3-8 ベタベタペタペタ
前回の投稿でうまく投稿できていなかったのか、最後の部分数行が抜けておりました。
今は補足しましたので宜しければそちらからどうぞ。(牧村尚也)
「あっれ~、カミルじゃ~~ん」
夕方で陽が落ちるかけている時間帯、西日が強く廊下を照らすので自然と目を細め険しい顔になる。
そんな廊下に響く軽い声。
何処か場違いな印象を受けるその声を発したのは役場の職員らしき男だった。
“らしき”とつけたのはその姿がちぐはぐだったからだ。
背は高く、この役場の他の職員も着ていた制服らしい黒色の上着を着ているかと思うと、上下セットであろうその黒の制服の下を履いておらずなぜか黄緑色のズボン履いている。
髪の毛も金髪……だけならいいのだが、また何故か前面と後面で色が違う。
前面は前述の通り金髪なのだが、後面はズボンと同じ黄緑色……黄緑色好きなの?
髪型もまた奇抜で右半分は普通なのに左半分がワックスでも塗っているのかベタベタでツンツンに尖らせていた。
うん、濃いな。
濃すぎて胸焼けしそうだ。
少なくとも俺とは合わないし、客観的に見て世間とも合いにくいだろう。
別にこういうファッションセンスは否定しないけどね。
ちなみに顔の形はサクラやレオンほどのぶっちぎりの美形ではないが、まあ整っている方かな? 女子が告白されたら“付き合ってもいいんじゃない?”と妥協する程度の顔だ。
そんな油ギトギトラーメンのようにいきなり出されると“ウッ…”と思うほどの濃さを持つ男を見て俺が“ウッ…”と思うのは仕方がないと思う。
少なくとも目撃してから5秒は言葉が出てこなかった。
それは話しかけられたカミルも同じようで俺が動けない間アイツも動かなかった。
しかし思いっきり固有名詞を出して話しかけてくる相手を無視するのも難しいのだろう、カミルは言葉を返そうと口を開けたり閉めたりしだした。
それでさらに5秒消費、そしてカミルがやっとこぼした言葉は、
「え、え、えっとひ、久しぶり…ア、アミ、アミゴ…君」
だった、明らかに戸惑っている模様、まあ知り合いがこんな格好してたら普通に嫌だよな。
しかしアミゴ君と言われた方は気づかないのか、カミルに近づき肩を組んだ。
「え~なんだよその間は~、もしかして忘れられたかと思ったじゃ~~ん」
「あ、うん、そうだね、ごめん」
「それで~? いつん間に戻ってきたん~」
「いや、その、昨日くらい、かな……」
「は~、もしかしてお前も神隠しにあって系~?」
「あ、ハイ、そうです」
「ふ~ん、そかそか」
『ベッタベタ』『ヌッタヌタ』そんな擬音がぴったりな喋り方で喋るアミゴ。
何と言うか、凄くイヤ。
関わりたくないな、でもカミルを連れて行かなきゃ行かないし…ん?別にいいか?
カミルの知り合いみたいだし久しぶりの再会に水差すのは悪いよな。
そう思った矢先、
「結局逃げたのかともってた~」
「!」
アミゴの一言でカミルの表情が変わった。
「あの「でもさ~やっぱりお前って昔から逃げ癖あるじゃ~ん」あ、ハイ「それで~いつも見たく逃げたかともったのは仕方ないよな~」うん、そうd「だから~お前がいなくなったあと~気付かなかったのはしょうがなくね~」ハイ……」
人の話を聞かずにベラベラベタベタ喋るアミゴ。
逃げた?
カミルが?
ふーーん、興味有るような無いよな。
気になって俺がカミルの表情を覗き見るとカミルと目線があった、その瞬間ものすごく嬉しそうな顔をした。
あーーなんとなくわかるぞ、これは昔いじめられてた系だな。
どっちがどっちかは言わなくても分かるだろうが念のため確認、カミルがいじめられてた方だ。
そして今も苦手意識を持ってるてとこか。
メンドクセ。
「じゃあ先行ってるぞカミル」
「ええええええ!」
俺の一言にカミルが過剰に反応する。
イヤ、だってそんなナメクジみたいな言葉喋るやつと関わりたくないじゃん。
見た目もアレだし。
マイナス×マイナス=プラスは数学だけだよ?
むしろ人間関係は文系の心理学とかの範疇だよ?
思いっきり畑が違うよ?
俺はそう思いながらカミルに背を向け、急ぎ足で飯が振舞われれているらしい広場に向かう。
別にそこまで腹は減ってないけど、とにかくここから立ち去りたい。
しかし、
「あれ~~カミルのおっともっだち~~?」
「全然知らない人です」
「アキラさん!!」
気づかれた。
あれだけ言葉を交わしておいて気づかない方もおかしいんだけど。
でも賭けたかった!言葉とか格好とかと同じく頭のおかしい方に!
そんな俺の気持ちを知らずに絡みついてくるアミゴ。
「じゃあ~君も神隠しにあった系~~?」
「あーハイハイそうですそうです」
「なんかてきと~~?」
「ハイハイ」
「まあいいや~、じゃあさじゃあさ~あの子知らない~?」
「知らない」
「あの美人な子~」
「知らないって言ってんだろ話聞けや」
「黒髪で~小さくて~とにかく可愛くて~」
「知らん知らん」
「名前は~サクラたん~」
「あ?」
今なんて言った?
◇
「おい、今なんて言った?」
「え~~聞こえなかったん~?」
「黙って質問に答えなさい」
「ん~“名前は~サクラたん~”って言った~。あ、知ってる~?」
「知ってない」
「その顔は知ってんな~教えてよ~」
「知ってない」
「いいや~知ってるよ~」
「知ってない」
「知ってる~」
………コイツ誰に目を付けたか分かってんのか?
サクラだぞ? 超絶美少女だぞ? 傾国の美女とか将来絶対言われるレベルだぞ?
ナメクジ弁で、原色はオシャレだと思ってそうで、独創的=ファッショナブルだと勘違いしてる、半端顔面なお前と釣り合うわけねーだろ。
身の程を知れ!
………って言いたい。
でも俺は真面目な人間だ、初対面の人間にいきなりそういうことを言うと失礼だと知っている、だから言わない。
どう計算しても釣り合うはずもない馬鹿に現実を見せてやらない事が、優しさかどうかは分からないけどね!
しかし俺の親切が分からないのか半端顔面はさらにベタベタとくっ付き肩に手を回してくる。
しかもコイツ口調だけでなく動きまでキモイ。
肩に置いた手を払うと大げさなモーションでぐるーりと腕を回しまた肩に乗せてくる。
その様子はイカの様に…だとイカに失礼か、じゃあナマコの様に…ナマコに失礼だな、うーん道にくっ付いたガム位が適切かな? 道路のコンクリにくっ付いたのガムの如くウザイ。
そしてこれをやりながら延々と『サクラはどこ?』『サクラを知らない?』と聞いてくるのだ。
端的に言って、ぶっ殺したくなるな。
そして5分間これを続けられて俺の沸点を突破した。
弁明はしない、誰だってこうしたくなる、俺が行った行為は仕方ないと思うのだ。
「な~教えてよ~、な~な~な――」
「――ああああああ!!黙れええええ!!」
べしっ!!
「え~?なにこr、ぎゃああああああああ!」
「良し!逃げるぞ!カミル!」
「え、ええ、えええ!」
顔面を押さえるため肩から手を離したナメクジ弁を放置し俺はカミルと共に逃げ出した。
廊下を走りながらカミルが俺に問いかける。
「な、何を投げたんですか!」
「心配ない!タダの調味料だ!」
そう、ただの調味料だ、箱庭で発見された植物の実を擦り潰して作った二重の意味で“タダ”の調味料だ。
まあ、ちょっとばかり、本当にちょっっっっっとばかり辛いだけだ。具体的にはそれをかけた物を食べたら、次の日まで舌が機能しなくなる程度の辛さだ。
ちなみに実験対象はベンジャミン!
食べた後はゴロゴロ転がって楽しそうだったよ!
まあ、それは食べた場合の反応だから顔面にかけた時どうなるかは未知だけどね!
でも大丈夫!きっと大丈夫さ!大丈夫と言う事にしよう!
あーー!スッキリした!
「嬉しそうですね!」
調味料の味に思いをはせているとカミルが聞いてきた、だけど………
「そう言うお前もにやけてるぞ?」
「そりゃ嬉しいですから!アハハ!ざまあみろ!」
「ワハハハハ!!」
「アハハハハ!!」
そう言って俺たちは役場裏の広場まで笑ったまま走った。
短くてすみません!
後で加筆します!
具体的には今日中に!
(5/30 23:30 加筆しました)
次回は金曜日更新予定です。




