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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
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2-12 ピクニックと谷間

ヒマ!(ベンジャミン・リンカーン)

「いやーすがすがしい青空。ピクニック日和ですな」

「ピクニックではないですけどの」

「まあまあ似たようなものですよ」

「アキラさんお弁当作った来たので後で食べましょう」


新世界生活6日目

戦争で俺の作戦がさえわたりベンジャミンが負傷した次の日。

本日は戦争が無いので俺たちは森を北上していた。

北上と言っても1時間ほど歩いただけだが。

天気は前述したしたように晴れ、木々の隙間から降る光が気持ちいい。

俺たちがこうして森を探索している理由はいくつかあるが、その理由の一つが見えた来た。


「さて見えてきたの」

「アレがレオン・ハザードの住む岩山か、でかいと言えばでかいのかな?」


時は朝に巻き戻る。



昨日の会議から一夜明けた早朝。

俺は昨日働いたし今日は日が高くなるまで惰眠をむさぼろうとしていたのだが、


「おはようございます!」

「はい………おはよ」


美少女にたたき起こされた。

サクラはここ数日俺が起きる前に朝ごはんの準備を終わらせているので俺は毎日原色の朝ごはんを食べている。

料理には見た目も重要だとここ数日で俺の心に刻み込まれた。

味はいいので食べる分には問題ないのだが、口に運ぶ時一瞬躊躇してしまう俺がいる。

パクパク食べていたハルマとツバメは愛の力なのかそれとも単純に慣れたのかは今のところ不明。

たぶんどっちも正解だと思う。


「アキラさん昨日は随分と遅かったですけど何かあったんですか?」

「うん?なんも無かったよ?」

「そうですか……。女の人にでも会いに行っているのかと思いましたよ」

「あはは、ほんの数日で恋人ができるレベルのコミュ力なら高校でボッチなんてしなかったよ」


その俺が何気なく言った一言にサクラが食いついた。


「そこが疑問なんです。アキラさんは何で孤立なんてしたんですか?確かお父さんの話だとアキラさんにはお父さん以外にも二人幼馴染がいたはずですが」

「凍夜と花梨だな。うーん何ていったらいいのかな……。少なくとも二人は何も悪くないよ。俺が勝手に沈んでいっただけだから」

「それでもお父さんの話を聞いた限りではアキラさんはそのお二人ととても仲が良かったのでは?そんなに仲のいい方々がアキラさんを放っておくとは思えないのですが」

「俺は子供だった、それだけさ。俺が全部悪い。これは間違いない」

「そうですか……」


サクラはなんとなく納得はしていないようだがそれ以上は深くは突っ込んでこなかった。

俺が話したくないオーラでも出していたのかもしれない。

あの辺りは俺の黒歴史だから。

単純に俺が変だった時だから。

だから言いたくないのだ。

強く聞かれれば話すかもしれないが、それでもあまり口にはしたくないのだ。


「さあ食べるか!サクラのおいしいご飯を!」

「へ?あ、い、いきなりそんなこと言われると照れます」


ホントに照れているのか頬を赤く染めるサクラを視界の端に身ながら俺は朝ごはんをかきこんだ。



トントンッ


朝ごはんを食べ終わった後、お茶を飲みながらのんびりしていると家の戸が叩かれた。

開けてみるとそこにはデニム爺さん。


「おうおはよ爺さん。何か用?」

「昨日頼まれた資料を持ってきたんじゃが………おぬし何をのんでおる?」

「お茶」


言いたいことは分かる、サクラの作ったお茶はなぜか非常に黄色いのだ。

エナジードリンクのような透き通る黄色ではなく絵の具をそのまま水に溶かしたみたいな黄色で、正直何でこんな色になるのか俺は理解できない。

でも味は普通なのだ。ミステリ。


「デニムさん?どうかしましたか?」

「いや別にいいわい。それより持ってきた資料何じゃが.........」

「あー!爺さんそれ紙か!?紙があるのかこの世界!」


デニム爺さんの手に握られていたのは丸められた紙の束


「あの時は別におぬしを信用しとらんかったし、紙も貴重じゃしな」

「だから俺に教えなかったと?」

「そうじゃが?」


紙があるなら俺が罠の配置を必死に覚えた意味は?

飄々と話すデニム爺さんの態度はものすごくむかつくが資料が手に入ったことで留飲を下げよう。

それより資料の中身だ。

俺が頼んだのはこのあたりの地図とレオンの戦歴だったが………


「まず断っておくがレオン・ハザードの詳しい戦歴はそもそも無い。自然災害ならまだしも人災じゃから記録を取ってはおらんかった」

「別にそっちは“あればいいな―”くらいの気持ちで言ったから大丈夫。あとで戦争に出てる村人にでも聞けば詳しい話が聞けるだろうし。それよりこのあたりの地図は?」

「そっちは問題ない」


そう言ってデニム爺さんがテーブルに広げたのは一枚の精巧な地図だった。


「おお!」

「わあ!」


俺とサクラが思わず声を上げる。

書き込みもそうだが簡単に高低差や植物、動物の分布まで書き込まれている。

手作業でこれを作り上げるのはかなりの時間が必要であろう。


「それと補足の資料と別タイプの地図じゃな」


そう言って手渡された資料は書き込み切れなかった情報をまとめた物、別タイプの地図は植物、動物、高低差、距離、の観点でより詳しく書き込まれた4枚の地図だ。

どれも分かりやすくまとめており非常に見やすかった。


「コレ誰が作ったの?」

「わしじゃが」

「すごいですね!」


サクラの言う通り確かにすごい。


「爺さんもしかして画家?」

「そんな暇な職業に就いた覚えはない。測量とか色々やっとるお役所に勤め取った」


前半は問題発言だが後半は納得がいった。

いやお役所に勤めてたら絵がうまくなるのか?

この人ただ絵の才能があっただけじゃないか?


「まあいいや、これだけ精巧な地図があるなら現地に行かなくてもいいかな?」

「現地に行くつもりだったのか?」

「おう!でもあんまり動きたくなかったからちょうどいいや」

「別におぬしがどういう動きをするつもりか分からんが実際に足を運ぶことは悪いことではないぞ?その地図を書いたのは3か月も前じゃし、その情報を仕入れたのはさらに前じゃ。……まあおぬしがそれで転ぼうとわしの知ったことではないが」

「気になること言うなよ」

「いや!いやいや!別にかまわんぞ。おぬしの見ている地図と本当の地形がどれだけ差があろうとおぬしの計画に支障が出ないのであればな」

「……」

「……」

「……………」

「……………」

「……………………」

「……………………」

「分かったよ!行けばいいんだろ!」


根負けした。



で、今の状況だ。

空気はおいしいく仲良くピクニックしている状況だ。

昨日の戦争で疲れて筋肉痛になっている身には厳しい状況だ。


「それで、何で僕は連れてこられなきゃいけないのですか?」

「ばっか!クリスこのメンツに戦闘力があると思うのか?」

「あぁそういう……」


村を出口でばったり会ったクリスをメンバーに加え、俺、サクラ、爺で4人。

サクラの村の周りにいるほど凶悪な生物はいないそうなのでそこまで心配してはいないが、それでも不安はあったのでちょうどよかったのだ。

一人増えればサクラの昼飯を食べる量が必然的に少なくなるとかは考えていない。

でもうれしい誤算ではある。


「今はどこ辺?」

「このあたりじゃな」


現在俺たちが歩いているのは道幅の1.5に分くらいしかない小さいが歩きやすい道だ。

こんな道は地図には無かったはずだが?

そう思って質問したのだが爺さんが指をさしたのは地図では何もない場所だった。正確には道など記載されていない場所で木しか書かれていないのである。

どういう事?


「ここには4ヶ月ほど前には道は無かったと言う事じゃ、少なくともここを毎日のように使っている存在がいるのは確定じゃな」

「獣とかですかね?」

「いやーどうだろ?俺たちが歩きやすいってことは体に木や枝が突っかからないって事だから少なくとも人間サイズ以上の生物だろ」

「となると選択肢は少なくなりますね。……クマか…それとも大型のダチョウか…」

「ダチョウいるの!」

「いますよ、元の世界よりも小さいですが探せばそこら中にいますよ」


聞けばこの世界で一番捕まえやすい鳥類らしく、大きさが小さいのはこの木々にぶつからないように進化したのだろうとの事。その代わり数が増えているらしい。

分母が増えれば小さくても生き残る確率も上がるからな。

新発見に目を輝かせているといきなり視界が開けた。

目の前にはビルように高い巨大な岩壁が並んで二つ。


「岩谷じゃ」

「でかいな」

「ええ、改めてみると大きいですよね」

「そうですか?」

「そうかの?」


約二名に同意が得られなかったが巨大なのは間違いない。

30mはあろうかという大壁は中央で二つに割れており内部はまだ午前中だからか日が当たっておらず影になっていた。

どうやら元々一つの巨大な岩だったものが真っ二つに割れ、南側がレオンの住処の岩山になり、もう北側は鳥類の住処になっているらしい。

そしてその割れ目に俺たちは来ているというわけだ。

ここに来た理由はレオンの住処の調査である。


「何か生物はいるのか?」

「蛇くらいでは?あとは鳥が数種類」

「蛇は小さいが毒を持っておるから気を付けい」

「了解」


そう言って内部に入ると、


「シャー―!」

「ギャー!」


いきなり黒い蛇が上から降ってきた。


「危ない!」


そう言うや否やクリスは腰に下げていた剣で蛇を真っ二つにした。

早っ!


「ふー助かったー、サンキュークリス」

「上に生えている木から降ってくる場合があるのを言い忘れていたのでお互い様です」


そう言って剣をぬぐうクリス、だがその剣には大した血はついていない。

血がつかないくらい早いって事?どんだけ剣速早いんだよ

こいつ二つ名無しでも強いんだな。


「(おぬしらそれよりも早めに逃げるぞ)」

「え?何で?」

「(バカ者!今の声を聴いてレオン・ハザードが来たらどうする!)」

「あ、そりゃヤバいな撤退」


無差別殺人の被害者になるつもりはないのでさっさと逃げる。

が、


「オイどこ行くんだよ」


その声は俺たちの後ろからした。

振り返るとそこには金と銀のまだらという珍しい色の髪を濡らしたレオン・ハザードが立っていた。


この世界のダチョウは150㎝程度しかないのでクリスがつけた大型は一応当っています。

次回更新は未定ですが、多分日曜日になると思います。

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