3-10 作戦を考えよう
作戦はこうだ…(アキラトコバ)
「とりあえずお前らが顔を隠して髪色馬鹿をこん棒で殴りつけて逃走という方法はどうだろう?」
「却下です」
「じゃあ、服装馬鹿を拉致して指の関節を全部潰すというのは?」
「却下」
「馬車に縛って市中引き回し」
「却下ですよ! どうしてさっきから考え付く策がどれもこれもバイオレンスなんですか!」
なんだよ、アイドルに手を出そうとしてるんだぞ? 一ファンとして馬鹿野郎の排除は当然だろうが。
それでも確かにバイオレンス過ぎたか?
自重しよう。
「では、全裸に剥いて高い建物に括り付けて晒すというのはどうだろう? これなら暴力的ではないぞ!」
「……まあ、それくらいなら...」
「クリス落ち着け、やっとることは結局そこまで変わっとらんぞ」
「ホントだ!」
「だいぶ毒されてるな」
結局この案も却下された。
なんでだよー。
イイじゃんかよー。
ちょっと拉致って剥いて縛って吊るすだけじゃんかよー。
しかも縛るのは首じゃなくて胴体なんだからさー。
おあつらえ向きに高い煙突が何本かあるんだからさー。
………そう言って抗議したら爺さんに叩かれた。痛い。
なんでもあの煙突はかなり古くからあるらしくこの街が出来た最初期から存在するらしい。
現在は使われていないそうだがそれでも文化的な価値はあるらしく、立ち入るなど言語道断なんだと。
確かサクラが言うにはこの街は王国で2番目に出来た街らしいし、王国が出来たのは確か800年前だから、その間ずっと街を見守ってきたなら確かに大した遺跡だな。
800年前って言ったら鎌倉時代の御成敗式目とか? 大仏様が残ってるし、まあ可能性は無きにしも非ずなのか?
ちなみに高さは30~40mほど、他に高い建物が無いから町中から見える……かも?って高さだな。
まあどうでもいいか。
入るなと言われて入りたくなるほど子供じゃないし。
「しかしどうするのが正解かな………」
「というかもうあきらめてくれませんかね、この街に来たばかりの人間…それも難民である僕らからしたら権力者と悪い意味でお近づきになるなんて馬鹿馬鹿しい事なんですけど」
「イヤだ! 俺はサクラを守るんだ!」
「なんだ? やっぱりサクラちゃんに惚れてんのか?」
「馬鹿! もしサクラになんかあったら俺は世界一怖い男に殺されるんだぞ! 俺は死にたくない!」
「質問の前だけならかっこいいセリフなんじゃがな……」
黙れ! ハルマがブチ切れたら俺は全力で逃げるぞ。
絶対だ!
それだけ怖いんだよアイツ………。
「ともかく、アキラさんの少しおかしなことは今始まったことじゃないんですし」
「怒るぞ」
「ならおかしくないとでも? 相手をに毒ガス流して戦線を崩壊させるなんて考え尽きませんし、思いついても普通しませんよ」
「バカな! 相手の戦力を落とすのは当然の手段だろ! 俺は前にも小学校の上級生相手に同じ手段を使ったことがあるぞ!」
「うん、やっぱりおかしいですね。普通の小学生はそんなことしません」
「だな」「じゃの」「ですね」「……」
お前らなんだその目は!
そんなよく分からない感情のこもった変な目で見るな!
あー糞、何で俺の感性はあんまり理解されないんだ?
そういえば凍夜にも『君の作戦は“相手を痛めつける効率というものだけを突き詰めたらこうなりそう”ってことばかりだね』とか言われたしな………。
天才にも理解されないって、それは狂人なのでは?
俺は間違いなく天才ではないしな。
自分で考えてて悲しくなってきたな…考えるのやめよ。
◇
「ヘイヘイバッチコーイ!」
「ピッチャーダニエル選手第一球投げました!」
「いや言いながら投げるなよ!」
俺たちが会議する横で子供たちが野球を始めた。
外でテントも張らずに会議してる俺たちもおかしいのだけど、こんな狭い所でやるなよ。
周りにボールが飛んだらどうするつもりだ。
しかし心配は杞憂だったようですでにほとんどの者が食事を終えてテントを張り始めている。
ちなみにテントはすべて男衆で使う。
これだけならテントを取り返したかと思われるかもしれないが、単純に女性陣はホテルで寝るだけだ。
それでも部屋が足りなかったなら役場の仮眠室を使うらしい。
先ほどどこから取り出したのか、クジを使って抽選を行っていた。
そう言えばサクラの部屋割りはどうなったのだろう? 彼女はキモ男に狙われている。
偏見かもしれないが、人を虐めるような奴が、もっと言えば家柄で生きているボンボンが、正規の手段で迫るとは考えにくい。
もしかしたら寝床に夜這いを掛けられる可能性も否定できない。
とすれば、俺がすることは、
「先手必勝、疑わしきは罰する、だな」
「バカなこと言ってないで、テント張るの手伝ってください。サクラさんの方にはすでに手を回しましたから」
クリスに捕まった。
「手を回したとは?」
「彼女の部屋を大部屋に変えました。20人ほど同じ部屋で寝る予定です。これで手を出したらそれはただの馬鹿では?」
「服からするとそのただの馬鹿の可能性があるんだよなー」
「アミゴ君は子供の頃から損得計算ができたので大丈夫だと思いますよ」
テントを張りながらカミルが話に割り込んできた。
へえーあの格好でねー創造できねー。
「まあ万全を期しておこう。レオンはどこ行った?」
「後ろで野球に交じってますよ」
「オラァァァ!」バッキ――ン!
「うわぁすげぇ!めちゃくちゃ飛んでる!」
「レオンすげぇ!」
「でもボール一個しかなかったけどどうするの?」
俺の後ろからタイムリーな場外ホームランが打たれた。
「レオン!カム!」
「?」
「こっちこいって意味だ!」
「おー今行く」
アイツ今年で20って自分で言ってたよな?
まあ、思考回路が子供と同じなんだろな。
でも子供の野球に交じるのはどうだろう?
アイツと子供たち、ダンプカーとネズミくらいの戦力差があるだろ。下手したらそれ以上かもしれないけど。
「レオン新しい任務を与える」
「腹減ったから何か食い物くれ」
「その任務とはサクラの護衛役だ」
「野球したいから戻っていい?」
「サクラの宿に変な奴が入らないか一晩中見張るのだ」
「眠いから帰って寝ていい?」
「終わったらうまいもん作ってやる」
「わーい」
「すごい交渉を見た気がする………」
「交渉なんですか?」
「アレを交渉にしたら世界中の交渉人に怒られそうだな」
「外野黙れ!」
別にいいだろ!レオンほどの戦力を遊ばせる…ホントに遊ばせる…のはもったいない。
なら、適当に出来る仕事でもやらせておいた方が良い。
報酬が料理でいいのもグッドポイント。
俺の教科書料理の腕前を見せてやろう。
◇
そんな事でレオンは今夜はサクラの宿の前で寝ずの番をすることになった。
レオンが寝ずの番を理解してるかは知らない。
しかし問題はない。なぜなら………
「俺たちも同行するからな」
「今夜は徹夜かぁ」
俺とカミルとレオンはサクラの宿の前の路地に陣取った。
サクラにもすでに注意喚起を行い、準備は万端である。
もちろん他の女性陣のホテルにも数名の勇士が見張っている。
あのセンス無しのセリフは全くのプラフで、他の女子に手を出すかもしれないからな。まあ無いと思うけど。
ちなみに勇士はクジ引きで決まった。
当たりクジを引いた時ものすごくイヤな顔をしていたがきっと照れ隠しだろう。
“昨日は外で寝れてないんだー”とか言ってた気がするが気のせいだろう。
男が女を守るのは当然である。
別に男女平等主義に喧嘩売るつもりはないが、こういうのは適材適所だ、簡単に言うなら体力のある男が行う方が良いからだ。
というか強姦魔の警戒を女子がするのは本末転倒の気がする。
そんなわけで本日、あちこちの路地で不審な男たちが目撃されることとなる。
そんなに不審者が出るとは、治安の悪い街である。
後5話で終わる気がしない!
次回は月曜日更新予定
そろそろOPに出た人の出番かな?




