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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
1章 墜落少年
17/111

1-ED

ゴトゴトと音を立てながら帰り道を馬車は走る。

夕焼けに染まった道は真っ赤に輝いている。


「さあ!さっき聞けなかった五大世界の話しをしてもらおうか!」

「はい!任せてください!」


うんうん!考えが一致したようで非常に嬉しい。

サクラは病院で言い残した世界の話を始めた。


「土星、火星の事は話したので次は木星の話をしましょうか。木星はかなり特殊で星の大部分が植物で覆われています。そしてアキラさん好きな竜が大量に住んでいる場所です」

「よっしゃー!」

「嬉しそうで何よりですが、非常に危険な場所なんですよ?あの星は純粋な人間が文明を築けなかった唯一の星ですから。」


なるほど竜が強すぎて文明が開けなかったと、やっぱ竜ってすごいんだなぁ。

しかしどの世界にも国家があるって聞いたけどな?


「じゃあ木星には何があるの?」

「木星には全世界最強の国家『アマガ龍国』があります」

「全世界最強の国?」

「ええ、先ほど言った通り木星には純粋な人間が文明を築けませんでした、しかし900年ほど前に一人の二つ名持ちが現れます。その二つ名は『龍』。世界で最も強大な力と言われており、その二つ名の力でギフト「dragonute」を大量に与え力ずくで竜を屈服させ国家を作り出したんです」

「ほぇー」

「そして作り上げた国家は『アマガ龍国』と名前を付け、現在に至るまでずっと生きているんですよ。」

「えっ?」


生きてる?


「龍はまだ生きてるのか?さっき900年前って言ったけど」

「ええ、『龍』は二つ名のおかげで不老らしいですよ。さすがに不死ではないようですが……。でも戦って死なない限り延々と生き続けると聞いています」


900年前の生き証人か、そう言えば火星の皇帝も200年生きてるって話だしこの世界はそういう二つ名さえ手に入れれば不老不死さえも夢じゃないのかもね。


「次は水星ですね。水星には代表となる国家はありません」

「どういうこと?」

「水星はその名の通り星の大部分を水で覆われている惑星で所々に島が点在しているだけなんです。その島々は一つ一つに国家があり統一がされている訳ではないんですよ。ですが代わりにその島々が手を取り合って連合として他の世界に対抗しているんです。」


国家連合ね。歴史の授業でも時々出て来たな。


「『水星国家連合アクエリアス』一つ一つの軍隊の力は弱いですが個人での強者はどの国も一定以上は確保しているらしく五大世界の中でも秘密が多い世界ですね」


個人での強者、どれくらい強いんだろう?ツバメくらいなのかな?

それよりも海の話を聞いていたら魚介系が食べたくなってきたな。こういうところは花より団子だと自分でも思うよ。


「最後に紹介する世界は何かわかりますか?」


土星、火星、木星、水星ときたから、水金地火木で……


「金星か」

「正解です!金星の代表国家は『バベル神国』。昨日の話にもちらりとでた、神の統治する国です。」

「おお」

「アレ?あんまり嬉しそうじゃなさそうですね?」

「いやぁ……別に神様を信じてないわけじゃないんだけどね。『信じてないわけじゃない』=『神様を信仰してる』じゃないわけで特に俺がいた国では宗教の話は面倒でね。くわぁ」


カルト宗教が色々問題を起こしたこともあったのと、元々そこまで熱心な国教もないこともあってか、俺は宗教に関する事は面倒ごと、神様に関しては居ても居なくてもいい、くらいにしか思っていない。

そんな俺に確かに神様が存在していますと言われても『ああそうですか』くらいの感想しか抱けないのだ。

あくびを噛み締めながらそう答えると


「なるほど、あんまり興味が無い感じですか?」

「そうだな、興味が無いわけじゃ無いんだけど結構薄いのかな?」

「じゃあ簡単な事だけ、『バベル神国』はイキガミ様と言われる存在が統治、管理しています。産業としては“神の奇跡”と言われるイキガミ様の力で金属を輸出し続けているのと、観光業で収益を出しています」

「フーン」


観光ね……神様を見世物にして金稼ぎでもしてんのかな?

教会は上の方は腐敗してるってラノベ小説ではおなじみだけどこの世界はどうなんだろう?

本物がいるんだしあまり腐敗とかしてないと思いたい。

そんなこと思っていると世界が一転した。



「(あー、後ろの野郎、急に体調でも崩さんかな?)」


そんな物騒な事を思いながらツバメ・クイートは手綱を操る。

そもそも自分はかなりのケガをしたのに御者台で働いているのに、原因となったヤツは後ろで愛しの妹と楽しそうに会話をしている。

“不公平ではないんだろうか?”胸元がムカムカさせながらそんな事を思いつつ茜色の空を見つめていると、


バタンッ!

ドサッ!


何かが倒れる音がほぼ同時に起こった。

荷物でも倒れたかと思いきや、今回はアキラの働きで重い肉系はすべて吐き出しているのでそれは無い、ならば何がと思っていると、一つ気づいたそう言えば少し前から


「二人の話声が聞こえない……」


ぼーっとしかけていた頭に急速に血液が回るような気分だった、慌てて後ろを振り返ると二人が馬車の床に倒れているのが見えた。


「スットプ春菊!」


手綱を引き春菊の動きを止めると御者台から飛び込み二人に駆け寄る。


「オイ!どうしたサクラ!?アキラ!?」


二人に声をかけると二人はわずかながらに反応する、


「カッ……ハ」

「クッ」


二人の反応を確かめた瞬間にツバメは地面が揺れるような感覚に陥る。


「(しまった毒か!?)」


目眩のする中で二人を担ぎ上げ馬車の後ろのドアから出ようとすると、今度は馬車が傾き前面の壁に叩きつけられる。

妹だけはしっかりと守りながら御者台に通じる窓を見ると、


「春菊?」


幼少期から共に過ごした名馬の姿は無かった。

馬がいなくなって馬車の重心が前に傾いたのだ。

そして繋がっていたはずの手綱はまるで別離を表すようにぷっつりと途中で切れていた。


「嘘だろ……!?」


動こうとしたツバメは体が動きづらいことに気づく。


「(どういう…ことだ?何で春菊が?クソが……目がもうあかねぇ……)」


いったいどのタイミングで毒を盛られたのか、毒を盛った相手の目的は何なのか、そんな事よりもツバメは最後に妹の事を思った。


「サク…ラ……」


そしてツバメの思考は途切れる、倒れる間際に地面が白く光った気がした。



誰かが言った


「ようこそ僕の世界へ。歓迎するよ新たな住人君」



1章本編完結!!

本編はこれで終わりですが1章はまだ2本ほど短い(予定の)幕間を残しています。

もう少しだけ毎日投稿にお付き合いください。

感想もお待ちしています。


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