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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
33/111

2-13 ばったりと災害

ハッピーバースデートゥミー……。こんなに虚しい誕生日は初めてだ……。(ハルマ・クイート)

「オイどこ行くんだよ」


俺たちに声をかけてきたのは歩く災害レオン・ハザード

あーこりゃあマズいな

死んだかな?

あ、でもワンチャンあるかもしれない、いやきっとあるはずだ!

そう思って俺は歩き出す。


「いやどこ行くんだよ」ガシッ


うわぁ肩掴まれた。

気づかなかったフリ作戦失敗。

薄々勘づいてたけどワンチャンは無かった。

……覚悟決めよ。


「おぉレオン!なんだいたのか、なら話しかけてくれれば良かったのに!」

「話しかけたよな?」

「いや俺は聞いてない」

「え、でも」

「聞いてない」

「いや「聞いてない」

「……まあいいや」


やった!折れた!


「で?何の用だお前ら?俺に何か用か?」

「おう!遊ぼうぜ!」

「「「「はぁ?」」」」


その場にいた俺以外が声をそろえた。



「(なんだこいつ?)」


レオン・ハザードのアキラに対する第一印象である。

ちなみにレオンは戦場でアキラにあったことは覚えていない。

レオンにとって昨日一昨日以降の出来事はすべて同じ“過去”の出来事であり、戦場で会い、笑いながら走って逃げた変人など当の昔に忘れてしまっている。

正しくはそう言う存在がいた事は覚えているがそれがどんな存在かは覚えていない。


レオンは最強であり、その力は努力……苦労の末に手に入れたものではない。

強くなろうと思ったことは無い。

強くあろうと思ったことも無い。

生まれた時から強者の地位にいた。

言うなれば空っぽのままで20年を過ごしてきた。

よってレオンに明確に覚えるべき過去は基本的に無い。

ただし例外が二人だけ、自らを生んで育て死んでいった母親たちの事だけは覚えている。

二人とも自分の髪のように輝く銀の髪をしていた。

その二人の言葉は今まで忘れたことは無い。

逆に言うなら彼を形成しているのはその二人の言葉であると言えた。

というかレオンにとってそれしか守る物はない。

そしてその言葉の中に“弱い者いじめはいけない”とあった。

だからいきなりアキラは殺さなかった。


そしたらこいつは訳の分からんことを言い出した。



「何言ってんだこいつ」

「レオン・ハザード心配しないでください。我々も分かりません」

「アキラおぬしはいきなり何を言い出すんじゃ?」

「アキラさん、大丈夫ですか?」


失敬だなこいつら。

別にいいもん!分かってもらえなくって!


「いや、俺は遊びに誘いに来たんだよ。俺はそのつもりで来たんだけどこいつらは違っただけだよ」

「オイ、わしらを切り捨てて自分だけ助かろうとしてないだろうな」

「するわけないだろ!お前の中で俺はどんな人間だ!」


最近会ったばっかの人間にどんな悪印象持たれてんだよ。

……最近会ったばかりだから切り捨てると思われたのかね?残念ながら会話をそれなりにした相手を切れるほど薄情じゃない。


「フーン。で?遊びってなんだよ?」

「え?あ!そ、そうだな!」

「おぬし何も考えて無かったのでは?」


うるさい!

だってもっと情報仕入れてから作戦考えるつもりだったんだよ!

そうだよ!今のところほとんど考えてないよ!

どうしよう何かいい方法無いかな……。

そこで俺はレオン・ハザードを見て気づいた


「あ!」

「あ?」

「あー、うん!何でもない!何でもない!それより勝負だがな……」

「おうなんだ?」

「“鬼ごっこ”でどうだろう?」

「「「は?」」」


おや?今度は驚きは一人分少ない。

レオン・ハザードは何か引っかかったのか言葉を発しなかった。

もしかしてもう作戦バレたとかじゃないよな。

いやそんなバカな。だがこいつがとんでもなく頭がいい可能性もあるわけだし……。

しかしそんな俺の予想に対して衝撃の言葉が飛び出した。


「鬼ごっこってなんだ?」

「「「「は?」」」」


鬼ごっこを知らないのか……。

いや、そうか。

考えてみれば当たり前だ。

コイツは今までボッチだったんだ、だからそもそも鬼ごっこを知っているはずがないのだ。

狩りで似たような事はやっている可能性はあるが鬼ごっこという知識はこいつには無いのだ。


「可哀そうに」

「オイなんだその変な目」

「大丈夫、俺がちゃんと遊びを教えてやるから」

「いや、だからなんで俺を可哀そうな目で見るんだ」


俺が肩に乗せた手を振り払いながらレオン・ハザードが言った。

強がらなくてもいいんだぞ、友達がいなくて寂しかったんだろ?

まあ、それは置いといて。


「鬼ごっこのルール説明な。これは簡単、鬼が相手を捕まえたら…ていうかタッチしたら勝ち。逃げ役は触られないように逃げきったら勝ち。こんだけ」

「なんだそれ?俺が鬼(?)ならすぐに終わるぞ?……いや違うか、お前が俺を捕まえるのか!そうかそうか!それなら少し面白いかもしれん!」


レオンはああ言っている、確かに触るだけなら俺にもチャンスがあるかもしれない。

しかし……


「いや?最初のであってるよ?俺が逃げ役、お前が鬼役」

「はあ?」


レオンが疑問の声を上げる。

そりゃそうだろう、自分の勝ちが絶対に揺らがないルールなのだから。

しかし疑問は解消させない。


「時間は明後日の朝ここに集合!詳しいルールもそこで話す!じゃあそういう事で!」

「え?」


そう言って俺は走り出した。


「あ、待ってください!」

「おい置いていくな!」

「え、あ、じゃあ失礼します……」



先ほどの道をひとしきり走ったが息が上がってきたので徐々にスピードを落としていくと後ろから三人が追い付いてきた。

俺は完全に足を止め三人を待って振り返った。


「さてどうしよっか?」

「やっぱり何も考えとらんかったか!」


開幕早々怒られた。


「アキラさん!あんなこともうしないでください!」

「そうですよ。肝が冷えました」


おや、こちらは別の意味で怒られているようだ。

ナンデ?

俺の雰囲気を察したのかクリスが説明してくれた。


「レオン・ハザードの肩に手を置くなんて、命があっただけでも運がいい方ですよ」

「そうです!アレくらい強い人ならアキラさんなんてパンチ一発で死んじゃうんですよ!」


ああ、そう言う事ね。

確かに俺がさっきやったことは竜巻に手を突っ込むような事だ。

これは怒られても仕方ない。

ホントに心配させたのかサクラが俺の肩を持って揺さぶってくるが、甘んじて受け入れよう。


10分後


サクラの気持ちが収まったのか揺さぶられるのは止められた。

まだ少し頭がグワングワンするが話す分には問題ないだろう。


「さてどうしよっか?」

「先ほどと全く同じじゃな」


デニム爺さんに突っ込まれるがスルー


「しかし言い訳位させてくれ。あんなところでエンカウントするって誰が思う?」


俺の一言に全員が渋い顔をする。

だって正論だもん。

近づいて様子をうかがうだけが本人にエンカウント。

非常に不運である。

しかしそこから生き残った俺の起点は素晴らしいと思わなくては!

そう言ったら怒られそうなので言いません。


「それでホントにどうするつもりじゃ?」

「んー、考えが無いことも無いけど……」

「何じゃ言いよどむな?」

「明後日までに終わるかな?」


デニム爺さんの問いに答えづらいのは訳がある。

俺が考えているのは準備期間が足りるかどうかである。

2日むしろ朝に設定してしまったので1日半といったところだろう。

レオンに会ったことで収穫も一つ二つあったがそれでもどう転ぶか分からない。

俺の作戦は基本的に綱渡りなのだが、ここまで危ないのは久しぶりだ。


「とにかくやれることからやっていこう。クリス!」

「え、はい!」


いきなり話しかけたので驚くクリス。

悪いがその時間も惜しい。


「今すぐ戦争で使った毒煙を出す草を集めてくれ!」

「えっと数は?」

「多ければ多いほどいい。次にサクラ!」

「はい!」


ロスタイム無しに答えるあたり流石だと思います。


「サクラは爺さんと村に戻ってペドロ呼んできてくれ。それと村人に注意喚起!働いてもらうぞ!」

「分かりました。詳細は?」

「まだない!」

「威張れんな」


うるさい爺!


「爺さんはさっきも言ったが村に戻ってくれ、それと今回の核を集めてもらいたい」

「核?」

「レオン・ハザードには何も聞かない。その考えを改めさせてやろう」


そう言うと俺は手の汗を握った。



今日来た奴らは何だったのか?

レオンには分からない。

どうやら森で何かしているようである、あいつらがいなくなってすぐに森に人の匂いが混じり始めた。

しかしレオンには関係ない。

むしろ楽しみでもあった。


「(アイツは俺にスピードで勝つつもりか?)」


自分と比べてお世辞にも早いとは言えない速度で走って言ったヤツが逃げるなら開始10秒で捕まえてやろう。

そう思ってレオンは目を閉じて眠った。


その夜レオンは久しぶりに夢を見た。

母の夢だった。


“弱い者いじめはいけないよ”

ああ、だから雑魚の村は襲わない。


“強くなりなさい。お父さんみたいに”

俺は強いから問題ない。


“仲間を作りなさい、信頼できる仲間を”

仲間って何だ?


“仲間って言うのはね……”


たまに見る夢で母の言った言葉を思い出す。

しかし最後の言葉だけは思い出せない。だがきっといつか思い出すだろう。

俺は強いのだから。

4月1日はハルマの誕生日!

でもこの世界は数え年なので誕生日はあまり関係ありません。

次回は月曜日更新予定

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