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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
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2-EX2 新世界歴1000年 2月2日 水星の事情

あー死にたい(デボール)

「いやいやお見事!感嘆するよ、さすがは世界に轟く“渡り鳥(バード)”の二大副長だ。まさかまさかあそこから生き残るとは!」


嬉しそうに語るのは今年20になる青年、しかしその容姿はまるで少年のようだった

肌は異様なほど白く、背格好も同年代と比べても低く150㎝ほどだろう

しかし何と言っても人の目を引くのはその容姿、少女と間違える者が居てもおかしくない中性的な美しさをしていた


語られるは壮年の男性、苦しそうに“ゼェゼェ”と息を吐きながら地面に座り込んでいる

そしてこちらも目を引く場所が一か所、彼の胸、心臓の下の辺りに一本ナイフが生えていた

もちろん言葉の綾である、実際ナイフの根元からは血がドクドクと流れ出していた


「な……ぜ……」

「なぜ?ああ、特に意味は無いよ。代わり映えしない無い日々に嫌気がさして、刺激が欲しくて、新しいことを始めたくて」

「だから……殺したのか!」

「行けないかい?」


彼らがいる場所はある町の中心

普段なら市場からの魚屋の元気良い声や子供たちの笑いが絶えない活気ある場所

そこは昼前だというのに閑散としていた

ほんの小一時間前まではいつもと変わらない日々だったはずなのに

彼らは皆死んでいた

老人は椅子に座ったまま死んでいた、老婆は家の中で倒れたまま死んでいた、恋人を待つ乙女は水桶に頭を突っ込んで死んでいた、働き盛りの八百屋の主人は頭を斧でカチ割って死んでいた、わんぱく少年は高所から落ちて死んでいた、夢見る少女は頭を地面に打ち付けて死んでいた、恋人の元へ急ぐ青年はのどにナイフを刺して死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んでいた死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死んで死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死……………


原因はこの青年

ただし、直接的な害は与えていない

ただ彼は本能のまま使っただけ

二つ名を使っただけ


「ハイお話は終わり!ところで君の力を借りたいんだけどいいかい?イーグル」

「…………くたばれ“世界最悪”」


その言葉を聞き青年は本当に嬉しそうに、笑った



水星

青く輝くその星は、星の表面をほぼ海水に覆われており、人間の領域はいくつか点在する小さな島だけである

ほとんどの人間は生まれた島を生涯出ることなく、一つ一つの島に閉鎖的な国家が存在しており、国民は船を作り、海に出て、魚を取って生活する

まあ、アキラの言うところで修羅の世界なので逆に魚に襲われることもあるが……そこはお互い様だろう

そんなこんなでこの世界はうまく回っていた

あの時までは……



ある島で湧水が枯れた

始まりはそこから

海水は知られるように多くの塩を含んでいる

過ぎた塩分は人間には毒となるのも有名な話だろう

もちろん沸かす、干す、塩分を取り除く方法は無数にあるがそんな手間をいちいちしなくては飲み水を確保できないのはどうだろう?

そして隣の肉眼で見える島には湧水があると知ったら?隣の島には他の世界と繋がる“裂け目”があると知ったら?

面白い事に他の国との交流は無くとも海はつながっているのだ

詳しくは省くが、のどの渇きに任せて住民が動き出すのに長くはかからなかったとだけ言っておこう


結果この星の人間は一時期絶滅寸前まで数を減らすことになる

皮肉にも人口が減ったことにより水が行き渡ったので大きな争いは無くなっていた

そして今から70年前、一人の英雄が誕生する



“カツ―ンカツ―ン”と歩く音が廊下に響くのこの廊下が閉鎖的だからだろう

見上げるとゆらゆらと光を反射して幻想的な風景を作り出す廊下は氷で出来ていた

見ているだけで底冷えするような廊下を歩く者は我が物顔で進む

彼は少なくともまともではなかった


アクエリアス国家連合

完成してからわずか50年しかたっていない歴史の浅い連合は8の国によって構成され、それぞれがそれなりの戦力を有している

この連合に加入した国はどれも水星では一流の国家である

しかしそれはこの世界での話、

世界人口の大部分を占める“ペンドラゴン王国”

武力に重きを置き内部で高め合う“ボウコ帝国”

『龍』の加護を受け全世界最強国家である“アマガ龍国”

神の奇跡と天使たちによって守られる“バベル神国”

これらの大国は小さな島国とは比べ物にならない国力を持つ、ゆえに彼らは手を組まなければならないと知っていた、それを邪魔したのが過去の戦争

血で血を洗う戦いで出来た溝は埋めるには深く、飛び越えるには遠かった


しかしそれを軽々と飛び越えた者がいる



基本島々を行き来するのは輸送船である

波は高く荒いがそれに伴って船は大きくなった、安全面を考えれば当然なので問題ない

が、大きくなればなるほど船は動かしづらくなった

帆船なら風を待たなければならない、手漕ぎ船では人が何人いるだろう、結果島々をつながりは厚くなることは無かった

ついでにまだ戦争が必要だと思っているバカもおり、たまに出没しては海賊まがいの行為を行って邪魔をしていった

そんな各国が歯噛みをしている中、彼は颯爽と登場した


彼はまず海を渡るのに船を使わない

海を歩いて渡る

そして襲われている輸送船を助け、襲っている海賊船を沈めていった

それだけでなく彼は雨の日も風の日も嵐の日も島々を渡り歩いた

彼のもたらす情報は常に新鮮な物であり島民の関心を大いに引いた

そんな彼が民衆の中心に座るのに長くはかからなかった


それから数か月後、彼は世界の国々で連合の設立を呼び掛けた

既に彼の影響力は国家も無視できないものとなっており、元々連合の設立を考えてた国からは一も二も無く了承の返事をされる

しかし戦争賛成の国家は彼の暗殺を行おうとした

まあ、彼が現像する時点で失敗しているの明白だが


どうやっても死なない彼に、そのうち一つの国が我慢の限界が来たのか軍を使い彼を強襲

その国の上層部は事件の翌月全滅することとなる


その後他の国は静かなった


そして英雄が生まれた

『絶対零度』リューグー・オオシケ

水星の“世界最強”はアクエリアス国家連合の立役者として全世界にその名を知られることとなる



氷の渡り廊下を抜けると目の前に巨大な扉が現れる

慣れた手つきでその扉を押すのはイーグルと呼ばれた男

扉を開けるとそこは豪華な会議場

現在は使われていないが有事に連合国家の国王たちが集まる場所である

その中心でリューグーはイーグルに気づく


「どうしたイーグルッ!!」

「ああ……大問題だ……」


そう言って倒れるイーグルの胸からは血がドクドクと流れ出していた


「何があった!」

「デボールが、“世界最悪”が動きだした……気をつけろ、ヤツは……」

「しゃべるな!今傷を見る!」

「すまない……大将……」


そう言うイーグルの手にはナイフが握られていて


「……死んでくれ!」


振り下ろされるナイフと共にそう言ったイーグルは、次の瞬間には()()()()()()()



「あれ?」

「どうしました?」

「“同調(リンク)”が切れちゃった。おっかしいなー完全に死角から狙ったのに」

「相手は世界最強です。そう簡単にいくわけがないでしょう?」

「それもそーかー」


大して気にも留めずに彼は伸びをする


「それにしても怖いなー、あんなに怖い目を見たことが無いよ」


デボールはイーグルの()()()()の記憶を思い出す

そこには深海を見下ろすように恐ろしく深い、深すぎる青色があった

それこそ思い出すだけでちびってしまいそうな恐ろしさがあった


「どちらにせよこれからはそうそう呼びつけないでくださいねデボール。急がしくなると思うので」

「んー?なんかあるの?」


そう言った人物は立ち上がるとドアに向かって歩き出す

振り返らずに返事を返す


「帝国で()()()()()の匂いです」

「?()()じゃないのかい?」

「ええ、()()()()()です」

「うわぁ楽しそうだなぁ。僕も混ぜてよ」

「考えときますよ」


そう言ってその人物は消えた

番外編は全世界分やるよ!

次回は日曜日更新予定

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