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二つ名転生  作者: 薪村 尚也
1章 墜落少年
13/111

1-11 蹴りをつける『』

早く!早く来てくれアニキ!(thief)

起き上がろうとする『怪腕』から少し離れ俺は助走距離を取る。

距離は約30m、俺が吹き飛ばされた距離くらいだ。

ホントにこの距離を飛ばされてよく無事だったな俺は、伊達に親父にボコボコにされてないか。

とは言えとっさに膝蹴りとの間に入れた両腕はまともに機能しない、少なくなくとも戦闘には使えないと思っていいだろう。

地面を少し蹴り凹みを手早く作ると、


「なー、ホントに大丈夫かー?腕やばくないのか?」


何で気づいてんだこの野郎。勘か?勘が優れてんのか?

そんな視線で見たからか普通に答えやがった。


「いやな、腕挟んでるように見えたから。というより飛んでいくとき腕クロスしてただろ?」


目いいなちくしょう。俺かなりの速度で飛んだんだと思ったんだけど?第三者視点で見てんだとしても俺がこの速度になれるのにどんだけ時間かかったと思ってんだ。

やっぱ才能ないのかね?

まあ


「今あいつを倒す力があればいいか」


完全に起き上がった『怪腕』を見ながら俺は靴を脱ぎ独特の構えをとる。

地面に両手の指を付ける、体を前に傾け重心は前面に、さっき作った凹みに足をセットすれば完成だ。

親父に教えてもらった“くらうちんぐすたーと”と言う構えだ。本来の使い方は違うらしいけど。

構えるとまたあいつが話しかけてきた、


「なんで靴脱ぐんだよ」

「その方が早そうだろ?」

「小学生みてぇ」


うるせぇ!ホントに大事なことなんだよ。

すぐに攻めてくるかと思った『怪腕』はどうやら俺を待ってくれているようだ。スピードの乗った物をぶっ叩いた方が壊れやすいのからかもしれんが今はありがたい。

ギッと音がして俺の中で全てがかみ合った感覚、


「行くぞ『怪腕』!!」


そう叫ぶと俺ははじける様に前に飛び出した。


“ビィッビィッ”と空気を切り裂く音が鳴り、周りの景色が一気にぶれる。

『怪腕』が威嚇するように腕を振り回すせいで地面はえぐれ砂利が飛ぶ。

少しでも躊躇したら体ごと吹き飛ばされる?それ以前にえぐり飛ばされそうだな。

かなりの速度で走ってるのに、頭の中はスッキリしていて状況を分析している。

約2m、奴が腕を伸ばせる最大の長さだろう、つまりその2mに入ってからが勝負になる。

そう思っている間にその距離は目前に迫る、先ほどとは違い真っすぐ走っているこの状況ではやつの腕の餌食だろう。


「(なら、さらに速度を上げる!)」


考える事と同じタイミングで速度を上げ、さらに少しでも被弾確率を下げるために体勢を低くする。

そのかいあってか2mを一気に突き抜け、やつを俺の攻撃範囲に捕らえる。

そのままの低い体制のまま俺は攻撃に入る。

体を折り曲げ、速度を落とさず、やつの目の前で体を浮き上がらせる!


「源流二十三『飛燕』!!」


俺の叫ぶ声と同時にその技は放たれた。



打ち出された技『飛燕』

この技は本来はこの様な使い方ではない

接近した殴り合いで使われる技で、アッパーと呼ばれるボクシングの技に近く、相手に下方向から殴りつける技である

この技の面白い特徴として打ち出される位置が下であればあるほど威力が増すという特徴がある、速度とかの関係もなくただ威力が増す、源流は不思議な流派である

そしてツバメはこの技を知った時「なぜこの技は殴るのだろうと?」疑問に思った、「蹴ればより下から攻撃できるじゃないか」と。

そしてツバメは研究を重ねた、父に意見を求めればもっといい答えを出されたのかもしれない、しかしツバメ求めなかった、なぜならツバメはこの技で父を超えると決めていたからだ。

自分と同じ名前の付いた技で超えてみせると決めていたから。

そしてツバメはその技を完成させ、切り札に昇華させた見せた。



そして現在


ツバメの右足は『怪腕』の顎を打ち抜いていた。

大きくのけぞり倒れていく『怪腕』

右足を上げて大きく飛んでいくツバメ

勝者は決まった、誰もがそう思った……


戦っている二人以外は。


のけぞり倒れようとしていた『怪腕』が踏みとどまり、右腕を構える。その腕はいつの間にか普通のサイズに戻っていた。

打ち出される拳は大きさを変えながらツバメに迫る、飛び上がったままのツバメに攻撃をよける術はない。

『怪腕』のカウンターはツバメの脇腹を捕らえた。


バキバキバキッ


乾いた音が響き、ツバメは血を吐きながら空中で横に回転する……回転が止まった?

『怪腕』は気づいた


「(こいつ!俺の服の襟を!)」


がっしりと自分の服の襟を掴んだツバメの足の指を、

つまりツバメは服の襟を掴みそのまま『怪腕』を起点に攻撃を受け流したのだ。


「(気づいてたよ、あんたの右手が元に戻ってることを)」


ツバメの体はカウンターの衝撃で大きく開いている


「(確信してたさ、あんたが俺の一撃を耐えるだろうってことも)」


その体を閉じるように動く、開いた足は先ほどと同等かそれ以上の速度で『怪腕』に迫る


「(一撃で足りないなら)二撃目食らわせてやらーー!!

『燕返し』!」


ドンッッ!!


と音がして『怪腕』の体が吹き飛ぶ、2mの長身がくるくると空中を舞う。

“ドグワシャン!!”と壁を打ち破った『怪腕』はついに動かなくなった。

一瞬の沈黙、そして次の瞬間割れんばかりの歓声が勝者を称えた。

勝者はたった一言つぶやく


「わりーな、妹が見てんだ負けられねーんだよ」


『怪腕』グローブVS『』ツバメ・クイート

戦闘時間 5:21

勝者 『』ツバメ・クイート



歓声を浴びる勝者に俺は近づく、今まで見てきた格闘技がお遊戯に見えるほどの戦いだった。

とにかく馬鹿だ馬鹿だと内心ボロクソにしていたことは謝っとこう。


「やったなツバメ!お前凄いやつだな!」

「当たり前だろ!俺を誰だと思ってやがる、あのハルマ・クイートの息子だぞ!あんな犯罪者に負けられるか!」

「うんうん凄いやつだよお前は!」


とにかくそんな言葉しか見つからない

大勢の人が俺に続くようにツバメをほめたたえる。


「よくやった!」「ありがとう!」「かっこよかったぜ!」「ヒュー!ヒュー!」


そんな言葉であふれかえっていた、そしてサクラがツバメに近づき……


「お兄ちゃん何かしたの?」

「嘘―――!!」

「うん嘘、お兄ちゃん、かっこよかったよ」

「よっしゃー!あぁ、あ、ぁぁ」


サクラの言葉でツバメ力が抜けたのか倒れる、多分一番欲しい人物から褒められたからだろう。

『怪腕』のグローブはやっと来た衛兵に捕縛されていた。なぜやつが俺を襲ったかは分からないが今は一件落着でいいだろう。


「ほれっ行くぞ」

「なんだよ?震えてるじゃねーか、やっぱ『怪腕』にビビったのか」


力の抜けたツバメに肩を貸し俺は歩きだす。

ツバメは力を使い切りぐったりと俺にもたれかかっていながら減らず口を叩く。こいつ重たい。


「オイどこ行くんだよ。」

「けがの手当てなら衛兵が呼んだ医者が来るぜ?」


住人に口々に言われるが俺は無視する。

何でって言うかは分からないがとにかく足が止まらないのだ。

そして一つひそかに確信していることがある、『怪腕』と対峙したときには感じなかったのだ。

体の震えを。

そして今はそれを感じるのだ、俺は少し振り返った、そして後悔した。



それに一番最初に気づいたのはこの場を真っ先に離れようとしていたアキラだった。

それは歪み、狂い、そして開く

次の瞬間、世界は一変する

アキラは見たそれに引き込まれる感覚がした、そしてそれは決して錯覚ではないことに気づく。

遠くのものは近くに、近いものは遠くに、大きいもの小さく、小さいものは大きく

アキラは歪んだ世界の中で空中に浮いている感覚に陥る、

しかしそれは一瞬のこと、次の一瞬には体をあらゆる方向から引きちぎられるような感覚を味わう

その時見たのは赤で青で黄で緑で白で黒、目まぐるしく変わる色の中に何処かの景色が映る。

それは黄金の光に輝く理想郷、それは山を切り崩して作られた石の城、それは緑生い茂る大樹、それは大海原にポツポツと浮かぶ島々。

代わる代わる現れる景色にアキラの脳が悲鳴を上げた瞬間、青空が目の前に現れた。

正しくは見渡す限り青空しかないのだ。


「マジかよっ……」


アキラがそういうのも無理はないだろう。

アキラは現在天空にいるのだから。



うわー

マジかー

マジですかー

こんなことって有りうるんですねー

異世界ってすごいな―

ハーイ現在俺がいるのざっと見て上空1000m!さすが天空!空気が薄い気がしまーす!ちなみになぜ1000mと分かったかと言うと片腕が自由だからでーす。わかったかな?

うんやめよう。自分でやってて虚しくなった。

真面目にしよう。

さて俺がなぜこんな見渡す限りの天空にいるのかというのは置いといて、助かる方法を考えようか。

………

…………

………………うん、無理。

だって無理だって!こんなの学校で習ってないもん!習ってどうにかなるかは知らんけど!

いやいやいや自棄になるな思い出せ、バレーだかテニスだか忘れたけど漫画で言ってたじゃないか“あきらめたら終わり”だって!カモン走馬燈!あの時の無駄記憶をここに!



「アキラ知ってるか?人間の墜落速度は時速200㎞を超えるそうだ」

「へー」

「空気抵抗の少ない体制をとれば時速300㎞以上出るそうだ」

「へー」

「もうちょっと興味持ちなよ?」

「じゃあもうちょっと興味持てる話題をくれよ」



俺のあほーー!もうちょい聞いとけよ!

凍夜のあほーー!もうちょい粘れよ!

時速200㎞って秒速何mだ?……55mか!やばいもう多く見積もっても15秒弱しかない!

とにかく速度を落とせ!落とせ!この大空に翼を広げて!


「アレ?これどういう状況?」


今更ながらツバメ覚醒、どうも静かだと思ったら意識が無かったらしい。


「おはようございます現在上空1000mを時速200㎞で墜落中、簡単に言うと後数秒で死にます」

「いやふざけんな!何でこんな勝って死ななきゃならんのだ!」

「こっちのセリフだ!俺転生してから2日で死ぬってどういうことだ!」

「知るかーー!」



ええいうるさい!もうどうにでもなれ!下にいる奴らに小便でも降らせてやろうか?

自棄になんなって言ってるでしょ!ちくしょう!二つ名ほしかった!


地面が近づく、距離はもう考えたくない、見ろ人がまるで蟻?ネズミ?あっどんどん近づいてんだ。あはは世界って広いな、こんな大きな世界で冒険したかったな。畜生。

でも俺はこの時気づいて無かったんだこれから始まる幸運に


その言葉は唐突に響く。それは世界中に轟く言葉。そして俺の最初の幸運。


〈〈アキラ・トコバが二つ名『天眼』を獲得しました〉〉


ええええええええええええ

このタイミングでええええええええ

え、何俺なんか悪い事したっけ神様?

いや確かに欲しいとは言ったけど!言ったけどもこのタイミングは無いんじゃないの!

うわああああああああああ

呪ってやるぞ神様ああああああああ


「うわあ凄い幸運ですね。このタイミングで二つ名を獲得するなんて」


空中(そこ)には俺とツバメしかいないはずだった、しかし空中(そこ)にソイツは立っていた。


「えっと……どちらさん?」

「なっあんたは!!」

「初めまして今回の功労者と幸運な人。僕はポープ・カーライル。勇者をやっています」


ここで勇者に会ったこと。これが俺の二つ目の幸運




変なところで終わって申し訳なありません。

明日までに追記させていただきます。※03/03 4:05追記しました

アキラは暗算が得意なのと危機的状況だったことで計算を5秒前後で終わらせました。

通常時はもっと遅いです。

1章は毎日更新します。

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