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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
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2-14 三つの核と二つの秘密兵器

久しぶりに見たな母ちゃんの夢…………。水浴び行くか……。(レオン・ハザード)

新世界生活7日目

本日は戦争がある日だが朝一番に平原の真ん中に白旗を立てたので戦争は休止だ。

おかげでレオンに集中できる。

この白旗システムを作った自称神とやらに初めてお礼を言いたい気分だ。

まあ誘拐してる時点でお礼もクソも無いけど。


午前9時俺はある建物のドアを開けた。

ムワッとした草っぽい匂いが部屋から飛び出す。

匂いに怖気づいてしまいそうになるが空元気に声を上げる。


「お!できてるー?」

「昨日から終わりの無い仕事を働き続ける人間にかける言葉としては0点ですね」


目の下にクマを作りながら言葉を返すクリス。

悪いと思っている、が、皮肉を返せるうちはまだ働けると思う。

ガンガン働け。

俺が来たのはベンジャミンが入院している病院…もとい薬局。

元々“薬剤師の資格を取得するために大学に通っていた”という人よりは知識のある学生がが立ち上げた場所で、毒にも薬にもなる危険な植物の保管や植物の効果の実験を行っている場所だ。

しかし前々回の戦争でその学生が死亡し、現在はクリスと薬品の管理を手伝っていた他の有志によって回っている場所である。

そして俺の考える作戦にトップクラスに重要な物の制作を頼んでいる場所だ。


「正直期待はしないでくださいね。作製期間が1日だけで出来る薬なんてないんですから」

「大丈夫大丈夫!なかったら困るけどあったら困らない物だから!」

「そんなレベルならもう寝ていいですか」

「だめ」


俺の無慈悲な言葉で明らかに気分を落とした作成者たちはのろのろと止めていた手を動かし始めた。

一徹くらいで情けない、それでも修羅の国に生きる人ですか!


「お!アキラいるのか?」


俺の感想の途中に割り込んできた声は隣から聞こえた来た。

ドアを開けるとこちらは消毒に使うアルコールの匂いがした。

そこには入院中のベンジャミン。

ベッドから上半身を起こしているところを見ると元気には見える。


「元気そうだな」

「おう!足のケガの治りは良いみたいだぜ」

「良いみたい?」

「何か普通の人の10倍くらいの速さで治ってるって。元々人よりはケガの治りは良い方なんだけど、ここにきてかなり調子がいいな!」

「戦争の時もそうなら良かったのに……」

「……それは言わないでくれよ……」


俺のツッコミに困った顔をするベンジャミン。

今のは意地悪だったかな?

まあ、送り出した俺が言っていいセリフではなかったか。

“すまん”と謝り、話をつなげるため現在行っている作戦について説明する。

そう言えば誰にも作戦の完全な内容を言っていなかったことに自分で驚いた。


「そんなにうまくいくのか?」

「そんなにうまくいってもらわなきゃ困る」


俺の作戦に疑問の声を上げるベンジャミン。

この作戦は三つの可能性がある。


全てが予想通りで完璧なAパターン

全然予想通りにならないCパターン

そして一番可能性の高いBパターン


一番いいのはAだが、Bはある意味一番危ない。

そしてCなら逆に一番危険が少ないという組んだ自分で言うのもなんだがかなりの変則的な作戦だ。

この作戦の核は三つ

現在隣で行われている薬品の製造

昨日ペドロに指揮したモノ

そしてデニム爺さんに頼んだ攻撃兵器

どれも急ピッチで制作中だが間違いなく間に合うのはペドロだろう。

デニム爺さんの攻撃兵器は材料が集まるかどうかだが、どうなったかな?

俺は心配事を減らすためデニム爺さんの家に向かうことにした。


「じゃあまたな」

「ああ俺も手を貸したいんだがこの足じゃな」

「なんだそういう事なら、言ってくれればここで作業したのに」

「え?」

「じゃあ後で持ってくるわ」

「え?」

「がんばれよ」

「え?」


ベンジャミンを置いて俺はデニム爺さんの家に向かった。



「おっす!爺生きてるかー」

「生きとるわ」


孤独な老人に声かけ運動。

うん!俺はいいことしてる!

不機嫌そうに返事をしたデニム爺さんは現在たった一人で“攻撃兵器”の選別をしているのだ。

床にはかごいっぱいに入った素材がひい、ふう、みい……まあかなりの数ある。

ちなみにこの数の理由は大量の村人が森に入って植物と攻撃兵器の材料を確保しているからだ。

この家には2時間に一度くらいで村人が籠いっぱいの素材を持ち込む。

なので東村は今の時点でほとんど人がいない。

ちなみにサクラも俺が起きるより早くそっちに行っている。が、朝ごはんは用意されてました。

美味しかったです。味は。


「何の用じゃ」

「良い場所が見つかったからそっちに拠点移して」

「はぁ?」


調べたところ東村で“攻撃兵器”の選別ができるのは爺さんだけだったので、現在は一人で選別と作業を行っている。

なぜ爺さんが選別できるかは知らない。

年の功にしては微妙なスキルなのだ。

しかし俺は気づいてしまった、“別に作業だけなら爺さん以外もできるじゃん”と。

選別は爺さんに頼むが作業自体は慣れれば誰でも出来るので暇なベンジャミンにやらせる。

俺って冴えてる!


「というわけで病院に持って行って」

「どういうわけか分からんが、まあそっちの方が森に近いしの」


デニム爺さんの家は村の中心に近く、病院はそれよりも外側にあるので森には少しだけ近い。

そういう点でも病院は都合がいいのだ。


「じゃあ手伝え」

「断る」

「貴様老人にこの大荷物を一人で運べというのか?」

「別に今すぐじゃなくてもいいよ。次に“コレ”持ってきた奴らに手伝わせろよ」

「おぬしが手伝えば早いとは思わんか?」

「俺はこれから予定があるんだよ」

「ん?何じゃ?」

「ちょっと釣りしてくる。大物の予感がするんだよねー」

「はぁ?」


そう言って俺はデニム爺さんの家を出た。



午前10時


「うーん、思ったよりいいスポットじゃないか」


俺は昨日の夜に作成した釣り具をもって大きな湖にやって来た。

湖の形は細長く、大きさは一番遠い場所は60m。逆に一番近い所は20mほどだろうか?

湖の水は澄んでいて表面はキラキラと光っている。

どこからも流れ込んでいる様子が無いので湧水が沸いているのだろうか?

そんな事を思いながら一番近い場所に腰をすえ“ぽちゃん”と水に釣り糸を垂らす。

そうして20分ほど経っただろうか、今まで見えていた魚がいきなり踵を返して逃げ出した。

その理由はきっと野生の本能か何かだろう。


「よう。やっぱり来たな」

「………なんでいる」


俺が振り返った先にはレオン・ハザードがいた。



午前12時


「オッツー」

「おぉぉアキラァァ!元気だったかぁぁ!」

「いや昨日もあったよね?」


俺は昨日歩いた道をさかのぼりペドロたちに合流した。


「どんな感じ?俺には土とか地面とかほとんどわかんないけど、どうにか間に合いそう?」

「任せろぉぉ!昨日も言ったが土は堅いから希望通りの形になりそうだぁぁ!」

「じゃあ要望通りによろしくー」

「しかし何でこんな形にぃぃ?」

「実際に作ってみればわかると思うよ?」


昨日のうちに要望を伝えておいた俺はペドロに1日作業を待つように頼んだ。

理由は二つ、一つ目はレオンにバレるとめんどくさいから。

昨日の感じで見るとレオンは敵意を持たない限り向こうから攻撃はしてこない……と思う。

だが確証は無かったので行動を1日自粛したのだ。

そして二つ目これから行う事のタネはバレてしまうとこの行動自体の意味が半減するのだ。

なのでレオンにバレないように1日で仕上げる必要があった。

ペドロの能力は半日で1㎞の塹壕を作るほどの働き者だ。なんとかなるか不安はあったがこの自信満々の声を聴いて安心した。

きっと明日の朝までに間に合わせてくれるだろう。



午後2時


「お疲れさん」

「あ、アキラさん!」


東村に戻った俺はすでに探索を終了して先に帰っていたサクラたちに合流した。

これからもう少しすればすべての村人が森から帰還するはずだ。


「一人で森に入っていたんですか!」

「心配すんなって。明日の方がよっぽど危険なんだから」

「そういう問題じゃないんです!」


プリプリと怒るサクラは超絶可愛かったが今は明日の生命線を確認しよう。


「アレはどれくらい集まった?」

「結構な数集まりましたよ、加工は今から行うので全体の量はまだ分かりませんが30人分は間違いなくあります」

「OK!じゃあよろしく頼むよ。その代わり今日は俺が手料理をふるまおう。サクラほどじゃないけどこれでも魚くらいは三枚におろせるんだぜ?」

「わぁ!楽しみです!」


いい笑顔です。

家庭科の教科書道通りに作るので不味いわけではないと思うが、そんなに期待されると少々尻込みしますね。


サクラと別れた俺はそのまま病院に向かう。


「よう!元気か社畜ども!」

「「「「グー――」」」」


全員寝てやがる。

昨日から実験の繰り返しだったと思うと寝かしてやりたい気持ちもあるが今は心を鬼にして。

クリスの耳元に口を近づけ。


「起きろぉぉぉ!!!」

「ぎゃあぁぁ!!!」


クリスが飛び起きた。

それにつられて他のやつらも全員起きる。


「な、なんて起こし方するんですか!鼓膜がやぶれますよ!」

「そんなに簡単に壊れません。そんな事よりどうなった?」

「そんな事ですか僕の鼓膜は…。まあ、良いでしょう。言っても聞かないんでしょうし」

「うん!」

「威張らんでください!えーっとですね、結論から言うとお望みの効果の発見はうまくいきませんでした。効果があるけど大量に煙が出るのと効果は無いけど少しの煙しか出ないのどっちかです」

「後者は前者と同じ量の煙を出そうと思ったら燃料はどれくらいいる?」

「ざっと10倍ですかね……。そもそも水分が多い部分なので燃えにくいんですよコレ」

「ん?燃えるやすくしたらどうなる?」

「そうですね規模にもよりますけど……。3倍くらいにはなるのでは?」

「ふーん、じゃあいい方法教えてやるよ」

「え?何かあるんですか!」

「燃やす方法はいろいろあるがその代表はあそこにあるだろ?」


そう言って俺はベンジャミンとデニム爺さんが作業をしているはずの病室を指さした。



午後10時


先ほど釣った魚で作った料理は使った魚が違うにもかかわらずかなりの完成度を誇り、サクラに絶賛された。

その声を聞きつけ村の住人が駆け付け同じのをもう一度作りなおす事になった。

別に作らなくても良かったけど作った方が良い思い出になる気がして。


俺は下手したら明日死ぬだろう。

先ほどレオンとの約束?契約?に付け加えてしまったのだ“俺を捕まえたら殺してくれてかまわない”と。

それくらいしてようやく同じフィールドに立てたと思いたいものだ。


そして俺は一人村人を呼び出した。


「これ出来るか?」

「やってみますよ」

「苦労かけるな。」

「大丈夫です」


そして俺自作のアイテムを手渡し訓練が始まった。

訓練自体は比較的うまくいった。

明日は条件がどうなるか分からないがきっとうまくいくと思いたい。

そして夜が明ける。

アキラ・トコバ一世一代の賭けの始まりだ。



遅くなって申し訳ない!

次回は水曜日更新予定

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