいまずいと言って食べ残し、家ではなぜか塩と味噌をドバドバ入れた牛乳を飲み、挙句の果てには自作した『絶対無敵最強ラーメン』なるものを俺に食わせ意識を奪ったような奴だ。一瞬飛んだ意識を取り戻した後、俺はその『絶対無敵最強ラーメン』をうまそうにすするハルマの姿を見てこいつとは味覚に関しては一生分かり合えないだろうと直感した。

そんな奴の料理をどうや「ゴチャゴチャ考えてないでとっとと上がれ」思考を遮られた。

クソッ!ハルマの料理をおいしいというサクラの手前どうやって完食しよう?と考えてるいると何か忘れている気がしたが、考えない事にした。

今は目の前の緊急事態をどうするかが先決だ。



結局ハルマが作り始めてしまった。

野菜か何かを切っているのか“トントントン”音がする、同時作業で鍋に火をかけており中から味噌の良い匂いがする……味噌あるのか

無駄に手際がいいのがむかつくが今はそんなことよりハルマの手を止めることが大切だ。

何かハルマの気を引くことが無いか?

サクラに手を出す? 殺されるな

サクラにちょっかいを出す? 殺されるな

サクラと談笑する? 殺されはしないが後で酷そうだ

考えれば考えれるほどサクラ関連しか動かせそうにない、そしてそのすべてがBad ENDにつながってる………詰みかな?

そもそもサクラを大事にしすぎだ、そんなんじゃサクラの婚期が遠のくぞ。

子供が大事だからって鳥みたいに閉じ込めたらかわいそうだろ……いや待てよ子供……アレはどこ行った?


「なぁハルマ」

「なんだ今忙しいぞ」

「ツバメは?」

「「あっ」」


ハルマとサクラの声が重なる


「そういえば忘れてましたね」

「ぶん殴って放置したままだから、庭か………まあいいか後でも」

「あっそういう扱いなんだアイツ」


そんなことよりハルマの手が若干止まった!……動き出した、つかえねーなツバメ


「サクラ声だけはかけとけ」

「ハーイ」


そういうとハルマの手は先ほどの遅れを取り戻すように作業のスピードを上げた

サクラは庭へのドアを開けると早口で「オニイチャンゴハンイルナラヘンジシテ」と言った後ピシャリとドアを閉じた


「お兄ちゃん返事がないからいらないみたい」


女の子の狂気を見た気がする


「そうか分かった」


ハルマはいつの間にかフライパンらしき物で肉を“バジュー”と音を立てながら焼いていた。

それにしても可哀そうな奴だなツバメ、父親どころか大切にしている妹からも雑な対応、俺だけはアイツの頑張りを忘れな……あー!なんだろ照り焼きみたいな匂いがする!だとするなら醤油も味醂もあるのかなこの世界、ちくしょう味噌といい醤油といい日本人泣かせだね!でも作ってるのはハルマなんだよな……。匂いに騙されそうだ。



「「いただきまーす」」


完成してしまった……

ツバメ放置から20分後俺の目の前にはハルマの手料理が並んでいた

献立はイノシシ肉の照り焼き、豆腐の味噌汁、酢の物、パン

正直に言うととてもおいしそうだ、こちらの世界に来てからお茶くらいしか腹に入れていないこともあってか、殺人的に美味しそうな匂いがする。

照り焼きは光の反射で輝き、味噌汁は暖かい湯気をたてている、酢の物は多分大根(カブとか違う根菜かもしれんけど)だろうが見ているだけで唾が出てくる、パンは普通のパン多分ライ麦パン。

お腹のムシが“グー”と泣いたこともありハルマが作ったと知らなければ飛びついていただろう、ここまで“殺人的な匂い”“殺人的な見た目”ときて“殺人的な味”でない可能性は少ないだろうし、しかしこれを作ったのは“料理の味が鉄の味がする人”略して“料理の鉄人”百瀬春間もといハルマ・クイート、殺人的な味の後ろに(物理)がつくことは必至、というか被害にあった俺からすれば怪しさしかない。


「ホントに食わんのか?」

「それはお前の息子に言ってやったらどうだ?」

「アキラさんはあの兄に遠慮するなんて優しいですね、でも大丈夫ですよアレは2~3日食べなくても死にませんから」


サクラにっこりいい笑顔でそんなこと言わないで、怖いから。というよりサクラが先ほどからちょっと黒い、こっちがこの子の本性じゃないよね。


「別に食わんでもいいが明日戦力ならんかったら怒るぞ」

「そうだねお父さん!これは無理やりにでも食べさせて明日ガンバってもらわないと!というわけでアキラさん、アーンです」

「口を一生閉じろアキラァァ!!」


一瞬で修羅場になった

……いやこんだけ美味しそうな料理に美少女の“アーン”までついてくるのなら覚悟を決めるべきだろう。元々死んでんだ俺は、これで死んでも悔いはない!!でもハルマの顔が怖いから目は閉じて

いざ………


「アーーーン」パクッ


.........ンマ―――――イ!!!

獣臭いと聞いたイノシシ肉はうまく処理されておりそのようなことは微塵もなく、なおかつ口に中でほろりと解けるほどに柔らかくなっている。…焼いた肉が何で柔らかくなるんだ?

しかしまさかの美味だ!あの殺人ラーメンを出したハルマがこんなに成長しているとは!個人的にはイノシシ武術だけで倒したことより信じられん!!そう思いながら目を開けると

目の前に箸を突き出したハルマ。


「Oh………。」

「なんだテメェ文句あんのか?!」


まぁ味に変わりは無いと思うから良しとしよう、心情的にはおっさんに「アーン」されたことできついけど。後なんでサクラはちょっと機嫌が悪いんですかね?目の前で父親が自分と変わらない歳の男子に「アーン」してるの見たからかな?


「しかしホントにうまくなってるとは驚いたぞハルマ」


そうやって褒めてやったがすぐ後悔することになる

なぜなら、こいつはこの後とんでもない事言いやがったからだ。


「お前ホントにどんな努力をしたんだ?1日中料理でもしてたのか?」

「フッ、いいだろう教えてやる。なに簡単な話だ、俺は転生したときに神様から転生特典とやらで料理がうまくなる二つ名『美食』をもらったからだ!!」


………

…………うん、言いたいこと聞きたいことはいくつかあるけど1つにしよう。


「お前全世界の男子の夢をそんなことにつかってんじゃねーーーー!!!」


俺の怒声は村全体に響いたという






昔親がもらってきたイノシシ肉、結局食べなかったけどおいしかったのかな?

1章は毎日更新します

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