2-2 Welcome!東村
まじですかー(アキラ・トコバ)
「相手側を滅ぼすこと」
帰還方法なるほどねー、そりゃ無茶だろ。
多くの人の賛同とそれ自体が難解の理由が分かったわ。
つまり戦争したくない奴らを丸め込んで見た感じ同じくらいの勢力をつぶすって事だろ。
無理ゲーじゃん。これそもそもクリアを考えてない条件だよな。
………ん?じゃあ何でこいつらは戦ってるんだ?
「アレ?アキラさん見てくださいなんだか少し変じゃないですか?」
サクラも何か感じたのか戦場を眺めている。
ちなみに俺はこの感じを知っている。
「んー?多分これ本気でやってないな」
「ほう!たったこれだけ見ただけで見抜けるのか!」
「まあね、似たような事やってたから」
「なんと!まさか本物の戦争を!アジア系で俺より若かったから勘違いしていたがそれは心強い!」
「あ、うん、そうだね…」
まさかの食いつき。
そこにサクラが俺にベンジャミンに聞こえないように話しかけてきた。
「(アキラさん本当はどうなんですか)」
「(いやホントだよ。俺がやってた似たような事は“戦争ごっこ”だったけど)」
まさかそっちに転ぶとは俺も予想外だった。
ちなみに俺の戦争ごっこは花火を使って学校に止められる程度のささやかなもので本気ではない。多分共通した本気じゃないところで察知出来たんだろうな。
事実この戦争では矢はまともに刺さらず、槍は何も無い場所に突き出すだけで全く本気には見えない。
ホントなんでこいつら戦ってんだ。
「この戦いはパフォーマンスさ」
いきなりベンジャミンが語りだした。
「パフォーマンス?」
「ああ、そうしなければ天罰が落ちると脅されているんだよ」
「誰に?」
「決まってるだろ、天罰を落とすのは神様の仕事さ」
なんと!こいつら戦争を強要されてたのか。
「こんな事を毎日やってんのか?」
「いや正確には2日に1度、昼の12時から3時までの3時間を戦うことになっているんだ、一応救済措置として白旗を上げれば1度だけ戦争は回避できるんだけどね。その代わり次の戦争は絶対行わなければいけないけど」
「やらなかったら?」
「天罰さ」
また天罰か、好きだな天罰
「ちなみに天罰は何をされるのですか?」
「さあ?一度も落ちたことが無いから分からないよ」
「「?」」
「あのね君たち、この世界の支配者がわざわざ設定してる天罰なんてくらいに行くわけないだろ?下手したら命を捨てることになるんだからね」
なるほど、見え見えの虎の尾は踏まないか。
考えてみれば当たり前だな。
「少しは疑問を解消できたかい?」
「ホント少しだけど」
「はい私も大丈夫です」
「それは良かった」
そう言うとベンジャミンはにっこりと擬音が付きそうな顔で笑った。
◇
戦争を横目に見ながら野道を歩く。
この道、隣が崖になっているので非常に怖い。
隣で行われている戦争も終盤戦なのか最初と比べて活気が無いように思える。
歩く前に“疑問に思った事はどんどん聞いてくれ”と言われたので沸いた疑問は沸いてすぐに消費させてもらった。
ベンジャミン曰くこの世界はとても穏やかな世界らしい。
動物もそこまで強くなく数もそこそこ、水も豊富で魚も取れる、植物には危険な物もあるが食べても害のない物の方が多いそうだ。
“無理やり連れてこられたので無く、いくつか問題が無ければ楽園みたいな場所だよ”ベンジャミンはそう言って笑った。
確かに歩き始めて1時間ほど経つが今のところ大型動物には遭遇していない。
サクラが言うには村の近くの森は1時間歩けば5回はイノシシやらクマやらに遭遇するそうなのでかなり平和的だと思う。
他にも二つの村の分け方とか、この世界の大まかな人口とか、村の村長はいるのかとか、色々教えてもらった。
分け方は拾ったもん勝ちみたいでかなり大雑把らしい。
人口は今向かっている東村で400人ほど西村は東村よりも数は多いそうだ。
数が違うのに今だ勝負がつかないのは相手も本気じゃないのとこちらに二つ名持ちがいるからだそうで、その二つ名持ちの一人は自分だとベンジャミンは言った。
二つ名は『先頭』。集団の一番手を務めることで能力が数段上がるという能力らしい。基本的に戦争で一番槍ばかり行っているとのこと。きつそう。
東村の村長はまさかのベンジャミン。
ベンジャミンはこの世界に招かれた人間の中で最初期のメンバーらしく二つ名通り先頭を切って行動していたらいつの間にか村長になっていたらしい。
本人も他にやる人がいなかったのでやってるとのこと。
その話の途中でベンジャミンが俺に“村長やらない?”と話を振ってきた。
もちろん丁重にお断りした。
何で初対面の相手に押し付けようとするんだよ。
「見えてきたね」
野道を下り切ったら(どうやら先ほどの崖は山のように膨らんだ土地と窪地のようになっている戦場によってあそこまで高低差があったらしい)柵と土壁に囲まれた村が見えたきた。
ハルマの村ほど柵は大きくなく、先ほど聞いた大型の動物があまりいないことの証明にもなった。
「おおーい村長!」
ちょうど戦場帰りの村人が村に入ろうとしているところに出くわしたのかベンジャミンが大声で話かけられた。
「おおー!そっちはどうだった!」
「特に異常なしだー!そっちはー!」
「こっちは二人新入りつれてきたぞー!」
「おおー!」
なんで近づいて話さない?近づけば声帯に優しいぞ。
そんなツッコミが天に通じたのかベンジャミンと話していた男と隣にいた青年が近づいてきた。
近づいてきたのは南米系の背の低いおっさんと背の高い白人の青年
そして近づいたおっさんが口を開くと。
「おおぉぉ!!!東村へようこそ兄弟ぃ!!!歓迎するぜぇ!!!」
この人声がでかい。遠かったのは適切な距離感だったのか。
「俺はぁ!!この村で大工仕事を受け持っているぅ!!『土弄』ペドロだぁ!!!よろしくぅ!!」
そう言って手を出してきた、出された手はゴツゴツしていて職人のような手で土で真っ黒だった。
『土弄』と言ってたし二つ名持ちかな?
でも手の位置が低いんだよな。
ちょっと掴みずらい。
「僕はダニエル、『射線』のダニエル・ハート。よろしくね!」
そう言うと彼も手を出してきた、が、こちらは手の位置が高い。
だから掴みずらいんだって!
『射線』と頭につけたので彼も二つ名持ちだろう。
『射線』…どういう二つ名か想像ができない。
◇
村の中に入ると俺たちの周りに人が集まった。
「オイ兄ちゃん!どっから来たんだ?」
「名前は?」
「何かもってない?」
「二つ名とか持ってない?」
「ウサギの焼肉串食いなよ!」
「こっちの果物も食いな!」
「そっちのお嬢さんとはデキてんのか?」
「わぁ美人の嬢さんだな」
「美人さん焼肉串食いなよ!」
「お嬢さん果物も食いなよ!」
etc………。
多い!さすがに多い!一個一個答えようとすると日が暮れそうだ。
ベンジャミン達に助けを求める視線を向けると察してくれたのか「こら!新入りさんが困ってるじゃないか!」と集まった人を散らしてくれた。
非常に助かった。
これだけでベンジャミンの警戒度を下げてもいいくらい助かった。
「じゃあとりあえず俺の家に来てくれ、色々説明する…って言っても道中で結構話したけどな」
ベンジャミンにそう言われてついていく、なぜか一緒にペドロたちもついてきた。
そして他よりも一回りだけ大きい民家に着いた。
中に入るとベンジャミンに似た青年が掃除をしていた。
「あぁ兄さんお帰り。ペドロさんたちもようこそ。そちらは?」
「おうただいまクリス、新しい村民を連れてきたぞ!」
「そうですか。初めましてクリスチャン・リンカーンです。クリスと呼んでください。よろしくお願いします」
「あ、これはご丁寧にどうも」
「ど、どうも」
クリスはいきなりふかーいお辞儀してきた。
それにつられてお辞儀を返す俺とサクラ。
腰が低いというのか、ゆるいというのか、なんとなく引っ張られてしまった。
その様子を見てベンジャミンが笑う
「変な奴だろ、なんとなく他人を引っ張るっていうか」
「言いたいことは分かるよ」
「初対面の人にも酷い風評被害を押し付けないでください」
「痛い痛い!」
ベンジャミンの言うことに同意をしたらなぜかベンジャミンが髪を引っ張られた。
かなり痛そうにしているが大丈夫かな?
そう思っているとダニエルが耳打ちしてきた
「(クリスは怒らせるととんでもなく怖いんだよ。そんで手加減が一切出来なくなるんだ)」
なるほど“クリスは怒らせちゃいけない”っと、心のメモにでも書き込んでおこう。
「ク、クリス!そろそろ説明とかしなきゃいけないから!離して!離して!」
「むぅ」
いやいやながら手を離したクリス、解放されたベンジャミンはほっとしているようだ。
どんだけ怖いんだ?
「よし座ってくれ、話をしよう」
話を切り替えるように言うと椅子を引くベンジャミン。
俺とサクラは向かい側の席に座る。
ベンジャミンの隣にはペドロたちが座った。
そしてベンジャミンが話を始めた。
「とりあえずようこそ東村へ。東村の村長として歓迎するよ」
「どうもどうも、俺は常……アキラ・トコバだ、よろしくベンジャミン」
「サクラ・クイートです。よろしくお願いします」
「ああ、よろしく。ところで君たちは二つ名を持っていないかい?いや持ってなくても僕の態度は変わらないけど」
「アキラさんが持ってますよ」
「ホントかぁ!!!」
反応したのはペドロ目の前から大声と共に大粒の唾が飛んでくる。
うわぁぁ!やめろぉぉぉ!
「ペドロ落ち着け」
「しかしぃ!!」
「二つ名持ちでもそうでなくても態度を変えないのがうちのルールだ」
「でもどんな二つ名か気になるなー」
そう言ってきたのはダニエル
机にべたぁと体をつけ聞いてくる。
「俺の二つ名は『天眼』能力は…すまん、ここにさらわれる2時間前くらいにもらったばっかだからまだ分からない」
「ちぇー」
「二つ名の能力は意識を集中させればなんとなく分かりますよ」
「え、マジ?」
「はい」
クリスにそう言われて俺は目を閉じて集中する。
すると
天の目…自分の頭上に上下移動する見下ろす目を作り出す
と頭に流れ込んできた。
「うぉマジだ!!」
「どんな能力なんですか?」
興味津々のようでサクラが聞いてくる
目の前の席に座る面々も同様だ。
「何か頭上から見下ろす能力みたい。偵察とかはできるかな?」
「そりゃあぁ!!いいぃ!!」
「ああ、戦争で役立ちそうだ」
そう言ったベンジャミンは嬉しそうだ。
いやこの場にいる人間は全員が嬉しそうだ。
戦争に有利になる能力だからかな?
「兄さん」
「あぁ分かってる」
そう言うとベンジャミンは神剣そうな顔で俺たちを見た
「君たちに頼みたいことがあるんだ」
少し遅れて申し訳ない。
2章は限界まで毎日更新!
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