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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
2章 箱庭戦争
31/111

2-11 リザルトと次の準備

あーあ、俺も混ざれればよかったのに。(レオン・ハザード)

「「「「レオン・ハザードを味方につけるぅぅ?!?」」」」


会場のテントに声が響く。

これは多分外にも聞こえてるな。聞こえても問題ないけど。

外に声が漏れるのに気づいても会場の爺さんたちは言葉を続ける。

いろいろ言われたが大体同じことなので省略。

要約すると“アレはコントロールできる代物ではない”みたいなことを言ってるようだ。まあ言いたいことは分かるがね。

確かにアレは少し話を聞いただけでも分かった、少なくとも人の言う事に素直に従う奴ではない。

だが逆に少し見るだけでも分かったのだ、アレはとてつもなく強い。

戦争を一人で収めることが出来るのだ。

戦闘力とか見る目の無い俺でも分かるので、他人の目からならもっとすごいのだろう。


「おーい俺の話を聞いてくんない?」


ワーワーうるさい爺さんたちに話を聞かせようとするが少しも話を聞きやしない。

そこに他よりも通る声が聞こえた。


「おぬしの話は突拍子もないものじゃ」


デニム爺さんだ。爺さんが話すと周りの人間は自然と黙る。

この爺さんにはそういう力があるのだろう。

デニム爺さんは続ける。


「おぬしの話は無理難題じゃ、それは分かっているのか?」

「分かってる」

「ならばなぜそんな方法を進める?ほかに作戦は本当に無いのか?」

「無いよ、少なくとも俺が提案する作戦は他には無いよ」


言い切ってやった。

それを見るとデニム爺さんは少し笑った。


「分かった、やってみよう」

「「「「な!」」」」


また会場が揺れた。


「デニムよ!どういうことだ!」

「そうだ!おぬしは戦争反対派ではなかったのか!」

「レオン・ハザード!これ以上に危険にな事はこの世界には無いのだぞ!」


爺どもの声はひと際大きくなり今度はデニム爺さんを責める、だが……。


「黙れぃ!」


その一括で会場はまた静かになった。

デニム爺さんは静かに言葉を紡ぐ。


「貴様ら今までわしの話に散々タダ乗りしてきて自分に都合が悪くなると勝手に降りるのか?言っておくがこの話はすでに村の若い衆に回してある。ベンジャミンも首を縦に振った。この話はおぬしら以外にはとっくに知れ渡っておるが別に箝口令は敷いておらん。この意味が分かるか?」


その問いかけに答える者はいない。


「貴様らは“村人の意見を尊重する”など理由をつけてこの会議に首を突っ込んでおるのじゃろう!それが村人の意見一つ聞かずにこの会議に参加しておるのか!貴様ら最初から自分に都合よく物事を動かしたいだけじゃろう!そういう老害はこの場から去れぇぃ!」


デニム爺さんの激怒に反対していた老人どもが一気に顔を青ざめさせた。


「アキラ……いやアキラ殿、おぬしはどうやってレオン・ハザードを味方につけるつもりじゃ?」

「アキラでいいよ、かしこまられると緊張するから。……そうだな色々方法はあるよ。結局は勝てばいいんだろ?ならアイツのフィールドでは戦闘しない。頭使って勝つさ」

「知恵比べでは勝てんぞ」

「物理的になー、知ってるよそれくらい。何せ向こうはこっちを問答無用に殺せるんだ。ルールで縛ってもちゃぶ台返されたら意味が無い」

「ならどうする?」

「罠を仕掛ける、向こうも納得させる、そして味方につける。そんなやり方で行きます」

「言うのは簡単じゃな」


にやりと笑った俺にデニム爺さんは呆れたように笑い返した。

その後会議は粛々と進み、東村は“レオン・ハザード攻略戦”に挑むことになった。



「お疲れさん」

「どうもどうも、それでそっちはどう?」

「結構調子はいいみたいです」


深夜0時

会議が終わったと同時に俺はベンジャミンの病室に向かった。

クリスは最初からこちらに来ていたので先ほどの会議には出席していないし、ベンジャミンはそもそも村長なので誰かが会議の説明に来なければならないのだ。

夜も遅く時間も無いので俺は結論から話すことにした。


「“レオン・ハザード攻略戦”決まったよ」

「そうか、負けてしまった俺が言う事じゃ無いが死人が出ない方向で頼む」

「僕からもお願いします」

「おう任せなさい!」


そもそも村人を守るための今回の作戦だ。

死人が出たら元も子もないだろう?


「とりあえずレオン・ハザードの住む場所の地図とか無い?作戦に必要になると思うから」

「それなら今から来る人に頼めば用意してくれると思いますよ。それより自分の二つ名で調べたらいいのでは?」


クリスの問いはもっともだろう。

俺の『天眼』は上から見下ろす能力。

上空からの地図を随時起動するような二つ名だ。

だが一応理由はある。


「んー、俺はこの二つ名あんまり使いたくないんだよ」

「なんで?」

「目が疲れる」

「「はぁ?」」

「いやさ、この二つ名使い続けると頭が痛くなったり目が痛くなったりするんだよ。他の二つ名はそう言うの無いの?」

「ああ反動か、俺の二つ名はそう言うのは無いな」

「僕は一応ありますよ。使った後の日は筋肉痛が酷いんです。まあ確かにそう考えるとあまり使いたくはありませんね」

「だろ!」


一応同志はいたようで納得はしてもらえた。

ただ、こういうのは能力に体がついて行ってないだけで、長い間使い続ければ治ったりマシになったりはするらしい。

逆に(マイナス)と呼ばれる種類の能力に付属するデメリットは能力とセットなので治ったりはせず、せいぜい抑え込むのが関の山らしい。

そして俺が一つ賢くなったところで病室のドアがノックされた。


「お邪魔するぞい」

「待ってました」


やってきたのはデニム爺さん。

今回の会議の功労者だ。



「それで具体的にはどうするつもりじゃ」


デニム爺さんは椅子に座るなりいきなり切り込んできた。


「どうするも何もまだ何も決めてないよ?」

「はぁ?」


正直に白状すると俺は今回の作戦は何も決めていない。

何なら前回も何も考えずに会議に参加したのだ。

だって俺は夏休みの宿題を30日に始める男だぜ!そして完璧に終わらせる男だぜ!

その事にハルマは“何で俺と毎日遊んでて終わるんだよ……”と愚痴をこぼしていた。

その時は“日記は毎日つけとけよ”と適当に言葉を濁しておいたが別にそんなに難しい問題は無いだろアレ?授業聞いて、ノート取って、要点覚えておけば、誰でも出来る。

うん、今は関係ないな。話を戻そう。


「だから別に何も考えてないんだって」

「そうか。こいつを信じたわしが馬鹿じゃった。村長今すぐ向こうに降伏すべきじゃ」

「ふざけんな爺!」


決断の速さは素晴らしいがその決断は俺からしたら最悪だ、絶対やめてほしい。


「冗談じゃ」

「なんだ冗談か」

「そんなに簡単に信じるんですか?」

「元々さっきのも演技だし~」

「はあ」


俺たちのコントに呆れたように声を漏らすクリス。

ベンジャミンは何もわかっていないのか視線を俺たちの間を行ったり来たりさせている。

これくらいついてきてよ村長……。


「で、ホントに何も考えておらんのか」

「言い訳を考えるなら“情報がもっと欲しい”かな?」

「ふむ、具体的には?」

「周辺の地理とかレオンの今までの戦歴とか」

「分かった用意しよう」


そう言うと席を立つデニム爺さん。

座ってから5分も経ってないのですが。


「そんなに急いでどこ行くの?」

「急げばそれだけ行動が早く起こせるじゃろ。わしが生きてきた中でたどり着いた心理じゃ」

「当たり前ですけど」

「それが難しいのじゃよクリス」


そう言ってドアを開ける爺さんの後ろ姿に俺は例を言っておく。


「さっきは助かった。もし言われてたら“レオン・ハザード攻略戦”にまで話を進めるのは難しかったから」

「別にわしが言ってもおぬしはそこまで進めたじゃろう」

「買いかぶりすぎだ、俺凡人だぜ」

「分かった分かった」


適当に流してデニム爺さんは出ていった。


「さっきの事とは何ですか?」

「今回の作戦で使用した泥爆弾の話」


今回使った泥爆発は目に入ると一週間は目が開かないのだ。

そして今回の攻撃で少なくとも100人近くにあの泥爆弾は当たった。

100人全員の目に入ったとは思わないが少なくとも敵勢力の弱体化は間違いない。

会議では色々言って脅したが次の戦争は今回ほどの危険は無いだろう。

それならあの爺どもは自己保身に走る。

それを避けるためにデニム爺さんには黙っていてほしいと事前にお願いしておいたのだが、その時は返事をしてくれなかったのでそれなりに不安だったのだ。

クリスにそれを説明すると“いつの間に!”と驚いていた。

さーていつでしょう?



デニム爺さん自分の家に帰ると簡易的な明かりを用意し作業に取り掛かった。

その作業の途中、頬が自然と緩んだ。

今回の戦争は見事だった。

相手が哀れになるほど完璧に作戦に引っかかっていた。

あれほどの戦争は今まで1度しか見たことが無い。

本人は自分の事を凡人と言っていたがそれは流石に謙遜だろう。

少なくともあそこまでの作戦を立てるのに戦争に近いことを数度経験するかよほど素晴らしい師に巡り合うかのどちらかだろう。

自分がその領域に立つまでどれほど時間が必要だったか、そう考えると悔しくて逆に頬が引き締まる。

今日の事もそうだ、まさか作戦前日に言われたことに本当に従う羽目になるとは思いもよらなかった。


昨晩


「デニム爺さんいますかー」

「何じゃおぬし、こんな夜更けに何か用か?」

「用もなくこんな所に来るか」

「こんなところで悪かったのう」

「明日の会議では泥爆弾の事については言わないでくれ」

「何じゃそれは?どういう意味じゃ?」

「俺の作戦が失敗したら忘れてくれよ。お休みー」

「はぁ?」


軽口を叩きながら訪ねてきた少年はその一言を伝えると帰っていった。

恐らく30秒といなかっただろう。

その時は何を言っているか分からなかったが.........



そうして帰っていった少年の真意に気づいたのは戦争の途中だった。

だがそれと同時に一つの疑問が沸く。

彼はベンジャミンが負けると見越していたのか?

当然だがベンジャミンが負けなければ泥爆弾の効果は話してもかまわないだろう。ならばなぜベンジャミンを戦場に送り出したのだ?

疑問は尽きない、だが、


「いま考える事ではない、か……」


そうつぶやいて作業に集中しようとするがその頬はまたも緩んでいた。

次の相手はこの世界最強の存在レオン・ハザード。

そんな強敵をあの少年がどうやって攻略していくのか、きっとあの少年ならまた突拍子もない方法でやってくれるだろう。

デニムじーさんは微笑みながら作業を続けた。


前回の次回予告で思いっきり大嘘書いてすみませんでした。

この話を完全に忘れていました。

次回は金曜日更新予定。

感想もらえると嬉しいです。

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