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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
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2-17 レオン・ハザード攻略戦Ⅲ

ああ、早く帰りたい(???)

「ガアアアァァ!!」


レオンは叫びながら森の中を疾駆する

いつも使う道は使えない


「(ヤツは俺があの道を使うことを知ってい。まあ、罠が張られているだろう)」


実際に道の両脇には一定間隔で強い草の匂いがした

強すぎる匂いは煙の中でも判別は可能

煙で見通しが聞かなくても冷静になればいつもの森だ、木の並びや木の種類で自分の大体の位置くらいならわかる

そしてその位置から逆算して相手の位置を知ることもレオンには容易に出来た

これこそ20年間この森で生きてきたレオンだからこそできる強力な強みである(だからこそアキラはレオンのフィールドを荒らした)


森の中でレオンは何人か外套を付けた村人とすれ違った

全員がきつい匂いがするのとレオンが近づくとスリングをブンブン振り回すのですぐわかる

今までのレオンならすれ違った時点で殺していただろう

それでも手を出さなかったのはアキラとのルールのためである

レオンがここまでルールを守るのは珍しいことで、そもそも複雑なルールなら最初から守らないだろう

現時点で気づいてはいないが、レオンはかなりアキラを気に入っていると思われる

それでもレオンはアキラを捕まえれば殺すだろう

レオンはある意味誠実なのだ


木がいくつも通り過ぎ、煙の中に水のにおいが混じった

湖が近い


「よっし着いた!」


木々を抜け急停止する

煙がモワモワと立ち上った


「ゲッホ、誰もいない?俺が先か?」

ここは特に煙が強いのか湖の周りに人の気配も匂いも無い

しかし周りを見回すと煙の中で少し赤く光っている


「火?」


近づくと分かったがそこは何かを燃やしていた

きょろきょろと周りを見てみると何か所か赤く光っている

煙はどうやらここから出ていたようだ


「ゲホッ、この草は?」


屈みこみ燃えているモノの確認をするレオン

自分の鎧を抜けて到達した毒の正体を知っていたかったからだ

だが……


「ん?なんだこれ?」


レオンはその植物を知っていた

知っていたから不思議だった

それは確かに毒を持った植物である

しかしその植物の毒はレオンには効かない物だった


「?」


レオンは疑問を抱く、だがそれを解消するより早くソレは現れた


「!」


湖の対岸、曲がり道の先で煙が動いた

キツイ匂いが鼻をくすぐる

そして、煙を抜けて鮮やかな緑が見えた


“ドンッ!”


レオンはすぐさま反応する

最短距離をまっすぐに飛び20m近くある湖を飛び越えた

まさか対岸から来るとは思っていなかったのかヤツは動きを止めている


「取ったぁぁ!」


レオンは雄たけびと共に右腕をつかみ、引き寄せ、相手の体勢を崩す

崩れた体に勢いのまま拳を叩きこんだ


“ドォン!”


凄まじい音と共に周りの煙が霧散する

余波だけでこの威力

せめて一撃で終わらせるのはレオンなりの慈悲だろう

しかし……


「ふー、危ない」

「はぁ?」


レオンが間抜けな声を漏らす

それもそうだろう、必殺を信じた()()()()()()()()()()()()()

そして次の瞬間、掴んだ拳を思い切りひねられ、足を蹴とばされ、一瞬のうちに組み伏せられていた


「はあ?」

「伝言がありますレオン・ハザード」


後ろからかかる声は


「誰だ?お前?」


アキラの物では無かった

そして


“ドッボォォン!!”


派手な音と共に水しぶきが上がり

ソイツは言った


「『チェック』だそうです」

「『チェック』?なんだそれ?」

「えー、チェスって言うゲームの勝利宣言?“勝ちましたよ”って相手に伝える言葉です。気取ってますよね。ゲームの言葉を現実に持ち出すと非常に“イタイ”という良い例です」

「いやその前に……」


レオンの腕の血管が浮かび上がり、筋肉が盛り上がる

彼の掴んだ手のひらが弾かれる感覚がした

“鎧”がより強く展開される


「いつまで掴んでんだ!」


言葉と共に後ろに組まれた腕を無理やり振るう

“ブオンッ!”と言う音と共に周りに風が巻き起こる

完全に組み伏せられていた状態から力だけで脱出したのだ

もし腕を掴んだままだったなら勢いのまま振り回されていただろう

しかし……


「チッ」

「勘弁してください。あなたの相手に差し向けられてるですから一応避けたりは出来ます」


振り回される寸前の所で手を離したのか彼は数歩離れたところに立っている

レオンは忌々し気に舌打ちするが、それよりも自分の動きを躱した彼を気になってもいた

だが今は勝負の時間

肝心の勝負相手はどこに行ったのか


「オイ!お前誰だ!アイツはどこに行った!」

「僕ですか?これはこれは、世界に轟くレオン・ハザ-ド名前を聞かれるとは恐悦至極」

「良いから質問に答える!」

「ハイハイ分かりました。クリスチャン・リンカーンと申します。アイツとはアキラさんでいいですか?」

「そうだ!」

「先ほどの水しぶきでなんとなく察してくれません?」


レオンの声と同時にクリスはレオンの後ろを指さす

それを見てレオンは振り返る

後ろには湖しかない


「まさか……」


レオンは顔を歪ませる


「伝言を伝えましたよね。『チェック』……勝利宣言と。それとも“誰からか”伝えた方が良いですか?」


レオンは顔を下に向けつぶやく


「どういうことだ……。アイツはどこから……。」

「それは本人が言うでしょう。煙ももうじき晴れます、種明かしはそれからでいいのでは?」


独り言か質問か不明の言葉にクリスは律義に答えを返す

水面はまだ大きく揺れていた



「いやーすみません!頭良すぎてすみません!」


先ほど谷で言ったセリフと全く同じこと言いながら俺は出ていく。

森を覆っていた煙は先ほどから村人有志が水をかけて元の焚き火を消している。

もうすでにかなり薄くなっているので、5分もすればスッキリとなくなるだろう。


「どういうことだ」


声低めに湖のそばの岩に腰を掛けるレオンが言ってきた。

その隣にはクリスが控えているのでこの世界最強ランキング1位2位が揃い踏みだ。

閉じた世界とは言えなかなか見られるモノではない。


「どういう事とは?手品はタネを知らない方が面白いと思うんだけど?」

「知るか。俺が負けてんのは分かってんだから良いから言えよ」

「アキラさん緊張し続けるのはつらいのでさっさと言ってくれると嬉しいんですが」

「なんだよ、エンターテインメントが分からない奴らだな」


俺は“やれやれしょうがないな”みたいに両肩を上げて言った。

“ピシッ”とレオンの座ってる岩が音を立てる。訂正、正しくはレオンの手の置いている部分だ。

手を添えてるだけに見えるが……全くどんな握力してんだか。


「ハイハイネタ晴らし!ネタ晴らしね!と言ってもどっから?」

「最初からだ!」

「じゃあ最初の石投げからな」

「はい?」


レオンが間抜けな声を上げる

築いてなかったのか?


「石に塗ってたのは松脂だよ。アレは良いよな……。乾いてもペタペタするからくっつきやすい」


色も黒くなるので一石二鳥でした。

松に似た木を見つけた時は歓喜して小躍りしたほどだ。

転生前の世界でもお世話になったことが何度もあるので性質は知っている。

自然物だからイタズラに使い勝手がいいんだよなー。

ボンドなんかよりよっぽど使っていた気がする。

というかそんなに簡単に木に引っかかるわけないだろ?

ベタベタした石なら少しは可能性が高いからな。

誤算といえばポケットに入れてしまった事。

あんなに取り出しにくいとは……、ちょっと焦ったぞ。

おかげで付く確率は上がったので問題ないと言えば問題ない。


「……お前どこまで計算ずくだ?」

「結構ギリギリだったと言っておこう」


そう言ったらレオンが俺に問いかけてきた。

レオンが近づいたときは生きた心地がしなかったので割と言ってることは当たってる。

そしてレオンはまだ気づかない。

最後の大仕掛けが待っていると言う事を。

ま、そこは次にしようか。

レオン攻略戦終了……かな?もう少し伸ばしたかったけど次回という事で。

次回は月曜日更新です。

感想、コメント、もらえると嬉しいです。


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