2-23 神は(微妙な高さの)宙天に
なんか思ったより早いな(アキラ・トコバ)
「で、どうすんのこれ?」
「殺すか?」
「それはちょっと……」
レオンVS自称“神”
戦いは苛烈を極めた……極めた? まあいいや、それなりに派手ではあったのは間違いないし。
苛烈を極めた戦いの決着は予想以上に早くやってきて、決着の瞬間は早すぎて俺には見えなかったくらいだ。
それでもレオンのパンチが入って転げ落ちていくの“神”は確認できたのでこうして全員で降りてきたというわけ。
レオンでも流石に疲れたのか倒れた“神様”の隣に座り込んでいる
「結局コイツは何だったんだ?強かったんだよな?」
「んーどうだろ?」
「何その煮え切らない答え」
俺がレオンに問う。
「いやな、コイツの戦闘力は間違いなく高いんだけど……それに体がついていってなかった気がしてな?最後の一発もどっちかって言うと“コイツが拳に突っ込んできた”って形に近いと思う」
「なんだそれ?」
急激な成長に体がついていかず、バランスが崩れるみたいな感じ?
どこのバトル漫画だよ
「それよりアキラこれ見ろ、ちょっと変だぞ」
「どれよりだ、ん?何か変なのか?」
そう言ってレオンが指をさすのは“神”の手。
こうして言うと大層ありがたいモノに聞こえるが、実際は普通の手だ。
というか俺の手と比べても大した違いはない。
しいて言うなら指の付け根辺りが少し腫れてるくらいか?これはレオンを殴った影響かな?
「その手がどうした?」
「分からんか?じゃあお前らは?」
そう言って話を後ろの3人にも話を振るレオン。
コイツ、会話を広げるなんて高騰技術を使えるのか……!
「何か失礼な事考えてないか?」
「気のせいだ。で、どう?3人ともなんかわかる?」
「全然分からん」
「右に同じです」
「……手の形か?」
「「あ!」」
どうやらガラが放った言葉でクリス達は分かったらしい
形?
「何か変なのか?俺のとあまり違いは無いように思うが……」
「アキラさん、それがおかしいのです。これほどの力を持つ人間が、もっと言ってしまうなら戦闘をする人間には手に必ず特徴が現れます」
「剣を持つなら剣の握り方に合わせてタコが出来るし、弓を持つなら弓の握り方に合わせたタコが出来る。しかしこの手の内側にはそんな跡が無い」
「逆にステゴロするような人間なら、今度はむしろ手の形自体がもっと歪に変形する、人を殴るのにふさわしい形にな」
「あー、つまりあれだけ強いやつが、戦闘なんてしない一般人代表の俺と同じ形をしているのはおかしいって事か?」
三人が無言でうなずく
その後クリス達の手の平を見せてもらったが、確かに手の平に何か所か皮膚が固くなって出来たタコがあった。
思い出してみるとハルマの手も変形していた……気がする。
なるほど言われてみると確かに変だ。
このことにレオンは気づいていたのか!
「へーそうなんだ」
気づいてなかった!
じゃあ何でコイツは変とか言ったんだ!
「ん?俺の気づいた事か?」
「YES!」
「別に大したことじゃない、コイツの手の形だよ」
「あー、ガラのパクリか、パクリだな!」
「ちっがう!」
そう言ってレオンは手首をつかみ俺にグイグイと見せつけてくる
しかし“ブラン”と垂れたそれなりに白い手の甲は特段変わったことは無い
というかそんなに雑に扱って大丈夫なのか?起きるぞ“神様”
「なんか変か?」
「なんでわかんないんだよ!お前らは!」
「さっぱり」
「右に同じです」
「右に同じく」
「がーー!」
レオンが空を仰ぐ
いやなんか変なことがあるのか?
確かに戦闘職特有のタコは無いがそれ以上に変なことがあるのか?
「変だろ!傷が、腫れが、もう治ってる!さっきまで真っ赤だったんだぞ!この手!」
「あぁ!」
確かに先ほどまで腫れていた指の辺りも、すでに白くなり腫れも引いている!
なんだこの能力?超速再生?
「第一俺の鎧とまともにぶつかったにしては腫れが少ないと思ってたんだ、それで見張ってたらドンドン腫れが引いてく」
「傷の治りが速いのか、確かに厄介だな」
「この調子だと毒とかも効きづらそうですね……」
「まあその分適当に扱っていいんだろ」
「確かに、じゃあ諸悪の根源として村人全員で石でも投げるか!」
「「「イヤイヤイヤ」」」
現在“神様”は俺たちの前でだらしなく横たわっている。
こんなバカみたいな状況を考えると如何に俺たちがこいつを過大評価していたか分かるというものだ、少なくとも村で集めた決死隊は解散してもいいな。
「とりあえず縛るか」
「ロープくらいなら切れそうだが?」
「その通り、なのでロープは使いません」
そう言って取り出したるは緑の蔓
適当な長さのそれをクリス達に放り投げる
「じゃあ抜けれない程度の緩さで縛って連れてきて、こっちは木の枝か何かで担架作るから」
「緩め?きつく縛らなくてもいいのか?」
「ピンと張った糸は切れやすい、意味わかる?」
「……了解」
「よしよし、ベンジャミン、レオン行くぞ」
「俺怪我人」
「奇遇だな、俺もだ」
「俺さっき戦ったばかりなんだが」
「知るか」
そう言って俺は二人を連れ近くの木に歩き出す。
残した二人ならいきなり“神様”が起きても多分大丈夫だろ
しかしどうやって監禁するかね?
◇
「……から、これと……が揃った……ル…………んだって!」
「なるほ………4か」
「そうじゃ……て!二枚と三……ったら何でもフルハウスなんだよ!」
「でもこれは7と4だぞ?」
「だーー!」
騒がしい声が徐々に鮮明になり、目が覚める。
話に耳を傾けようと体をずらすと想像以上に体が動いた。
「う、うわぁ!」
「お、起きたぞアキラ」
「ハロー、ご機嫌いかがかな?自称“神様”」
そう言って下から声をかけるのは見覚えのない黒髪の青年と……
「レオン・ハザード!!」
「おう、おはよう?」
「もうこんにちは、だぞ?」
「じゃあこんにちは」
「え、あ、どうもこんにちは」
いや挨拶を返してどうする。
とにかく脱出を!
そう思って縛っているロープを引きちぎろうと腕を広げる
が、
「なぁ!切れない!伸びる!」
「面白いよな、その蔓、水につけるとよーく伸びるんだよ。レオン、コレあそこに投げて」
「ん、よっと!」
「え?なn…うわぁ!」
そう言って投げたのは、鉄の板?
かなりの速さで飛ぶ板を見てとっさに顔をそらすが、板は僕を素通りして上に向かった。
と、思ったら体が前に傾き、今度は頭を下にした状態でミノムシみたいにぶら下がる。
勢いのままビヨンビヨンと体が揺れる。
それに合わせて僕もパニックだ。
当たり前だが宙づりの状態で体を動かすとさらに揺れる。
結局
僕は落ち着くのに10分近く費やすことになった。
◇
「落ち着いたかな?」
「うぅ……何でこんな目に……」
「本気で言ってるならお前は天性のバカだ、大量誘拐犯」
「う!」
言葉が詰まる。
そうだ、僕は5年も前からこの世界に人間をさらった大量誘拐犯だ。
そして戦争をさせ、動きが形骸化しだしたらガラを脅して本物の武器を使わせた。
確かに自分の行いとしては全くの屑だ。
「……それで僕はどうなる」
「虚勢っぽいの張ってもいいけど、特に意味は無いから楽にしとけ」
「ぐぅ……」
精一杯の虚勢は一瞬で見抜かれる。
何なんだろうこの人は?
僕より年下……だよな?
なんでこんなに自信たっぷりで……。
僕にもこの人の半分、いや一割でも自身があれば……。
「おーい聞いてる?」
「え、ハイ!」
しまった見とれてて聞いてなかった
「で、お前の処遇だがな……………普通に死刑だ。お疲れさん」
「あぁ……そうか、そうだよね……」
少し貯めて言われたその言葉は、あまりにも胸にストンと落ちて、僕は自分の仕出かしたことの重大さを理解していた事に気が付いた。
死ぬのか、わざわざ僕が起きるのを待っていたってことは“死にたくないぃぃぃ!”って叫べばいいのかな?
そんな考えが顔に出たのか
「別に拷問して殺す趣味はみんなないから心配すんな」
と、言われてしまった。
そんなに顔に出るのかな?
◇
「ところで、お前さんを殺したらこの世界はどうなる?」
今まで業務連絡みたいなのしかしなかった彼が聞いてきたのはこの世界の事だった。
確かに自分の踏んでいる大地が不安定だとは思いたくはないだろう。
「別にどうにもならないよ。この世界は独立した惑星の一つ。僕は二つ名でこの星をかなり自由に使えるだけだからね」
「……………?」
彼は不思議そうな顔で僕を見た
「お前、なんでそんなに正直に言っちゃうの?“自分がいなくなればこの世界は崩壊する!”くらい言っとけば死刑は免れるだろうに」
「あ」
「気づいてなかったんかい!」
彼は空中にツッコミを入れる。
「そうだね、でもきっともう疲れたんだ」
「はぁ?」
「疲れて疲れて、限界に近づいた時二つ名を手に入れて、それを使ってだましだまし生きてきたけど、捕まった時点であきらめるつもりだったんだ…」
「“……と思う”か?」
僕は目を見開く。
なぜ彼は僕の心の声にいちいち気づいてしまうのだ。
「……………分かった。レオン見張り続行。俺は報告に行ってくる」
「あー、次誰だっけ?」
「ガラ」
「あー、アイツあんまり話さないから苦手」
「つーか同じシフトで回してるんだから、それくらい覚えとけよ。もう7日もやってるんだから」
「え″!」
「どうした?」
「なんかマズい事でもあったのか?」
……7日?
7日と言ったのか?
それはマズい、非常にマズい。
……………いやどうでもいいか、これから死ぬんだし。
でも一応力は元に戻しておこう。
「ん?エネルギー量が目に見えて減ったぞ?」
「別に、使わなくなった肩の力を抜いただけですよ」
「なんだそれ?」
そう言っておく、実際その通りなのだから問題ない。
彼は疑問に思ったのか首を傾げていたが、それでも外に出ていった。
小屋に取り残されたのは僕とレオン・ハザードのみ。
そんな中レオン・ハザードが僕に話しかけてきた。
「なあ、お前……」
「何ですか?」
「ポーカーってルール分かる?」
「いや、何ですか?」
「だからポーカーのルール」
「基本なら知ってますけど……でもよく敵に聞きますね?」
「別に、多分もうお前は敵じゃないし」
「はぁ?」
「それより、ポーーカーー、ルール教えてくれよ」
「別にいいですけど、交換条件として」
「逃がさんぞ?」
「逃げません、頭を上にしてもらっていいですか?」
血が上ってくらくらする。
悪役が頭に血が上って死ぬなんて、かっこ悪いと思いませんか?
今週中に終わるか?2章?
3章は薄めのつもりですが、その後の準備がまだ出来てない。
時系列っ!
次回は金曜日更新予定
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