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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
41/111

2-20 サクラの想いとアキラの生き方

あぁどうして僕は……期待してしまったんだろう……。(???)

「ハァ……」

「サクラちゃん?」

「サクラちゃんどうしたの?」

「お腹痛いの?」

「便秘?」

「コーラ!女の子にそんなこと言ったらだめだよ!」


アキラたちがレオンと命懸けで“遊んで”いるころ

サクラたち女性陣は村で男衆の無事の帰りを祈りながら、家事などの仕事をしていた

サクラは“年が近いから”という理由で村の子供たちのお世話係を任せられている

ちなみに女性陣の行う仕事の一つに、帰ってきた男どもにふるまう料理を作るという仕事があるのだが、そこにはなぜか配属されなかった。


「(私の料理そんなに変でしょうか?)」


確かに色は“少しだけ”変だがあまり関係ない気がする

そんな理解できないことに首を傾げながら子供たちの相手をする

村の子はこの世界で生まれた赤ん坊以外は、どの子も遊び盛りなので相手をするのはかなり疲れるのだが、サクラは文句一つ言わない

サクラがこの疲れる仕事を引き受けたのはアキラに見せつけるためだ

単純に“子供好きアピール”と言われるもので、帰ってきたアキラの目には子供と遊ぶ美少女の姿が映るだろうという計算があってだ

サクラは自分が美少女だと知っている

少なくとも十把一絡げには負けないだろうと思っている

そんな彼女がアキラにアピールをするのはアキラのことが好きだから

彼女はアキラに恋愛感情を抱いていた



出会ってわずか九日

短い期間ではあるがそれはアキラからの視点での話

サクラはもっと昔からアキラの事を知っていた


それは父親の昔話

母と兄と共に聞いた昔話には父の失敗やおとぼけなどが多かったが、サクラが一番好きだったのは父と友人達に“作戦”といわれる思い出話


サクラは昔から可愛らしい子供だった

小さいころから光っていたその容姿は、嫉妬した他の子どもがいじめをおこなうほど

結果、彼女は家の中で遊ぶことが多くなる


サクラは昔から賢い子供だった

だからこそ絵本や物語がフィクションだと知っており、遊んでくれる兄は自分に負けようとする事も見抜いていた

結果、彼女は退屈していた


いじめによって遊ぶ相手はいなく、本もつまらない

そんな中、語られた父親の思い出話は幼い少女には絵本の向こう側のようにフワフワした話ではなく間違いなく“リアル”だった

まあ、実際に起こったことがリアルでないわけがないが


サクラは話に出てくる登場人物の中でもアキラの事が一番好きだった

それはアイドルを応援するようなモノだったのだろう

それは歴史上の人物をリスペクトするようなモノだっただろう

それは作り物(二次元)に恋をするようなモノだっただろう


言い切ってしまえばサクラはアキラのファンだったのだ


誰もが諦めるような場面で、誰にも思いつかない方法で、物事をひっかきまわす

彼の手にかかれば、事件は事件ではなく、問題は問題ではなくなる

それはまるで英雄譚のようで、

そして間違いなく本物で、

幼い少女は彼女だけのHEROに淡い恋をした


誰もが羨むであろうHEROを自分だけが知っている

それだけで心が満たされるような気がした、いじめなど気にならないほど

美しい容姿は恋をしたことでより磨かれていった、誰も相手にならないほど


いじめをおこなった女子は復讐を恐れたがサクラは彼女たちを許した、きっと自分のHEROも同じことをすると思ったから

美しい容姿に惹かれた男子たちは彼女に恋をして、告白をおこなう者もいたが、彼女は出来るだけ傷つけないように断った、自分の心はHEROのモノだから


そして彼女の行動がHERO中心になって5年以上が立った時、世界は奇跡を起こした


話そっくりの少年が空から降ってきた

予感はあった

心が引っ張られた

早い話が一目ぼれだった

そして……


『良しじゃあとりあえず、アキラのことを紹介しとくな。と言ってもお前らが子供のころに何回か昔話として話したから詳しくはいいな?』


彼女は歓喜した、子供のころ夢想した夢が叶ったのだ

『いつか向こうの世界に行ってアキラに会う』

子供のころはきっと出来ると思った誰も出来ない事、次元は一歩通行、やってくる可能性は確率は60億分の1?

いやその人間の感情や気持ちが考慮されるならさらに低い

虚数のような確率?

それもまた違う、運よく転生したとしても何所に落ちるかなど完全に不明なのだ

虚数の向こう側の確率

きっとそう言う確率なのだ、だから諦めた、彼女は昔から賢かったから


それはアイドルが隣の家に引っ越してくるようなモノ

それは過去にタイムスリップするようなモノ

それは画面の向こうの存在が画面から出てくるようなモノ


住む場所が違う

住む次代が違う

住む次元が違う


それなのに、彼は現れた

少女が運命だと思ったのも無理はないだろう

彼女は手を伸ばす、届かなかったはずの者に届くなら

その手が届くかどうか、今は誰にも分からない



「サクラちゃんおままごとしよう!」

「サクラちゃんはお姑さんね!」

「いいよー」


サクラが子供たちをあしらっていると外が騒がしくなった

窓から外を覗き見ると外には肩借りながら歩くアキラの姿が、そしてアキラは村の中心で叫んだ


「ただいまぁぁ!!」


その声と同時にドアから飛び出したサクラは駆ける


「お帰りなさいアキラさん!」ドーーン!

「ぎゃあぁぁ!!」

「あの……サクラさん?アキラさんは今全身傷だらけで……」

「あぁ!本当だ!アキラさん誰にやられたんですか!!」

「……半分サ…クラ………」

「アキラさん!!」


喜びを表現するため勢いのまま飛びついたことが裏目に出たのかアキラはサクラの腕の中で気絶した



俺は天井を見上げている。

ちなみに天井に見覚えは無い。

これはアレを言うべきじゃないか?


「……………知らない天井だ……」

「お、起きたか。おーいクリス、アキラ起きたぞー」


となりでベンジャミンが病室の外に声をかける。

病室……。

えっと俺は確かレオンと遊ぶ約束をして……。

記憶がまたあいまいだ、最近多い気がする。

この前はハルマの家でも同じ感じになった。


「イテッ!」

「大丈夫か?」

「ダイジョウブダァ」

「?」


起き上がろうとすると全身が鋭く傷んだが、おかげで思い出した。

そうだレオンの所為で木に突っ込んだんだった。あのバカ力め……。

それにしてもやっぱりこのネタは外国人には通じないか……。

転生者だから可能性はあったんけどな。


「アキラさん!」

「わぁ!サクラさんだめです!落ち着いて!」


扉が勢いよく開かれサクラとクリスが飛び込んでくる

サクラの肩を掴んでいるところを見るとクリスはサクラを押さえようとしているらしい。

なぜだ?


「アキラさん!よかったですぅ!」

「おっはー、それでどうなった?」

「サクラさんはスルーするんですか……」

「サクラ泣くなー、お前を泣かしたとか知られたらハルマに殺されるー」

「うえええぇぇ」


泣き止まないサクラは置いておいて、現在の状況を整理する。

レオンは認めないだろうが俺はレオンに勝った、ハズ、たぶん、きっと、……ぶっちゃけ自身は無い!


「でもこうして無事に帰って来てるんだし“勝ち”ってことでいいんだよな?」

「少なくとも負けなら死んでますからね」

「アキラさんはどうしてそんなに命を軽々賭けれるんですかぁぁ。心配したんですよぉぉ」

「(とどめはサクラさんだったような)……何でもないです」


クリスが何かつぶやいたがサクラが振り向いた瞬間、否定した。

何かあったのか?まあいいか。

俺はベットから体を滑らせるようにして立ち上がる。


「よっこらしょ、アタタタ」

「アキラさん!」

「アキラさん、だめですよ。絶対安静なんて言いませんが、それでも傷から菌が入ったりしたら、それだけで足とか腕とか切り落とさなきゃいけないんですよこの世界は」

「俺の足は?」

「兄さんはバカみたいに早く治ってるだけ」

「バカ……」


クリスの言葉にベンジャミンが分かりやすく落ち込む。

兄弟って大変だね、俺にも兄が居たっぽいけど詳しくは知らないからなー。


「そんな事よりどっちか肩貸して、レオンに会いに行く」

「バカなこと言わないで安静にしていてください」

「そうです!タダでさえバイ菌に弱いのに、バイ菌だらけの野蛮人に会いに行くなんて!絶対にやめてください!!」

「じゃあ自分で行くか」

「「アキラさん!!」」


それでも行かなきゃいけないんだよ。

俺の次の作戦に移るには、レオンの力が必要だ。

だから、


ガッシ!


「ぎゃああぁぁ!!」


歩いてドアに向かうといきなり背中に抱き着かれた。

イタイィィィ!!


「さ、サクラ!勘弁してくれ!」

「だめです……。行かせません……」

「サクラさーん!!聞こえてますかー!」

「アキラさんは動かないでください!アキラさんの代わりに私が働きます!」

「だから……」


俺はサクラを引きはがそうと振り返ってギョッとした。

そう言うサクラの目は涙でいっぱいで、ポロポロと流し続けていたからだ。


「さ、サクラ……」

「お願いですアキラさん…いなくならないで下さい……。私の前から消えないでください……」

「サクラ……」

「あなたは奇跡のような確率で私の前に現れたんです、だからすぐに消えてしまうんじゃないか心配なんです、私はアキラさんにいなくなって欲しくないんです、だから!」

「サクラ!」


俺が突然出した大声にビクリと肩を震わせるサクラ。

正直こんなに好かれているとは驚きだった、だからこそ俺は決意をもって話しかける。


「サクラ、馬鹿なこと言うなよ。俺がいなくなるわけ……そもそも人が簡単にいなくなるわけないだろ?世界は思ったより簡単さ。頑張れば成果がついてくるなんて言わないけど、成果を出した人間がいきなりいなくなるのは無責任だ。だから俺はいなくならないよ」

「アキラさん……」

「それに今はうまくいってるんだ。きっと大丈夫さ!」

「でもそれは“今は”でしょう!いつか失敗します!」

「その通り失敗しない人間なんていない、だからこそ失敗するまで足掻くんだ。足掻いて足掻いて最後に“あぁ良い終わりだった”って思えるように足掻くんだ」


俺は一度それに失敗した、

訳の分からないままこの世界にやってきてしまった、

だから今度こそは!


「俺はいなくならないよ、少なくといきなりいなくなるなんて馬鹿な真似はしない、約束する。信じてくれ」

「アキラさん……」


サクラの涙はいつの間にか収まっていた。

あんな他人から見たら無茶苦茶な人生論で話がつくとは思わなかったが、それでも収まったなら良しとしよう。

そう思っていたらサクラが話し出した。


「アキラさん、その話を信じる代わりにお願いがあります」

「おう!何でも来い!」


出来る事なら何でも来い!


「私を連れっていってください。アキラさんの、その…足掻きに着き合わせてください。あなたの冒険を一番隣で見せてください」

「へ?」

「アキラさん?」

「あ、ああ良いよ?そんな事なら!でもそんな事でいいの?」

「ハイ!」


変なお願いだな?

まあいいか!

もう一人のストッパー、クリスの方を見ると“処置無し”といった顔である。

一応認めてもらったようだ。

許可が出たところで俺はサクラの肩に手を廻し話しかける。


「良し行くか!サクラ!」

「ハイ!でもどこに行くんですか?」

「戦場!」

「ハイ?」


忌まわしき()()()()を終わらせに!

書いてて半分くらいサクラの回想でした。

サクラは名前を作ってから中身を作ったキャラなので、一応モデルキャラが存在します。

中身は似てないですが、こうしてお話だけで人に恋をしてしまうところは似ていました。

次回は月曜日更新!

2章も大詰めです!頑張ります!


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